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トリエチルアミンの塩基性や反応のまとめ

トリエチルアミンのpKaと反応、除去方法のまとめ

トリエチルアミンとは?塩基性・pKaなど

トリエチルアミン(triethylamine:TEA)は第三級アミンの一種であり有機合成で最も頻繁に利用される一般的な塩基です。

トリエチルアミンの構造

沸点が90℃前後と低いため、エバポレーターで飛ばせる塩基であるという利点があります!また、アルキル基が多いため、炭酸塩などの塩基よりも有機溶媒に容易に溶解します。魚が腐ったようなアミン臭がするためドラフト内で扱いましょう!古くなったトリエチルアミンは酸化されて褐色に着色されます。着色したトリエチルアミンはアルミナのショートカラムを通して、水素化カルシウムなどで脱水して蒸留すればきれいなものが得られます。

  • 分子量(M.W.):101.19 g/mol
  • 沸点:89.7℃
  • 密度:0.726g/mL
  • logP:1.647
  • pKa:10.75 in H2O(共役酸Et3NH)
  • 水溶性:17g/100mL、20°C(冷水によく溶ける)
  • 試薬:和光TCI



トリエチルアミンの反応

トリエチルアミンは有機溶媒に可溶性の強塩基として様々な反応に利用されます。アルコールやアミンの求核攻撃後のプロトン捕捉剤としてよく利用されています。同じような利用をされる試薬としては同じ第三級アミンであるDIEAやピリジン、イミダゾールなどがあります。ピリジンやイミダゾールと比べて第三級アミンは嵩高く求核性が小さいのが特徴です。

スワーン酸化ではDMSOと塩化オキサリルから生じるホスホニウム塩とアルコールとの反応により生じるアルコキシホスホニウム塩の脱プロトン化にトリエチルアミンが利用されています。スワン酸化: Swern Oxidation

その他にもアルドール反応に使用されるシリルエノールエーテルの生成にもトリエチルアミンが利用されます。LDAなどの強塩基とはシリルエノールエーテル生成の選択性が変わります。向山アルドール反応: Mukaiyama Aldol Reaction

薗頭カップリング反応ではトリエチルアミンを溶媒として利用することもあります。しばしば金属触媒を利用したカップリング反応に加えられます。薗頭カップリング: Sonogashira Coupling

トリエチルアミンの除去

トリエチルアミンは塩基としてよく用いられますが、有機溶媒に溶けやすいことから取り除きにくいことがあります。沸点が低いので過剰なトリエチルアミンはエバポレーターで取り除けます

化合物が水溶性でなければ、薄い酸性水溶液(HClやクエン酸など)で分液することでトリエチルアミン塩として水層に除去できます。酸に弱い場合はより弱い酸(飽和塩化アンモニウム水溶液)や水で分液します。水溶性の化合物で分液ができないときはカラムで取り除きましょう。


トリエチルアミンのNMRスペクトル

トリエチルアミンのH-NMRスペクトルの予測値です。

トリエチルアミンのH-NMRスペクトル

実際のNMRはAISTのデータベース:トリエチルアミンを参照してください。

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