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薗頭カップリング: Sonogashira Coupling

薗頭カップリングについて

末端アルキンとハロゲン化アリールやビニルからエンイン(2置換アルキン)が得られる銅-パラジウム触媒系カップリングを薗頭カップリングと呼びます。この反応は、銅アセチリドに対してハロゲン化アリールを作用させて2置換アルキンを合成するカストロ・ステファンズ(Castro-Stephens)カップリング反応を触媒化したものと見なすことができます。

薗頭カップリングの特徴

反応は一般に室温かそれよりわずかに高い温度で行われ、より厳しい条件が必要なCastro-Stephensカップリングよりも優れています。触媒量の銅(I)塩を用いることにより、保存に不安定で爆発性がある銅アセチリドの取扱いを避けることができます。銅(I)塩は市販されているCulやCuBrで、一般にハロゲン化物あるいはアルキンに対して0.5-5 mol%が使用されます。パラジウム触媒としてはPd(PPh3)2Cl2あるいはPd(PPh3)が良く用いられます。溶媒や反応剤を厳密に乾燥する必要はありませんが、Pd触媒は酸素に弱いため、活性を保つには脱酸素することが必要です。トリエチルアミンなどの塩基を溶媒として使用することもできますが、共溶媒が使用される場合も多くあります。反応は小規模でも大規模(> 100 g)でもうまく進行します。反応は立体特異的で、基質の立体化学は生成物に保持される。ハロゲン化アリールとビニルの反応性はI = OTf > Br> Clの順になります。反応速度がヨウ化物と臭化物で異なることにより、臭化物存在下でヨウ化物の選択的カップリングも可能です。

アルキンについて

芳香族ハロゲン化物やビニル上のほとんどすべての官能基が影響を受けませんが、電子求引基(R=CO2Me)に共役したアルキンはMichael付加体を与え、電子求引基をもつプロパルギル基質(R’=CH2CO2MeまたはNH2)はアレンへの転位が見られます。

他のカップリングとの比較

ハロゲン化sp2-Cと金属sp-C誘導体のカップリングは根岸、Stille、鈴木、熊田クロスカップリングでも可能です。しかし官能基に対する制約を考慮すると根岸クロスカップリングが薗頭カップリングの最もよい別法になりえます。薗頭カップリングの制限としては、反応性に乏しいハロゲン化アリールや嵩高い基質では高い反応温度が必要になること、高温で末端アルキンが副反応を起こすなどがあります。

反応の歴史

1975年に薗頭らは、触媒量の Pd(PPh3)2Cl2とヨウ化銅 (Cul) の存在下でアセチレンガスとヨウ化アリールあるいは臭化ビニルを反応させると温和な条件で対称に置換したアルキンが得られることを報告しました。同年にR.F.HeckとL.Cassarらが同様のPd-触媒プロセスを独立に発表しましたが、銅共触媒を使用しないため反応条件は厳しくなります。

反応機構

薗頭クロスカップリングの機構は酸化付加還元脱離の経路で進行しますが、触媒活性種やCul触媒の正確な役割はわかっていません。反応は、アルキン基質あるいは加えたホスフィン配位子が、Pd(II)錯体を還元して形成した配位不飽和なPd(0)で開始されます。ハロゲン化アリールあるいはビニルが次にPd(0)に酸化付加し、銅(I)アセチリドのトランスメタル化がこれに続いて起きます。還元的脱離によるカップリング生成物の形成と触媒の再生で触媒サイクルが完結します。

実験手順

窒素雰囲気化、トリエチルアミン(3.1mL, 22.2 mmol)とアセトニトリル(50 mL)にアルキン(2.6 g, 7.5 mol)、ヨウ化アリール(3.5 g, 7.4mmol)、PdCl2(PPh3)2 (61.6 mg, 0.088 mmol)およびヨウ化銅(I) (16.8 mg, 0.088 mmol)を加えて、25℃で12時間拡販する。反応混合物をろ過、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル-酢酸エチル 10:1)で精製して白色個体の2置換アルキンを得た。 – C.C.Li, etal, J. Org. Chem., 68, 8500-8504 (2003).

ヨウ化アリールが最も反応させやすく室温で反応が進行しますが、臭化アリールではかなり反応性が落ちるため加熱条件が必要になる場合が多いです。

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