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シアノヒドリンの化学!合成と反応 ケトンやカルボン酸合成!

シアノヒドリンの化学合成と反応

シアノヒドリンはシアノ基とヒドロキシ基が同一炭素上に結合している化合物の総称です。シアノヒドリンはケトン、カルボン酸の合成中間体として有用です。

シアノヒドリンとは?

シアノヒドリンはシアノ基とヒドロキシ基を持つ分子の総称で、特に同一炭素上に結合している化合物を指すことが多いです。

シアノヒドリンの構造

シアノヒドリンの構造 from wikipedia public domain

シアノヒドリンはアルデヒド及びケトンに対してシアン化物イオンの求核付加によって生じます。アルデヒドの亜硫酸塩をシアン化物イオンで置換することによっても合成できます。

bisulfateからシアノヒドリンの合成 from wiki public domain




シアノヒドリンの特徴と反応

シアノヒドリンの特徴や反応はニトリルに由来します。

電子求引性基のニトリルが置換されていることによって水素が引き抜かれやすくなっているため、強力な塩基によってシアノヒドリンアニオンが生成します。このシアノヒドリンアニオンはアルキルハライドやカルボニル化合物などの求電子剤と反応して炭素ー炭素結合を形成します。

もともとアルデヒドのカルボニル炭素はプラスに分極していますが、シアノヒドリンはその逆でマイナスであるとみなせます。

シアノヒドリンの性質とは

シアノヒドリンの性質ー実際はシアノヒドリンのヒドロキシ基は引き抜かれないようにTMS基などで保護しておく必要があります。

シアノヒドリンは様々な反応に応用可能です(ほぼニトリルの反応ですが)

シアノヒドリンの反応概要例

シアノヒドリンの反応概要例

シアノヒドリンを加水分解したらアミド、カルボン酸の合成が可能です。

シアノヒドリンの加水分解

シアノヒドリンの加水分解

光学活性なシアノヒドリンの不斉合成は(R)-BINOLを利用することで可能になります。この方法は2005年にHatanoらにより報告されています。高いエナンチオ選択性でシアノヒドリンを合成できますが、脂肪族のアルデヒドに対しては選択性が低いです(BINOLのπ-π相互作用が選択性に影響してると予測)。

Hatano, Manabu, et al. “Chiral lithium binaphtholate aqua complex as a highly effective asymmetric catalyst for cyanohydrin synthesis.” Journal of the American Chemical Society 127.31 (2005): 10776-10777.
シアノヒドリンは工業的にも重要なため様々なアプローチで試みられています。以下のレビューが参考になると思います。
North, Michael, Dmitry L. Usanov, and Carl Young. “Lewis acid catalyzed asymmetric cyanohydrin synthesis.” Chemical reviews 108.12 (2008): 5146-5226.
Kurono, Nobuhito, and Takeshi Ohkuma. “Catalytic asymmetric cyanation reactions.” ACS Catalysis 6.2 (2016): 989-1023.

天然中に含まれるシアノヒドリン

シアノヒドリンは天然物質にも含まれています。

有名なものは青梅に含まれている青酸配糖体のアミグダリンです。他にも最近人気のタピオカの原料であるキャッサバにもシアノヒドリンが配糖体として含まれています。

天然中に含まれるシアノヒドリン

天然に存在するシアノヒドリン

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シアノヒドリンの反応

シアノヒドリンの加水分解でカルボン酸の合成

Brown, Matthew F. et al Journal of Medicinal Chemistry, 56(13), 5541-5552; 2013

シアノヒドリン(17.8 g、160 mmol)に濃塩酸を溶媒量加えて2.5時間還流した。反応後濃縮し、ジクロロメタン中で固化させて目的物を99%の収率で得た。

シアノヒドリンのニトリルを加水分解することによってαヒドロキシカルボン酸の合成が可能です。キラルなαヒドロキシ酸を合成したい場合は、エナンチオ選択的にシアノヒドリンを合成した後加水分解します。

条件によってはアミドで止めることも可能で、さらに濃硫酸のような脱水性の強酸を使うとヒドロキシ基が脱離してアルケンが生成します。

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