化学

亜鉛による還元

亜鉛で還元

亜鉛による還元は古典的かつ実用的な反応としてよく利用されています。亜鉛による還元は酸、中性、アルカリ中のいずれのpHにおいても実行できます。亜鉛と酢酸条件が有名かもしれません。亜鉛による還元は簡便かつ多様性があるので代表的な反応をまとめてみました。

亜鉛による還元

亜鉛を使った還元は亜鉛粉末を加えて混ぜるだけで反応が進行するので簡単で良い方法です。亜鉛による還元は酸、アルカリ、中性条件いずれも利用可能です。酸性条件(塩酸や酢酸)がよく使用されているようです。

亜鉛による還元を受ける官能基としては

  1. ニトロ→アミン、(ヒドロキシルアミン)
  2. ケトン→アルコール、メチレン
  3. N-オキシド→アミン
  4. アジド→アミン
  5. アゾ→ヒドラジン
  6. ハロゲン→水素
  7. 過酸→アルコール
  8. ジスルフィド→チオール
  9. α-ハロケトン→ケトン

などがあります。

亜鉛還元の反応条件とやり方

反応の前準備:亜鉛の酸化被膜の除去

亜鉛の表面は酸化されやすいため、古い亜鉛粉末は特に酸で表面の酸化皮膜を除去しないと反応が進行しにくいです。Zn/HClの条件で用いる場合以外は、「2Mくらいの塩酸に浸して表面の酸化膜を溶かしてから、吸引ろ過で塩酸を除去、水、アルコールで洗浄(乾燥して)したらすぐに使用しましょう

酸性条件+亜鉛

酸性条件+亜鉛を用いる反応は最もよく利用される亜鉛還元の条件だと思います。よく使われる酸としては

  1. 塩酸
  2. 酢酸
  3. 塩化アンモニウム(中性ともいえる)

の3つです。酢酸と亜鉛の組み合わせは塩酸ほど過激ではないためよく使われます。

ニトロ基の還元

ZnとNH4Clによるニトロ基の還元

NH4Clは非常にマイルドな酸性条件で進行させることができるので、酸に弱い官能基があっても反応できるのがメリットです。しばしば室温よりも高い温度(アルコール加熱還流)が求められることもありますが、反応の選択性が高く使いやすいです。亜鉛は基質の5~10当量くらい過剰に使います。この条件では、ニトリル、アミド、t-ブチルエステル、アセタール、ハロゲンなどは影響を受けません。アルキン、保護基のTroc基は脱保護されます。塩化アンモニウムを使った還元ではヒドロキシルアミンで止まることもあるので鉄やスズを使ったほうが良いかもしれません。

スルホニルクロライド(-SO2Cl)→チオール(-SH)の還元反応

スルホニルクロライドはZnでチオールに変換することができます1a)Zn+HClによるスルホニルクロライドをチオールに変換

ref.1a) Patent. WO 2009069312

ケトン→メチレンの還元反応

Zn+HCl2

亜鉛+塩酸の組み合わせでは定番のニトロ還元はアミンまで還元されます。この条件ではジケトンのメチレン化も進行します。

アジドの還元

アジドも亜鉛により還元されてアミンになります。ほぼ中性で定量的で選択性も良いです。

亜鉛によるアジドの還元

原料(0.9035 g, 2.884 mmol),メタノール27mL及びテトラヒドロフラン27mLの溶液に亜鉛粉末(1.91 g),塩化アンモニウム(3.82g、71.42 mmol)を加えて、混合物を1時間激しく撹拌した。反応後セライトろ過し、メタノール:テトラヒドロフラン(1:1)で洗浄した。濾液を濃縮し、酢酸エチル350mLで希釈し、水100mLで3回、ブライン50mLで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して目的物を得た(quant)。(ref) U.S patent 20100160308)

亜鉛によるアジドの還元他

アジドの還元は酢酸を使っても可能です。嵩高いアジドの還元も進行します。酸としてはギ酸やギ酸アンモニウム、TFAなども可能です。脂肪族アジドの還元も可能です。

塩基性+亜鉛の酸化

塩基性(NaOH等)と亜鉛の組み合わせは、ニトロ基をアゾ基及びヒドラゾ基への還元反応に使います。この反応は一般的にヒドラゾ基まで進行しやすいです。この反応は鉄やスズなどでは進行しにくいです。

亜鉛と水酸化ナトリウムによるヒドラゾ基の合成

Patent) JP. 2008222601

塩基性条件で行う金属還元では多くの場合ニトロ基の還元はアミンまで変換されません。

中性条件+亜鉛の還元反応

中性条件でも還元は進行するが、遅いため通常若干酸や塩基に偏らせることが多いです。特に塩化アンモニウムは弱酸性であるため、中性に近く酸性に弱い官能基も耐える事が多いのでよく使われる。

芳香族ニトロ基の還元は酸性条件ではアミンまで還元されるが、中性条件ではヒドロキシルアミンで反応が止まる。塩化アンモニウムを加えると反応が促進され、熱をかけるとアミンまで還元される。中性条件の触媒としては塩化アンモニウムの他に塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどが使われます。

中性条件でのニトロ基の還元はアルカリ金属を用いた例が

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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております