化学

薄層クロマトグラフィー(TLC)の基本と原理

有機化合物は目で見ただけでは、それがどういった物質なのか、混合物なのか判断することができません。

そんな時に用いられるのが、薄層クロマトグラフィー(TLC)という手法です。

薄層クロマトグラフィー(TLC)って何?

薄層クロマトグラフィー(TLC: Thin Layerd Chromatography)は、支持体(ガラスプレートなど)の上に充填剤(シリカゲルなど)を薄く塗ったものです。下の図には実際によく使われる一般的なTLCプレート(支持体:ガラスプレート、充填剤:シリカゲル)を載せてあります。


図 1. TLCの写真

そもそもクロマトグラフィーとは物質を分離・精製する手法のことで、TLCではその分離・精製に薄い層の膜を使うことから”薄層”クロマトグラフィーと言われます。ただし、TLCでは分離・精製に直接使うというよりも、TLC上で分離させることで化合物そのものや化学反応の進行の確認に使うことがほとんどです。

一言でいえば、TLCは試したい化合物がどのようなものかチェックする道具ということです。TLCを使うことで以下のようなことが分かります。

  • 単体か混合物か
  • 極性は高いか低いか → Rf値
  • ついている官能基 → 発色試薬
  • 化合物の特定(確実ではない)→ 重ね内+発色試薬

TLCの支持体

TLCの充填剤をさせているものです。ほとんどの場合ガラスが使われると思いますが、好きなサイズに切断するのに便利なアルミやプラスチックのものもあります。

TLCの担体(充填剤)

TLCの担体(充填剤)は、試験した化合物が直接触れる(スポッティング)部分で一般的には化合物と相互作用するものを用います。

  • シリカゲル
  • ジオールシリカ
  • アミノシリカ
  • カルボン酸シリカ
  • アルミナ
  • セルロース

TLCで分離できる原理

TLCでは「化合物と充填剤との親和性」と「化合物と流す溶媒との親和性」の2種類の親和性によって分離を行います。その親和性は化合物の極性によって変わります。

化合物はその分子自体の電子状態が一定ではなく、結合している元素や官能基によって電子に偏りが生じています。その偏りが生じている状態を分極といって、その分極具合を化合物の極性といいます。化合物によって極性の大きさは異なるので、TLCではその極性の差を利用して分離することができます。

具体的な方法では、まずTLCにキャプラリーなどを使ってサンプルを添加(スポット)します。その後、TLCプレートを溶媒の入った密閉容器に加えて溶媒を下から吸わせます。下から上に溶媒が流れることで、溶媒に親和性の高い化合物が上に上がってきます。その溶媒との親和性の差によって上がってくる場所が異なります。


図2. TLCの展開原理

具体的に分子がどのように働いているかというと、ガラスプレートに塗られたシリカゲルは厳密に言うとシラノール構造を取っています。シラノール基はケイ素と酸素が結合していることから大きく分極しており、極性の高い化合物です。そこに同様に極性の高いカルボン酸などを持った化合物がスポッティングされると、水素結合を形成し強い相互作用を示します。逆に極性がほとんどない化合物は相互作用しません。その結果、シラノールよりも極性が低い溶媒を流すと、極性がほとんどない化合物は溶媒と相互作用しやすいため、流れやすく、極性の高いもの流れにくくなります。従って一般的にはTLCの上部にでやすいものは極性が低い化合物で、TLCの下部に出やすいのは極性が高い化合物になります。


図3. 化学構造から見たTLC分離の原理

TLCスポットの検出

一般的にTLCのスポットした化合物は目で見ることはできません。もちろんもともと色がついているような化合物は目で確認できますが、それ以外の場合だと困りますよね。

そこで、TLCのスポットを確認するために様々な検出法が用いられます。大きく非破壊的検出法と破壊的検出法の二つに分けられます。

  • 非破壊的検出法: UV(254nm, 365nm), ヨウ素 etc.
  • 破壊的検出法: リンモリブデン酸、アニスアルデヒド etc.

検出法の原理や詳細については下記を参考にしてください。

薄層クロマトグラフィー(TLC)の検出法と発色試薬まとめ薄層クロマトグラフィー(TLC)は、溶媒を下から吸わせることで極性の差によって有機化合物を分離してくれます。しかしながら有機化合物はほと...

TLCプレートの作成

TLCプレートに関してはほとんどの場合既製品が売られているため、購入して使用することが多いです。Merck社のTLCが一般的だと思いますが、Wako社など他の企業からも販売されています。また、昔はスライドグラスにシリカゲルを溶媒に溶かしてピペットで塗布し、乾燥させることで作成していたようなので、自分でも作ろうと思えば作れます。ただ販売されているものは、均一できれいに充填剤が塗布されているので分離能が高いため、できれば販売されているものを購入した方が良いです。

販売されているTLCにも様々なものがあり、もともと使いやすいサイズに切られている場合と、ある程度の大きさで購入し自分で適切なサイズに切断するものがあります。自分で切断する際はガラス切断用のカッターがあるので、そちらを使用するとキレイに切断することができます。

作成したTLCプレートは水を吸ってしまわないように、タッパーなどに保存しましょう。

TLCのカットの仕方は下のページから!

はじめてのTLC分析!TLCのカットからスポット、発色試薬の利用まで

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専門: 有機化学