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生存者バイアスとは?飛行機の例をわかりやすく解説

生存者バイアス

生き残ってきた者は常に競争に打ち勝ち強い者。それは間違いないでしょう。
ビジネスの世界でも、その業界で名を轟かせ、大きな事業をやってのける、生き残った人たちは強者です。

今回はそんな強者たちにまつわるバイアス。生存者バイアスについて紹介しようと思います。

心理学では、生存者バイアスは確証バイアスやハロー効果と同じ認知バイアスと呼ばれる分類にあります。認知バイアスはどれも似通った部分があるため混同しないように注意しましょう。

生存者バイアスとは?

生存者バイアスとは、生存者(成功者)には注意が払われるが、犠牲者(敗者)には注意が向けられない傾向のことです。

勝者

勝者には注目が集まるもの!

「集計した結果、戦争から生きて帰って人はお守りAを持っていた人が多かったからお守りAは効果が高い」という結果が得られたと聞いてどう思いますか?お守りAの効果が高いと感じませんか?

しかし、「お守りAを持って行ったけど死亡してしまった人」を考えてみましょう。死亡者たちは集計には入っていないので実は効果が高いとは言えないかもしれません。

お守りAを持って行った200万人→生きて帰った人:1万人(集計可能)死亡した人:199万人(集計できない)

このように、生存者は当然残るため、後になって集計することが可能であり、目立ち、影響を及ぼしやすいですが、死亡者・失敗例などは消えてしまい、目立たないため無視されやすいのです。

生き残った1万人は多い気がしますが、199倍の人がお守りAを持っていたにもかかわらず亡くなっています。これが生存バイアスです。生存者ばかりに注目してしまって読み間違いをしてしまいます。

世の中は輝かしい成功者の話にあふれていますが、実際は成功者よりも圧倒的に多い失敗例ががあることに目を向けなければなりません。

それはどんな失敗があったのか?という情報が出てこなかったり興味を向けられにくいのですが、その情報のほうが重要なこともあります。

それでは生存者バイアスは実際の生活ではどんな問題を生むのでしょうか?その例を紹介していきます!

生存者バイアスの例

生存者、成功者というのは、敗北者よりも少ないこと多いでしょう。

勝者は発言力も強く、目立ちますし、説得力もあるため、割合が少ない勝者だけのデータを重視されやすいです。そうすると判断に偏りが生じてしまう恐れがあるというのが生存バイアスです。その例をいくつか紹介していきます。

飛行機の例

飛行機の例は生存者バイアスの例として最も有名なものだと思います。

第二次世界大戦時で活躍した戦闘機・軍用飛行機ですが、敵の射撃によって撃ち落とされることを防ぐために、数学者のアブラハム・ウォールドは帰還した戦闘機をよく観察して銃撃された箇所が多い部分の装甲を厚くして墜落確率を下げようとしました。

こめやん

合理的な判断だと思いますが、何か問題があるんですか?

ここに生存者バイアスが隠されています。なぜなら、撃ち落とされずに帰ってきた航空機は撃ち落とされるような急所に攻撃を受けずにいたから帰ってきたのであって、撃ち落とされてしまった飛行機はその重要な部分を攻撃されたせいで墜落したとも考えられるからです。つまり本当に防御を固めるべき場所は撃ち落とされてしまった飛行機が被弾した箇所を重点的に強化していくべきなのです。

こめやん

撃ち落とされなかった飛行機=生存者 ということですね!

Survivorship-bias
Suvivorship-bias © McGeddon(Licensed under CC BY 4.0)より引用

飛行機の例に限らず軍人の例でも同様ですね。任務を終えて生き残った軍人が被弾した箇所が臀部や腹部が多かったからと言って、その部分を強化しても、死亡者の大半が頭をやられているのであれば、頭を最重要で守れるようにすることが死亡率を下げるのには役立つはずです。

情報商材・成功メソッドの例

とある成功者が紹介する最強の起業メソッド。成功者本人が実践してきた内容をまとめた方法論を使用すれば同じように成功者になれる!というものですがここにも生存者バイアスが隠されています。会員にはこの方法を使うことによって本当に成功する人が何人もいます。これは本物だろう!→この方法で成功している人が何人もいても、失敗している人は何千、何万人もいるかもしれません。一部の成功者だけで判断すると危険かもしれません。

起業関連では、成功者の中に大学を中退した人がいるのが強調されることがありますが、大学を中退したほうが成功しやすいというような考察は生存者バイアスがかかっています。

とある予備校の例

とある予備校では東大合格者が全生徒の3%ほどいました。彼らの勉強のやり方には共通点があって、夜間はちゃんと寝て、休日はしっかりとっています。このようにメリハリつければ東大合格できるから実践しましょう。東大合格者以外の人たちとの差は本当にあるのかわからない。夜間は勉強などやらず、休日は勉強をサボっている人も多いのではないか?

ネコの生存率

1987年に高所(6階建て以上)から落下したネコはそれよりも低い位置から落下したネコよりも生存率が高いという報告がありました。6階建て以上にもなると落下時の空気抵抗で落下スピードが平衡に達するためであると考えられていましたが、これも生存者バイアスが働いているとされています。

なぜならば、6階建て以上から落下したネコは2階や3階から落下したネコよりも怪我をすることが多くそのほとんどが病院につれていかれますが、2,3階から落下したネコは怪我せずに病院に行かず、打ちどころの悪い重症のネコだけが連れて行かれるせいで死亡率が上がったように見えるだけだと指摘されています。

内定者から就活生へのアドバイスも生存バイアス

内定をもらった学生からの就活生へのアドバイスは生存者(内定者)が語るので説得力がありそうですが、就活生が「面接でここを突かれてうまく答えられなかったから、きちんと対応しておくと良いよ!」というようなアドバイスはまさに、「帰還した軍用機の被弾箇所」と似ています。

本当に必要とするアドバイスは内定をもらっていない人のアドバイスかもしれません。

病気の予後

重度な病気の生存率にも生存者バイアスがかかることがあります。病気が診断されてからどのくらいの年数生存したか?という調査集計は診断後すぐに死亡してしまった患者は数字に含まれないため、見かけ上の生存率が高くなります。

努力は無駄?生存者バイアスか?

成功者は輝かしい経歴や成功の裏に地道な努力が隠れていることが多いです。成功者が語る「成功するには努力が大事だ」というのは生存者バイアスなのでしょうか?
失敗した人の中にも努力をしてきた人はたくさんいます。したがって、努力すれば成功できるというのは違うのかもしれません。成功者の中にも努力をしなくても成功している人もたくさんいるのだと思います。

しかし努力しても成功はできないかもしれませんが、無駄であることはないでしょう。

何かを達成するためには努力を要する場面はあります。

こめやん

他人からみると努力・苦労していると見られても本人はそう思っていないことってありますから!

まとめ

1人の人間が収集できる情報量が限られています。また、前提、ベースとなる知識のばらつき・偏りがあります。人間の判断には様々なバイアスがかかっていることに注意を払いたいものです。

果たしてそうなのか?そうでない場合もないのか?などと疑ってかかる視点を持つことも重要です。

世の中の調査統計はバイアスにあふれています。このようなバイアスが存在していることをきちんと理解して調査されているかどうかはかなり疑問が残ります。数字はわかりやすく、説得力があるため騙されないように気を付けましょう。

観察者バイアス観察者バイアス | 科学でも問題になる? 自己中心性バイアス

参考文献

  1. Brown, Stephen J., et al. “Survivorship bias in performance studies.” The Review of Financial Studies 5.4 (1992): 553-580.

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