リチウムジイソプロピルアミド (LDA)は金属アミドに分類される強塩基です。非常に強力な塩基として有機合成反応で利用されます。
LDAとは?
リチウムジイソプロピルアミド(LDA)はジイソプロピルアミン中にn-ブチルリチウムを添加することによって合成できます。塩基性は非常に強い(共役酸のpKa=36)です。
LDAの特徴
塩基性が非常に強いLDAは酸性度の低い水素を引き抜くことが可能です。
- ケトンの水素引き抜きでエノラートを生成
- 立体障害が大きいので求核性が低い
- 有機溶媒への溶解性が高い
- 入手が容易
t-BuOKなどでは引き抜くのが難しいケトン類などの水素を引き抜くことが可能です。
またイソプロピル基に由来する立体障害のおかげで求核性が低いため、n-ブチルリチウムで問題となる付加反応(ケトンに対する求核付加)が起きにくく、エノールの生成に向いています。
LDAのように求核性が低い強塩基には
などがあります。
LDAを使った反応
立体障害の大きいLDAは求核性が低いため、エノラートの合成によく使います。特に酸性度の低いケトンのエノラート生成に有用です。
求核性が低い強塩基の代表であるNaH(水素化ナトリウム)も同様にエノラートの生成に利用されますが、有機溶媒に溶けにくいという欠点があります。LDAは有機溶媒に溶けやすい利点があり、迅速にエノラートが生成します。
LDAの立体選択性
LDAがかさ高いため、位置選択性が生まれます。
通常、接近しやすい位置の脱プロトン化が進行します(立体が空いている方のプロトンを引く抜く)。
LDAはZエノラートを生成しやすいという特徴があります(LiTMPはEエノラート選択的)。