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TLCの原理と基本 | 薄層クロマトグラフィーって何?

有機化合物は目で見ただけでは、それがどういった物質なのか、また一つの化合物なのか混合物なのか判断することができません。

そんな時に用いられるのが、TLC(薄層クロマトグラフィー)という手法です。

TLC(薄層クロマトグラフィー)って何?

薄層クロマトグラフィー(TLC: Thin Layered Chromatography)は、有機合成で使われる分析手法の一つで、これを使うことで

「化合物の性質をチェックする」

ことができます。

TLCの名前の由来

そもそもクロマトグラフィーというのは、物質を分けたり(分離)、綺麗にしたり(精製)する方法のことで、TLCではその分離・精製に「薄い層の膜」を使うことから“薄層”クロマトグラフィーと言われます。

ただし、TLCは実際にクロマトグラフィーの主な役割である「分離・精製」に直接使うというよりも、TLC上で分離させることで

  1. 化合物の性質チェック
  2. 化学反応の進行の確認

に使うことがほとんどです。

TLCの具体的な操作

TLCの具体的な実験操作では、まずキャプラリーなどを使ってTLCに化合物を添加(スポット)します。その後、TLCプレートを溶媒の入った密閉容器に加えて溶媒を下から吸わせます。下から上に溶媒が吸われることで、極性の低い化合物が上に上がってきます。逆に極性が高い化合物はあまり上がってきません。TLCでは極性の差によって上がってくる場所が異なるため、それによって化合物を区別します。

TLCに化合物を添加して溶媒を流すことを、「TLCを展開する」と言います。またその際に使われる溶媒のことを「展開溶媒」と言います。

図1. TLCの展開

TLCの構造は?

TLCの構造は支持体(ガラスプレートなどの板)の上に化合物とくっつく充填剤あるいは担体(シリカゲルなどの粉末)を薄く塗って膜にしたものです。下の図には実際によく使われる一般的なTLCプレート(支持体:ガラスプレート、充填剤:シリカゲル)を載せてあります。


図2. TLCの写真

一言でいえば、TLCは試したい化合物がどのようなものかチェックする道具ということです。TLCを使うことで以下のようなことが分かります。

TLCで分かること

  • 単体か混合物か
  • 極性が高いか低いか → Rf値
  • ついている官能基 → Rf値 + 発色試薬
  • 化合物の特定 → 重ね打ち + 発色試薬

TLCの支持体

TLCの充填剤をさせているものです。ほとんどの場合ガラスが使われると思いますが、好きなサイズに切断するのに便利なアルミプラスチックのものもあります。

TLCの担体(充填剤)

TLCの担体(充填剤)は、試験した化合物が直接触れる(スポッティング)部分で一般的には化合物と相互作用するものを用います。

TLCで使われる充填剤

  • シリカゲル
  • ジオールシリカ
  • アミノシリカ
  • カルボン酸シリカ
  • アルミナ
  • セルロース

TLCで分離できる原理

TLCでは「化合物と充填剤との親和性」「化合物と流す溶媒との親和性」の2種類の親和性によって分離を行います。その親和性は化合物の極性によって変わります。

極性ってなんだっけ?

化合物はその分子自体の電子状態が一定ではなく、結合している元素や官能基によって電子に偏りが生じています。その偏りが生じている状態を分極といって、その分極具合を化合物の極性といいます。化合物によって極性の大きさは異なるので、TLCではその極性の差を利用して分離することができます。

化合物と充填剤との親和性

具体的に分子がどのように働いているかというと、ガラスプレートに塗られた充填剤(シリカゲル)はシラノール構造を取っています。シラノール基はケイ素と酸素が結合していることから大きく分極しており、極性の高い官能基です。そこに同様に極性の高いカルボン酸などを持った化合物がスポッティングされると、水素結合を形成し強い相互作用を示します。逆に極性がほとんどない化合物は水素結合を形成できないので相互作用しません。その結果、シラノールよりも極性が低い溶媒を流すと、極性がほとんどない化合物は溶媒と相互作用しやすいため、流れやすく、極性の高いものはシラノールとの強い相互作用によって流れにくくなります。従って一般的にはTLCの上部にでやすいものは極性が低い化合物で、TLCの下部に出やすいのは極性が高い化合物になります。


図3. 化学構造から見たTLC分離の原理

化合物と溶媒の親和性

先ほども少しでましたが、シラノール基と水素結合してる極性の高い化合物を流すためにはどうしたらいいでしょうか?

その答えは「極性の高い溶媒を流すこと」です。

極性の高い溶媒も、カルボン酸などの極性の高い化合物と水素結合を形成することができ親和性が高いため、シラノール基との水素結合を解消させることができます。

その結果、極性の高い化合物を流すことができます。

逆に言えば、極性の高い溶媒で流してしまうと、極性の高い化合物も低い化合物も両方とも流されてしまうということです。

そうなってしまった場合には化合物を分離することはできないため、適切な展開溶媒を選ぶ必要があります。

展開溶媒の選び方については別の記事で紹介しているので、良かったらそちらも参考にしてみてください。

TLCの展開溶媒ランキングaTLC(薄層クロマトグラフィー)の展開溶媒は何を使う?

TLCスポットの検出

一般的にTLCのスポットした化合物は目で見ることはできません。もちろんもともと色がついているような化合物は目で確認できますが、それ以外の場合だと困りますよね。

そこで、TLCのスポットを確認するために様々な検出法が用いられます。大きく非破壊的検出法破壊的検出法の二つに分けられます。

  • 非破壊的検出法: UV(254nm, 365nm), ヨウ素 etc.
  • 破壊的検出法: リンモリブデン酸、アニスアルデヒド etc.

検出法の原理や詳細については下記を参考にしてください。

薄層クロマトグラフィー(TLC)の検出法と発色試薬まとめ

TLCプレートの作成

TLCプレートに関してはほとんどの場合既製品が売られているため、購入して使用することが多いです。Merck社のTLCが一般的だと思いますが、Wako社など他の企業からも販売されています。また、昔はスライドグラスにシリカゲルを溶媒に溶かしてピペットで塗布し、乾燥させることで作成していたようなので、自分でも作ろうと思えば作れます。ただ販売されているものは、均一できれいに充填剤が塗布されているので分離能が高いため、できれば販売されているものを購入した方が良いです。

販売されているTLCにも様々なものがあり、もともと使いやすいサイズに切られている場合と、ある程度の大きさで購入し自分で適切なサイズに切断するものがあります。自分で切断する際はガラス切断用のカッターがあるので、そちらを使用するとキレイに切断することができます。

作成したTLCプレートは水を吸ってしまわないように、タッパーなどに保存しましょう。

TLCのカットの仕方は下のページから!

はじめてのTLC分析はじめてのTLC分析!TLCのカットからスポット、発色試薬の利用まで

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