TLC分析!TLCのカットからスポット、発色試薬の利用まで実践編!

はじめてのTLC分析

TLC(薄層クロマトグラフィー)は化学の基本!

薄層クロマトグラフィー(TLC: thin layer chromatography)は薄層板と少量の有機溶媒が有ればすぐにできるので、お手軽な化学的な分析方法として古くから利用されています。

化学反応によってどんな化学物質ができたのか?は透明な物質の場合、直接目で見てもわかりませんがTLCを使うことで目で見ることができるようになります

そこがTLCのすごいところです。

したがって、TLCは有機合成化学では必要不可欠なものです。

他にもIRやマススペクトル、NMRなど構造決定の手法はありますが、TLCは低コストで早くて多くの情報が得られる超有用な分析手法なんです。

ペンのインクを分離したりするのに使う「ペーパークロマトグラフィー」を知っている人も多いかもしれませんが、TLCはペーパークロマトグラフィーの強化版のようなものです。

そんな超重要な分析手法なので、テストや実習で登場しますし、実際に研究の現場でも多用されています。

しかも、TLCの原理を理解できれば、「有機化学の基礎を理解した言っても過言ではないほど奥が深い」です。

TLCをやる意味って何?TLCで分かることとは?

混合試料の中にどんな性質の化合物が含まれているか? 何種類含まれているか?を調べるために使います。

すなわち、混合物中に何種類の化合物がいるのか?どんな官能基を持つのかなど構造情報を得ることができます。

この記事では実践編として、詳しい理論などは述べずにTLCの購入から分析までの操作をひととおり紹介します。

TLCの原理や基本については以下の記事を参考にしてください!

TLCの原理と基本 | 薄層クロマトグラフィーって何?

TLCプレート(薄層版)はシリカゲル+ガラス+254nm蛍光がおすすめ

TLCプレートには様々な種類のものがありますが、最も使用頻度が高く、万能で応用が効くものは、支持体がガラスシリカゲルを担体としてシリカゲルのプレートです。

また、シリカゲルにUV 254nmを当てると光る蛍光検出薬が入っているTLCプレートを選択しましょう。この蛍光指示薬はUV 254nmの光を当てることによって、緑色の蛍光を発しますが、254 nmの波長の光を吸収する化合物(共役している化合物(ベンゼン等))がある場合は、蛍光を発するためのエネルギーが化学物質にとられるので蛍光が発せられずスポットは暗いスポットとして確認できます。この蛍光指示薬入のTLCを使えば無色で目にみることができない化学物質もUV(紫外線)を吸収していれば目で見ることができるようになります

TLCの検出

多くのメーカーから販売されていますが、そのなかおすすめなのが、メルク社のシリカゲルプレートです。あらゆるメーカーのものを試したことがありますが、シリカゲルが剥がれにくく品質が高いです。分析用と分取用のTLCプレートがあるので購入時には分析用のTLCを購入しましょう

支持体はガラスがおすすめですが、アルミ板のシリカゲルであれば、ガラスカッターがなくてもハサミでカットできます。ガラス切りがない場合はアルミを使ってもよいです。また、プラスチックのものもありますが加熱できないため、あまりおすすめできません。学生実習では安価なアルミ板を用いることも多いと思います。

担体はたくさんありますが、第一選択はシリカゲルです。何か問題があった時にシリカゲル以外のものを選択します。

TLCプレート選択のしかた

担体はまずはシリカゲルで分析用を選択
支持体はガラスプレート一択。ただしガラスカッターがなければアルミでも良い

TLCの前準備・カットとか

TLCプレートは購入した時は大きい正方形の板の状態なので任意の大きさにカットする必要があります(カットされているものも販売されています)。TLCプレートの横幅は1~2cmで高さは3-5cm程度に切ったプレートを用意します。ガラスカッターはペンタイプのものと、TLCを切る専用のものなどがあります。ペンタイプのものでも慣れれば早く切れるようになります。

・箱からTLCを出す前に手袋をします。パウダーフリーの実験用の手袋をして、なるべくシリカゲル面に触れないように取り扱います。TLCプレートを一枚取り出し後は最後のプレート上面がガラス面になるようにして保管します。TLCカットの様子

TLCをカットするときはあらかじめどの大きさにカットするか決めておいて、下端0.5~1cmくらいに鉛筆で線を入れておいてからカットしたほうが、後から個別に線を引く必要がなくて便利です。(スポットする位置を決める線です。)

