アミンは一つの化合物のグループの総称です。窒素を持つ化合物でトリエチルアミンやアニリンなどが代表例です。
有機化学の基礎で重要な物質であるアミンを紹介します。
アミンとは?
アミンは窒素元素を持つ化合物の代表例です。
アミンの一般式は以下の図のようになっており、Rには水素または炭素が結合します。
アミンの仲間にはトリエチルアミンやアニリン、ピロールなどがあります。
こめやん
アミノ基:官能基
アミンは特徴的な性質を示すため官能基として扱われます。-NRR’はアミノ基と呼ばれます。
アミノ酸はアミノ基を含む代表的な化合物の一つです。
アミンの性質
アミンの性質としては
- 塩基性
- 水溶性
- 臭い(魚の腐敗臭)
- 求核性
などがあります。
アミンは臭い
アミンに分類される化合物はくさいものが多いです。
トリメチルアミンは魚が腐敗した時に発生する腐敗臭成分の一つといわれています。ピリジンはベンゼン環内に窒素が組み込まれた複素環式アミンの一つで化学反応によく使う物質ですが、非常に臭いです。
アミンに対して人間が不快な悪臭を覚えるのは、食品が腐敗した時に発生する物質にアミンが多いから?かもしれませんね。
塩基性が高いアミン
アミンが塩基性を持つのは窒素原子上に非共有電子対を持つからです。
塩基性が高いアミンは酸性物質と反応します。それはプロトン(H+)と反応することを意味します。
つまり、電子が不足しているプロトンに対して電子を上げられる物質が塩基であるため、電子が余っているアミンは渡すことができるので塩基性を示します。
それではアルコールはアミンと同じく非共有電子対を持つにも関わらず塩基性が小さいのはなぜでしょうか?
それは窒素と酸素を比べた時、酸素のほうが電気陰性度が高く、電子を与えにくい性質だからです。窒素は酸素と比べて電気陰性度が低いため、プロトンに電子を与えられます。
また、アミンにも関わらず塩基性が低いものもあります。
それはアニリンやピロールです。
これらの物質の塩基性が低い理由は「非共有電子対が使用中だから」です。
アニリンに関しては窒素原子上の非共有電子対はベンゼン環のほうに移動して、非局在化してしまいます。化学物質の電子は一か所に集まる(局在)よりも全体に分散(非局在)したほうが安定だからです。
ちなみにこういった性質を持つため、芳香環上のアミノ基は「電子供与性」といわれます。アミンの非共有電子対が芳香環に供与(与える)する性質があるということを意味しています。
ピロールに関しても同じ理由です。
アニリンやピロールではプロトンに電子をあげたくても窒素上には電子が局在していないので与えることができません。したがって塩基性は低くなります。
塩基性の強さに関しては別記事で詳しく紹介する予定です。塩基性は第三級アミンが強く、第二級、第一級、芳香族の順に弱くなっていきます。
水素結合と水溶性と沸点
低級アミンは水溶性が高いです。
なぜなら、アミンの窒素は負に分極しており、水分子の正に分極した水素と水素結合することができるからです。
一般的にアニリンのように炭化水素基の割合の大きな分子は水溶性が低くなります。
こめやん
水素結合性を持つため、沸点もアルカン類と比べて高くなっています。
名称 | エタン | エチルアミン | エタノール |
沸点 | -89℃ | 16.6℃ | 78.4℃ |
アルコールのほうが沸点が高いのは電気陰性度の高い酸素による影響で大きく分極しているからです。
アミンの構造
アミンには結合する炭化水素基の数により第一級、第二級、第三級アミンと名称が変化します。
また、置換基が脂肪族の場合は脂肪族アミン、芳香族の場合は芳香族アミン、環内に組み込まれている場合は複素環アミンと呼ばれます。
アミンの立体構造
アミンの立体構造はメタンの構造とは少し違います。これも非共有電子対による影響です。
物質工学科出身ですが殆ど違う分野で働いています、ちょっと日にちの経った食品を口にしたとき独特の香りが口の中に広がったので「これってアミン?」と思い確認のために検索して辿り着きました。確認できて良かったですありがとうございました。
特に有機化学をやっていると日常の様々な場面で似た体験をするので面白いですよ。
研究している時にも匂いでどんな化合物ができたか分かったりします。
匂いから発見することも多いので興味を持ったら調べてみると面白いですね。