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身近な野菜に毒がある?天然毒素を持つ野菜まとめ!

トマトにはトマチンという毒が含まれる

通常食べているトマトには毒性はありませんが、未熟な青いトマトや茎、葉っぱにはトマチンというグリコアルカロイドが含まれています。これはじゃがいものソラニンなどと同じような毒素です。

トマチンの構造

トマチンが多い部位は花、葉、茎、未熟果の順に少なくなり、完熟果実ではほとんど含まれなくなります。葉や茎に含まれているトマチンの量は完熟果実の約2000倍にもなります。トマトの葉や茎を家庭菜園などで食べてしまわないようにしましょう。一方で完熟果実ではほとんど含まれていないので、安心して食べられます。近年はトマチンは毒性もありますが、抗腫瘍活性やLDLコレステロール値の降下効果など体にとって有益な作用があるという研究結果もあります。薬と毒は紙一重ですね。トマトの毒で死ぬにはラットのLD50から推測すると4トンぐらい食べないと死ねません。

トマチンの構造式はじゃがいものソラニンと同様にステロイド骨格と糖類が結合した配糖体の構造をしています。同じグリコアルカロイドの一種で作用もにています(コリンエステラーゼ阻害)

ナスをチョウセンアサガオに接ぎ木して有毒化

ナス自体には有毒成分はほとんど含まれていないですが、2006年に毒をもつことで有名なナス科のチョウセンアサガオを接ぎ木の台木として育てたナスが有毒化して、それを食べた夫婦が食中毒になった事件が発生しました。この事例は非常に稀かと思われますが、家庭菜園をしているとこういった予測不能な事故が起こる可能性があるので注意したいところです。チョウセンアサガオはスコポラミンやアトロピンという毒物が含まれています。蕾をオクラだと思って食べる例などがあるので注意しましょう。

ナス科の植物は面白い化合物を含む物が多い!

野菜ではありませんが、身近で毒のあるナス科の植物はたくさんあります。これらの毒の一部は医薬品としても利用されたりもしています。唐辛子に含まれる辛味成分であるカプサイシンもある意味で毒です。また、ホオズキやタバコ、ペチュニア、ベラドンナなどは有毒で食べると食中毒を起こします。ピーマンの苦味成分についてはアルカロイドだと言われていましたが、ポリフェノールの一種であるクエルシトリンであることがタキイ種苗とお茶の水女子大の研究でわかっています。苦くないピーマンなども開発されています。ナス科の植物は面白いですね。

バラ科の植物に含まれる青酸化合物

バラ科というと食用というイメージはありませんが、実はたくさんあります。杏、もも、梅、さんくらんぼ、アーモンド、びわなど多くの果物類、ナッツ類はバラ科に属する植物です。これらのバラ科の植物の種子周辺には毒物である青酸化合物が含まれていることが多く注意が必要です。

梅、アンズ、さくらんぼ、りんご、びわのたねには青酸化合物が!特に梅は注意!

バラ科に属するものの種子は食べないほうが良いです。多かれ少なかれ青酸化合物(アミダグリン)がが含まれている可能性があります。アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類の果実を食べることは無いと思いますが、家庭菜園などで育てている場合などは注意しましょう。

特に、青梅は有名で、種にかぎらず果肉部にも多くの毒が含まれています。これを食べるには酒につけて保存することによって分解させる必要があります。しかし、無理やり食べる必要もありません。アミダグリンが健康に良いという噂が出回って、ビタミンB17と称されたり健康食品として利用されることがあるようですが、高濃度のアミダグリンが検出される例もあるので危険です。海外では死亡例もあるので無理に摂取しないほうが良いでしょう。

参考)山崎慎也, et al. 杏仁のエタノール水溶液浸漬によるアミグダリンの低減. 日本食品科学工学会誌, 2012, 59.10: 522-527.

アミダグリンの化学

アミダグリンはマンデロニトリルとグルコースが結合した構造をしています。

アミダグリンの構造式

酒による分解機構はエタノールによりアミダグリンを溶解させ、エムルシンと呼ばれる酵素によりグリコシド結合を切断して、マンデロニトリルにした後、加水分解されて、シアン化水素(HCN)と芳香成分であるベンズアルデヒドが生成します。エタノール濃度は濃すぎるとエムルシンが失活してしまうので20%程度が良いようです。

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