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身近な野菜に毒がある?天然毒素を持つ野菜まとめ!

身近な野菜にも毒がある!食中毒を起こして最悪死亡する可能性も

毒といえば何を思い浮かべますか?

[chat face=”komeyaniro.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]青酸カリとか、サリン、ふぐ毒、ヘビ毒、蜂とかですか?[/chat]

毒と言うと「人工合成された化学物質」というイメージが強いですか?よく思いうかべると生き物が持っている天然の毒(天然の化学物質)が結構たくさんあることに気づきます。

少なからず化学物質には毒があると考えられます。身近な水であっても水を飲み過ぎて死亡する可能性もあるのです!

水中毒、水飲み過ぎは毒水の飲み過ぎは危険!水中毒で低ナトリウム血症や痙攣で最悪死亡も!

今回は安全だと思っているけど実は毒がある危険がある野菜を紹介します。知っているものもあると思いますが家庭菜園をしている人は気づかずに毒を摂取していて、場合によっては危険なこともあるので確認しておきましょう。

毒のある野菜 ナス科

ナス科の植物は野菜にたくさんありますが、自然界にいるナス科の植物の多くは有毒で食べられないものが多いです。実は野菜として食べているものも例外ではありません。普段食べているナス科の野菜にも毒が含まれているものがあります。ナス科の植物は「アルカロイド」と呼ばれる毒物を含むことが多いです。しかし、だからといって以下にあげるナス科の植物を避ける必要はありません。適切な処理や摂取法を守れば、健康上問題となる心配はすくなく、むしろ栄養豊富で美味なナス科植物をバランスよく取るほうが健康上好ましいです。関節炎に関与するという説もありますが直接的な証拠はありません。しかし、ナス科植物へのアレルギーを持っている場合はやめておきましょう。

じゃがいもの芽には毒(ソラニン)

じゃがいも」もナス科の植物です。じゃがいもは通常は毒素は含んでいませんが、じゃがいもの芽や日光があたって緑色に変色している部分には毒素である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。未熟で小さいじゃがいもは毒物が多い可能性があるので気をつけましょう。

じゃがいもの食中毒を防ぐポイントとして、

  1. 日光に当てると毒が増えるので、日陰保存。日光があたって緑色に変色したらその部分を取り除く
  2. 未熟で小さい芋は毒が多い可能性があるので大きくなってから食べる
  3. 芽には毒が多いのでくり抜く
  4. 皮にも毒があるので剥いて食べる
  5. 毒が多い芋は苦味やエグ味がするので、食べない

じゃがいもの毒は熱を加えても壊れません。2015年には奈良県の小学校で校内で収穫したじゃがいもを食べたところ吐き気などの食中毒が起きています。家庭菜園では未熟な芋や変色した芋などを食べてしまう可能性があるので注意しましょう。

ソラニンとチャコニンの化学

ソラニンとチャコニンの構造式

ソラニンとチャコニンはコレステロールのようなステロイド骨格を持つステロイドアルカロイドです。ソラニンやチャコニンはグルコース、ラムノース、ガラクトースなどの糖類をもつことから、グリコアルカロイドというように分類されています。一般的にはグリコアルカロイドと呼ばれています。中毒症状は下痢や嘔吐、激しい腹痛などを呈します。この物質は抗菌作用があることからカビや昆虫から身を護るために生成していると考えられます(フィトアレキシン)。ソラニンは細胞膜あるいはコリンエステラーゼに作用することで毒性を発揮するようです。これらの毒素は皮から3mmのところに集中しています。皮むきによって60%~96%くらいの毒を除去できます。ただし、緑変したものなど毒を多く含んでいるものに関しては35%くらいしか除去できないようです。

ソラニンなどのグリコアルカロイドは水にほとんど溶けない

ソラニンなどのグリコアルカロイドを水中に晒したり、茹でこぼしたりすることで、毒を減らすことができると信じられていますが、これらのグリコアルカロイド類はほとんど水に溶けないのであまり意味がありません(1990年の研究より)。じゃがいもの食中毒を防ぐという目的では皮をむく、変色したものは食べないようにするというのが有効のようです。構造をみると糖類が3つもあるので水には割と溶けそうですけどね。水に溶けないというよりも、溶けださないような場所にあるのかもしれませんね。

参考1)OSTRÝ, V.; RUPRICH, J.; SKARKOVA, J. Glycoalkaloids in potato tubers: the effect of peeling and cooking in salted water. Acta alimentaria, 2010, 39.2: 130-135.

参考2)TAKAGI, Kayoko, et al. Effect of cooking on the contents of α-chaconine and α-solanine in potatoes. Food Hygiene and Safety Science (Shokuhin Eiseigaku Zasshi), 1990, 31.1: 67-73_1.