TLCカット法

カットしたプレートは密閉容器に入れて保存します。シリカゲルは水分を吸いやすく、分離能が落ちてしまうため、なるべくデシケーター等で保管しておく。

TLCプレートの活性化
市販のTLCプレートはそのままでも十分に使用することが可能ですが、加熱処理を行って活性化させるとシリカゲルの保持力が高くなります。加熱は120℃で30分間行います。加熱後はデシケーター内で室温に戻しましょう。PLC(分取用TLCでは結構水を吸っていることが多いので加熱処理はやったほうが良いと思います。(分取用は水分を吸っていると加熱中剥がれることがあるので、ゆっくりと加温していき70℃で30分間加熱し処理してデシケーター内で室温に戻す。

試料の準備、どんな溶媒に溶かしたら良いか?濃度は?

TLC分析には展開槽、展開溶媒、試料溶液、キャピラリーが必要です。

キャピラリーの作り方キャピラリーの作り方とコツ TLCの展開溶媒ランキングaTLC(薄層クロマトグラフィー)の展開溶媒は何を使う?

試料の濃度はどのくらい?

試料濃度は試料1-5mgに対して0.5-0.8mLとNMR溶媒と同じくらいの濃度にします。溶媒はできるだけ沸点・極性が低く、溶解しやすいものにします。溶媒の沸点が高すぎると展開に影響を及ぼす可能性があります。DMSOやNMPなどの高沸点溶媒は使用しないようにしましょう。また、体試料の場合は完全に溶け切らせます。溶け残ったままでは本当は試料中にあるのにTLCでは確認されないということになりかねません。

試料濃度はあまり濃すぎるとキレイに展開しなくなります。少し薄めで作っておいたほうが良いです。馴れないうちは紫外線を当ててスポットの濃さを確認しながら打ちましょう。

TLCにスポッティングしてから解析まで

  1. 薄層板を用意し、下端から0.5-1cm程度の位置に線を引いて試料をキャピラリーでスポットします。スポットする位置は端から0.5mmくらいは離して、なるべく真ん中に近い方にします。(端付近はキレイに展開しにくいため)
  2. スポットの濃さはUVで見た時に軽く背景が見えるくらいの濃さで打ちます。スポットの直径は2mmくらいであまり大きくしないようにします。
  3. 酢酸エチル等なら板を手で振って乾燥させ、アルコールやアセトニトリルなどの高極性・高沸点の溶媒であればドライヤーで乾燥させます。キチンと乾燥させないと展開がうまくできません。
  4. 展開層に展開溶媒を加えてある5分程度静置させた後にピンセットを使ってTLCを展開層に入れます。この時スポットした部分が展開溶媒の液面以下になるようにします。(なるべく寝かせたほうが展開スピードが早い)
  5. 展開の様子を観察して水平にまっすぐ上がっていることを確認する。上端0.5-1cmくらいまで展開したらピンセットで取り出して展開した位置を鉛筆でマークする
  6. 乾燥してUVで観察あるいは発色試薬を使ってスポットを確認する。
  7. Rf値を算出して解析する。

三点打ち(重ね打ち)したTLC解析の流れ

カットしたTLCプレートに試料を三点打ち(重ね打ち)して展開後、Rf値を出して解析するまでの流れを図で表します。

TLC解析の流れ

三点打ち(重ね打ち)はその名の通り3点をとってスポッティングする方法です。3点打ちは「反応をやる前」と「反応後(反応中)」の2つの試料を持っていてそれを比較したい時やります。左は反応前、右は反応後、真ん中はその両方を打ちます。重ねて打つと距離が近いスポットが重なれば同じ、ずれて雪だるまのようになれば別物であると判断できます。

展開後のTLCのスポットは着色した化合物でもないと見ることができません。ベンゼンなどの共役した不飽和結合がある化合物はUV254 nmを照射することで見ることができます。不飽和結合がない化合物の場合は、ヨウ素やリンモリブデン酸等の発色試薬を使用してチェックしましょう。

全てのTLCの記事は以下のリンクから!

TLCの展開溶媒や原理など記事のまとめ TLC(薄層クロマトグラフィー)の化学まとめ!原理と展開、やり方

TLCの参考サイト

・TLCといえばメルク!のメルクが解説しているTLCの基本について

・化学メディアサイトのChem-StationさんでもTLCについて取り上げています。特に発色試薬の違いによる見え方の違いは参考になります。

・TLCのやり方を動画で説明してくれています。

全てのTLCの記事は以下のリンクから!

TLCの展開溶媒や原理など記事のまとめ TLC(薄層クロマトグラフィー)の化学まとめ!原理と展開、やり方

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