科学技術の発展は日常生活の便利さを向上させるだけでなく、安心・安全な社会構築にも役立っています。
犯罪捜査もその例外ではありません。科学の発展により様々な痕跡から犯人にたどれるようになってきています。
代表的なのは「DNA情報」です。人それぞれ違ったパターンのDNAを持つため犯人を特定できるようになっています。
犯罪捜査が正確になれば犯人を見つけ出すだけでなく冤罪などを減らすことができます。
本ブログで取り上げた科学を利用した犯罪捜査方法について紹介します。
目次
科学の力で犯罪捜査!
血痕の検出
刃物を使った殺傷事件では現場に血痕が残されてるはずです。
容疑者の自宅の一室が犯行現場だった場合は疑いが一気に強くなるでしょう。犯行現場が特定できればさらなる証拠を見つけ出すことも可能であると思われます。
しかし、犯人も目に見える血痕は拭き取って残していないと思われます。
そんなときに科学の力を利用します。
「ルミノール反応」は血痕を検出する代表的な方法です。
ルミノールは血液中に微量存在する鉄分を触媒として発光する試薬です。血痕が残っていればその部分が蛍光を発して目で見てわかるようになります。
詳細は以下の記事を参照してください
ルミノールは比較的簡単に作ることができるので自由研究、学生実習や部活・サークルで作ってみると良いかもしれません。
指紋の検出
指紋は古くから使われている古典的な証拠の一つですが現在も使われている強力な犯人特定方法です。
指紋の検出は古くは粉をふりかけて浮かび上がらせる方法をとっていましたが、凹凸面が多い表面では利用できません。
指紋には汗(水分)のほか、脂質やたんぱく質、塩類などが混じっているのでそれらの成分と反応する試薬を利用することで指紋を浮かび上がらせることができます。
「ニンヒドリン」はたんぱく質成分と反応して紫色に変色します。
指紋捜査はどうやってやるの?化学反応を使った指紋鑑定の原理と方法
死斑で死亡推定時刻を割り出す
死斑は死後に皮膚表面に現れるアザのことを言います。刑事ドラマなどでもよく登場するのでご存じの方も多いと思います。
良くドラマで死亡推定時刻を瞬時に割り出すことができるのは死斑などの死体変化を観察しているからでしょう。
死斑は死体が置かれる状態によって出方が変化するので万能ではありませんが、死後から6~12時間の間で分かります。死後数時間か1日くらいたったかなどが分かります。死斑の色調から死因(一酸化炭素中毒、シアン化合物中毒など)を推定することもできます。こうした変化は血液中に含まれるヘモグロビンと死因物質との化学反応によって生じると考えられています。
死後硬直で死亡時刻を推定
死後硬直は有名な死体変化です。死後は筋肉が硬直して動かなくなります。これも死斑と同じくわかりやすい変化ですね。死後硬直が起こりやすい首周りの筋肉から始まり、手足などの末梢関節に広がっていきます。半日くらいで死後硬直が完成し、30時間以上たつと徐々に硬直がほどけてきます。
詳しくは以下の記事を見てください
死体温で死亡時刻を推定
死亡すると体温調節が効かなくなるため、徐々に体温が低下していきます。外気温によって死体温の変化は変わりますが、皮膚表面は死後1~2時間程度で冷たくなり、4-5時間で脇などの大きな血管が通る部位が冷たくなります。直腸温度を測定することでより長時間の推定が可能です。
角膜の混濁と粘膜の乾燥
死亡後から乾燥が始まります。角膜は乾燥によって濁ってくる特徴があります。
角膜が濁るのは水晶体や角膜のたんぱく質が水分の蒸発によって変性してくるためです。透明なたんぱく質は規則正しい配列をしていますが、水分がなくなるとこれが崩れて光が散乱するようになります。
死後1日たつと瞳孔を確認するのが困難になり、2日経過すると白濁して瞳孔を観察できなくなります。白内障患者ではこの手法は使えないのが注意点です。