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NMRのデータベースと計算予測

NMRスペクトルの予測方法

NMRのデータベースや理論化学計算を利用すれば未知物質のスペクトルを予測することができます。NMRデータベースは無料で利用できるものも多いです。また、Chemdrawを利用したNMR計算も結構使えるので紹介していきます。NMRスペクトルを読む上で知っておくと役立つサイトや方法を紹介します!

NMRスペクトルのピークが不明なら調べてみよう!

NMRを測定したらNMRスペクトルに未知のピークが現れて困った経験はありませんか?既知化合物であれば、論文の値と比較することもできますが、新規の物質ではそうもいきません。また、部分構造がわかっていても推測したNMRとはピークのシフト値やカップリングが違う?ということもあります。既知化合物でも古い論文でNMRデータをひっぱてくるのは結構大変です。

[chat face=”komyaniro.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]そんな時はNMRスペクトルを計算で予測しよう![/chat]

ということで論文などの文献以外でNMRスペクトルを取得する方法をまとめてみました。


NMRデータベースの活用!

計算する前に実際に測定したスペクトルがあれば、計算よりも正確で便利です。簡単な化合物ほどNMRスペクトルデータが記載されている文献が古くて探すのが大変です。そんなときはNMRスペクトルデータベースを利用しましょう!

AIST(産総研)のSDBS(スペクトルデータベース)

国立研究開発法人産業技術総合研究所が無償で提供している有機化合物のスペクトルデータベースがSDBSです。世界的に見ても大きなスペクトルデータベースとなっています。H-NMRだけでなくC-NMR、FT-IR、ラマン、ESR、MSのスペクトルも提供されています。合わせて11万件のスペクトルデータが登録されています。免責事項として、個人が入手して良いスペクトルデータは一日に50件までとしています。

https://sdbs.db.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/direct_frame_top.cgi

ランディングページが2018年7月から提供されていて、SDBS番号が分かればURLからスペクトルデータに簡単にアクセスできるようになりました。

https://sdbs.db.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/landingpage?sdbsno=SDBS number

ChemSpider:王立化学会のフリー化学データベース

ChemSpiderはイギリスの王立化学会が提供しているフリーの化学データベースです。NMRスペクトルデータだけでなく、実験値の融点や沸点、溶解度も閲覧できます。スペクトルデータは少なめですがNMR(H,C)、MS、UV/Vis、IRなどが見られます。

http://www.chemspider.com/

Sigma-Ardrich:試薬会社提供のNMRデータ

アルドリッチは海外の有名な試薬会社ですが、いくつかの試薬は試薬のページに1H-NMRデータが公開されています。載っていない化合物もあります。NMRスペクトルのリンクは少しわかりにくいですが、あれば下の図のようにSDS情報などと一緒にリンクが貼ってあります。

ardrich NMR

NIST:アメリカ国立標準技術研究所のChemistry WebBook

NIST(National Institute of Standards and Technology)では残念ながらNMRのスペクトルはありませんが、IR,MS,UV/Visスペクトルが閲覧できます。

https://webbook.nist.gov/chemistry/

計算でNMRスペクトルを予測

細かいカップリングやシフト値には違いが出ますが、計算のNMRスペクトルの予測値も参考になります。簡単な化合物で、特殊な原子や官能基を含まないものならば結構正確に予測できます。

化学系定番のソフトChemDrawのNMRスペクトル予測

ChemDrawは構造式を書くソフトですが、計算機能もついていて、NMRの予測が可能です。

ケムドロー(chemdraw)のNMR予測の設定

NMRの設定は「File」→「preferences」から可能です。溶媒とヘルツを設定できます。

ケムドローのNMR予測

NMRの予測は、構造式を書いた後、構造式を選択した状態で「structure」のメニューからNMR予測を選択します。すると下のようなNMR予測値が出力されます。

ケムドローのNMR予測結果

少し遠めで見にくいですが拡大すればカップリングの様子も観ることができます。カーボンNMRも予測することができます。

ケムドローの使い方については

ケムドロー(chemdraw)の使い方・役立つ豆知識

nmrdb.org

nmrdb.orgは構造式を打ち込んだり、molファイルやSMILESデータを読み込ませることで、NMRスペクトルの予測計算をやってくれるクラウドサービスです。このサイトのすごいところは、一次元のNMRだけでなく、COSYやHSQCなどの二次元NMRの予測もできるところです。自分で計算環境を用意するのは大変で、時間もかかるのでこのようなサイトはとても役に立ちます。

http://www.nmrdb.org/

NMRShiftDB

NMRshiftDBでも構造式を打ち込めば予測ができます。ホームタブと同列にある「predict」を選択して出てくるフィールドに構造式を書きます。下のメニューから1H,13C、19F、NOEなど、予測したいNMRの種類と溶媒を選択して「Predict Spectrum」を押せばスペクトルの予測ができます。

https://nmrshiftdb.nmr.uni-koeln.de/


スマートフォンのアプリでもNMR予測が可能?

スマートフォンが目覚ましい勢いで進化していますが、最近はNMRの予測もスマホでできるようになっています。PCがなくてもお手軽にNMRスペクトル予測ができるのは便利ですね

Orange NMR

iOSのアプリの一つOrange NMRはタップ操作で入力した構造式から1Hと13Cスペクトルの予測ができます。簡単な構造の化合物や部分構造のスペクトルをちょっと見てみたいときなどに使えます。

http://www.moleculeapps.com/NMRPrediction.html

MRShiftDB

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