参考3) Solanine & Chaconine

トマトにはトマチンという毒が含まれる

通常食べているトマトには毒性はありませんが、未熟な青いトマトや茎、葉っぱにはトマチンというグリコアルカロイドが含まれています。これはじゃがいものソラニンなどと同じような毒素です。

トマチンの構造

トマチンが多い部位は花、葉、茎、未熟果の順に少なくなり、完熟果実ではほとんど含まれなくなります。葉や茎に含まれているトマチンの量は完熟果実の約2000倍にもなります。トマトの葉や茎を家庭菜園などで食べてしまわないようにしましょう。一方で完熟果実ではほとんど含まれていないので、安心して食べられます。近年はトマチンは毒性もありますが、抗腫瘍活性やLDLコレステロール値の降下効果など体にとって有益な作用があるという研究結果もあります。薬と毒は紙一重ですね。トマトの毒で死ぬにはラットのLD50から推測すると4トンぐらい食べないと死ねません。

トマチンの構造式はじゃがいものソラニンと同様にステロイド骨格と糖類が結合した配糖体の構造をしています。同じグリコアルカロイドの一種で作用もにています(コリンエステラーゼ阻害)

ナスをチョウセンアサガオに接ぎ木して有毒化

ナス自体には有毒成分はほとんど含まれていないですが、2006年に毒をもつことで有名なナス科のチョウセンアサガオを接ぎ木の台木として育てたナスが有毒化して、それを食べた夫婦が食中毒になった事件が発生しました。この事例は非常に稀かと思われますが、家庭菜園をしているとこういった予測不能な事故が起こる可能性があるので注意したいところです。チョウセンアサガオはスコポラミンやアトロピンという毒物が含まれています。蕾をオクラだと思って食べる例などがあるので注意しましょう。

ナス科の植物は面白い化合物を含む物が多い!

野菜ではありませんが、身近で毒のあるナス科の植物はたくさんあります。これらの毒の一部は医薬品としても利用されたりもしています。唐辛子に含まれる辛味成分であるカプサイシンもある意味で毒です。また、ホオズキやタバコ、ペチュニア、ベラドンナなどは有毒で食べると食中毒を起こします。ピーマンの苦味成分についてはアルカロイドだと言われていましたが、ポリフェノールの一種であるクエルシトリンであることがタキイ種苗とお茶の水女子大の研究でわかっています。苦くないピーマンなども開発されています。ナス科の植物は面白いですね。

バラ科の植物に含まれる青酸化合物

バラ科というと食用というイメージはありませんが、実はたくさんあります。杏、もも、梅、さんくらんぼ、アーモンド、びわなど多くの果物類、ナッツ類はバラ科に属する植物です。これらのバラ科の植物の種子周辺には毒物である青酸化合物が含まれていることが多く注意が必要です。

梅、アンズ、さくらんぼ、りんご、びわのたねには青酸化合物が!特に梅は注意!

バラ科に属するものの種子は食べないほうが良いです。多かれ少なかれ青酸化合物(アミダグリン)がが含まれている可能性があります。アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類の果実を食べることは無いと思いますが、家庭菜園などで育てている場合などは注意しましょう。

特に、青梅は有名で、種にかぎらず果肉部にも多くの毒が含まれています。これを食べるには酒につけて保存することによって分解させる必要があります。しかし、無理やり食べる必要もありません。アミダグリンが健康に良いという噂が出回って、ビタミンB17と称されたり健康食品として利用されることがあるようですが、高濃度のアミダグリンが検出される例もあるので危険です。海外では死亡例もあるので無理に摂取しないほうが良いでしょう。

参考)山崎慎也, et al. 杏仁のエタノール水溶液浸漬によるアミグダリンの低減. 日本食品科学工学会誌, 2012, 59.10: 522-527.

アミダグリンの化学

アミダグリンはマンデロニトリルとグルコースが結合した構造をしています。

アミダグリンの構造式酒による分解機構はエタノールによりアミダグリンを溶解させ、エムルシンと呼ばれる酵素によりグリコシド結合を切断して、マンデロニトリルにした後、加水分解されて、シアン化水素(HCN)と芳香成分であるベンズアルデヒドが生成します。エタノール濃度は濃すぎるとエムルシンが失活してしまうので20%程度が良いようです。

ウリ科の植物に含まれる毒!ユウガオの毒

ウリ科の植物にはきゅうり、かぼちゃ、ズッキーニ、ゆうがお、メロン、スイカなどがあります。野菜でも大活躍なウリ科ですが、これにも有毒な場合があるので注意しましょう。ウリ科の植物で注意する有毒成分は「ククルビタシン類」でこれはウリの苦味に由来する成分です。

苦いウリに注意!ゆうがお、ズッキーニ、メロン、きゅうりがいつもより苦い?

