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タピオカの原料キャッサバに含まれる毒は危険なの?科学的に解説します。

最近は色んな所にタピオカ屋さんが出店していて、タピオカミルクティーを飲むのが定番化してきましたよね。

実はそんなタピオカの原料であるキャッサバには毒が含まれているって知ってましたか?

シアノヒドリンとキャッサバ

アフリカの一部では、キャッサバが主食なんです。キャッサバにはかなりの量のアセトンシアノヒドリンのグルコシドが含まれています。このグルコース構造はシアノヒドリンを安定化させていて、グルコシド自身には毒性はありませんが、人の腸内の酵素によって分解されてシアン化水素(HCN)を放出します。


図1: 酵素によるシアン化水素発生のメカニズム

キャッサバ100gあたりからHCNは50mg程度放出されます。シアン化水素の致死量が0.06g(60mg)と言われているので、発酵していないキャッサバの1食分だけても十分致死量になります。

なぜタピオカは食べても大丈夫なのか?

実はタピオカにする前のキャッサバは一度発酵させる過程を取っています。キャッサバを水につけて放置し、発酵させるとキャッサバ自体がもっている酵素が人の体にある酵素と同じ働きをするので、HCNを洗い出すことができます。

このようにしてシアノヒドリンを除去すると食べても安全ですが、それでもごく微量はグルコシドを含んでいます。アフリカ等でみられるいくつかの病気は、長期にわたるHCNの摂取が原因であることが多いとされています。

危ないのはキャッサバだけじゃない?

実はこのシアノヒドリンのグルコシドに似た化合物はリンゴの種子やモモあるいは杏などの果物の種子にも含まれています。

もちろん一般に売られているのものですので、食べたから即危険ということはありません。最近では上記のような種子を健康法として食べる話もありますが、少なくともHCNに毒性があることは事実です。どうしても試したい場合でも、少なくとも一度にたくさん食べるのは避けましょう。

なぜタピオカは黒いのか?タピオカの白と黒の違いって何?

参考文献

1). J. Clayden, N. Greeves, S. Warren著(2015)『ウォーレン 有機化学(上)第2版』(野依良治 監訳)東京化学同人

2). 栃木県ホームページ, 「用語解説」<https://www.pref.tochigi.lg.jp/kankyoseisaku/home/keikaku/archive/jisyo/sia-001.html#:~:text=%E9%9D%92%E9%85%B8%EF%BC%88%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E5%8C%96%E6%B0%B4%E7%B4%A0%EF%BC%89%E5%8F%8A%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%A1%A9%E9%A1%9E,g%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82> 2023年2月25日アクセス

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