有毒なククルビタシンを含むことが多い植物としてユウガオがあります。ユウガオはあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、その実は「カンピョウ」になります。ユウガオを食べるときは味見をして苦味がないか確認しましょう。苦味が強い場合はククルビタシンが含まれる可能性があるので食べないようにしましょう。ユウガオの他にもズッキーニやきゅうりなども同様に苦味がある場合はククルビタシンが含まれる可能性があるので食べないようにしましょう。ユウガオは接ぎ木の台木として利用される場合があり、その場合は有毒化する恐れがあります。

ククルビタシン類の食中毒

ククルビタシンを摂取すると唇や舌がしびれたり、吐き気や下痢などの症状が現れます。食べてから数分から数時間に症状が現れます。苦味がしたら食べるのを控えましょう。

ククルビタシンE

 

ユウガオとひょうたんは同じ仲間です。ひょうたんは苦味が強く食用できませんが(ククルビタシン含有量が多い)、ひょうたんのなかでも苦味が少ないものが食用として流用されたものがユウガオです。そのためまれに苦味が強くなることがあります。

銀杏に含まれる毒、4-O-メチルピリドキシン

銀杏は秋の味覚として昔から食されていますが、銀杏に毒があることは昔から知られています。銀杏に含まれている毒は4-O-メチルピリドキシンという化合物で、食べ過ぎると、硬直性痙攣などを起こします。このような硬直性痙攣は抑制性の神経伝達物質であるGABAを間接的に抑制する効果があるためであると考えられています。(4-O-メチルピリドキシンは抗ビタミンB6作用を持つ)

銀杏による毒性は個人差がありますが、子どもは弱く、大人でも50個前後を食べると中毒症状が現れる可能性があります。

ビタミンB6と4-O-メチルピリドキシンの関係

ビタミンB6とMPN(4-O-メチルピリドキシン)

左の構造が銀杏の毒成分、右がビタミンB6です。ビタミンB6は抑制性の神経伝達物質であるGABAを生合成(体の中で作る)に関わっていますが、銀杏の4-OメチルピリドキシンはビタミンB6に非常に似ている(4位の水酸基がメチル化しているかどうか)ので、ビタミンB6が働くべき場所で4-O-メチルピリドキシンが代わりにはたらいてしまいます。しかし、4-O-メチルピリドキシンはビタミンB6のような働きができないのでGABAが作られず神経が興奮してしまいます。これが毒性を示す機構です。このように体の中の重要な物質(ビタミンとか)と似ている形をした化学物質は重要な物質の働きを邪魔することがあるため、毒物となり得ます。

野菜の王様モロヘイヤにも毒?

モロヘイヤといえば、古くから食べられている栄養豊富な野菜で、野菜の王様と呼ばれることもあるようです。独特の粘り気をもち、人気の高い野菜の一つです。

しかし、そんなモロヘイヤにも毒があり、日本国内でもモロヘイヤを食べさせた牛が3頭死亡するという事故が起きている。モロヘイヤは通常若葉を食用として食べていますが、葉っぱ以外の部分にはストロファンチジンと呼ばれる毒が含まれていることがわかっています。死亡した牛は実がついたモロヘイヤを食べさせたことが原因であると考えられています。ストロファンチジンは強心作用を持つ化学物質で、大量に食べると心臓で出血が起こり死亡する。モロヘイヤに含まれるストロファンチジンの毒は種子、茎、根、葉の順番に多く含まれているようです。茎にも含まれていて種の1/20程度あるようです。家庭菜園では誤って食べることがあるかもしれないので注意が必要です。

ストロファンチジンの構造

ストロファンチジンもステロイド構造を持つ毒素です。似た構造を持つ毒素としては、ジキタリスに含まれる強心配糖体「ジゴキシン」があります。

ジゴキシンの構造

ジゴキシンもステロイド部分の構造(右上)は似ています。どちらも作用も似ていて、Na+/K+-ATPaseという酵素を阻害することで細胞内カルシウム濃度が上昇が引き起こされ、筋肉の収縮力が増大することで強心作用を示します。少量なら薬ですが、安全量を超えると心室性期外収縮などの重篤な不整脈を生じて死亡します。

濱口芳浩, et al. 牛のモロヘイヤ (Corchorus olitorius L.) 種子中毒. 日本獣医師会雑誌, 1998, 51.8: 407-410.

たけのこにも毒がある!

タケノコと言えば春の味覚でとれたてのタケノコの味わいは格別です!タケノコにも毒が入っています。タケノコを未処理で食べるのは勇気がいりますが(強烈な苦味とえぐ味のため)。タケノコに含まれている毒は「タキシフィリン」という青酸配糖体と「シュウ酸」です。タケノコの毒、タキシフィリンとシュウ酸タキシフィリンは梅などのバラ科の植物が含むアミダグリンに似ています。同じく青酸(シアン化水素)を出すために有害です。これはよく水煮することで除去できます。タケノコは他にも苦味成分を含むために米ぬかや重曹でにて苦味やえぐ味を除去してから食べるのでこの処理を行っていれば安全です。シュウ酸はえぐ味の原因物質で、ほうれん草などにも含まれています。植物に広く含まれる毒成分の一つです。シュウ酸の塩であるシュウ酸カルシウムは針状の結晶を作りそれが組織に刺さることで痛みや違和感を覚えるようです。シュウ酸は結石の原因になるとも考えられています。

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