しいたけやエリンギなどたくさんの食用のキノコがありますが、自然界には毒性のあるキノコがたくさんあります。
そのため、山にしいたけみたいなきのこがあるからといって持ち帰って食べてしまうと
最悪、死に至るケースもあります!
しかし、実は食用のキノコにも毒があることを知っていますか?
普通の食べ方をしている場合は平気なのですが
「生食」すると危険です。
キノコサラダなどとしてキノコを生で提供される場合があるかもしれませんが、気をつけないと中毒になる恐れがあるんです。
例えばしいたけも生では毒があります。
食用きのこも生食では毒がある
毒がある代表的な食用キノコは「しいたけ」「エリンギ」「まつたけ」があります。
食用キノコの有害物質は「熱に弱い」のできちんと加熱すれば大丈夫です!
「しいたけ」「エリンギ」「まつたけ」の毒について解説していきます
しいたけ (ホルムアルデヒド)
しいたけにはホルムアルデヒドという毒成分が含まれています。
こめやん
ホルムアルデヒドは過剰に摂取すると皮膚炎や胃腸障害を起こすことがあります。
このホルムアルデヒドは沸点が低いので、加熱によって揮発したり分解したりして除去されますので加熱処理をすれば食べられます。[参考1]。
ホルムアルデヒドはレンチニン酸という成分から生成します。それと同時にレンチオニンという成分も生成しますが、これは干し椎茸などに独特の椎茸フレーバー成分です。
エリンギ, しいたけ (シアン化物)
エリンギや舞茸はシアン化合物生産きのことして知られています。
シアン化合物と聞くと「ギクッ」とした人はいるのではないでしょうか?
そう、シアン化合物といえば、ドラマの殺人などで良く使用される「青酸カリ」が有名です! (青酸カリはK-CNでCNはシアノ基といいます。)
エリンギなどのキノコは体内に猛毒のシアン化水素(HCN)を貯め込む性質があります。
エリンギを大量に食べて死亡例があるので注意です(シアン化合物によるものかは不明)
シアン化水素は沸点が低く加熱すると揮発しやすいため、よく加熱して食べれば問題にならないようです。
かなり有毒な毒素だと思いますが、加熱すればOKのようです。
[参考2]
しいたけの食中毒症状
- 腹痛・下痢
- 嘔気
- 皮膚のかゆみ (しいたけ皮膚炎)
生のままでは数枚、生焼けを10枚程度食べると食後2時間から数日後症状が現れる場合があります。
皮膚炎は胸や背中にかゆみが現れ、掻くとその部分が跡になって発疹が生じる場合があります。
松茸 (ヒスタミン)
あの高級食材の松茸にも毒成分が含まれています。
松茸には「ヒスタミン」が含まれています。ヒスタミンは他の毒物と違って熱で分解しません。
松茸を大量に食べることは少ないと思うのであまり心配はいらないと思いますが注意しましょう。
実はヒスタミンはよくある食中毒の原因物質でもあります。
食べ物が腐るとタンパク質が分解してヒスタミンが溜まっていて食中毒を起こします。
松茸の食べすぎ!ヒスタミン中毒の症状
- じんま疹
- 舌や顔面の腫れ
- 嘔吐や下痢などの消化器症状
大抵は半日程度で回復します。
食中毒を起こす危険なきのこ!
食用とされるキノコが300種類あるうち、毒キノコはどのくらいあると思いますか?
答えは、「2500種類」です。
食用よりも8倍以上も毒キノコのほうが多いのです!
しかも、まだ見つかっていない未知の毒キノコを加えるとさらに数倍増えるそうです。
毒キノコは見た目が派手でわかりやすいものから、食用のものと見分けがつかないものもあるので、絶対に野生のキノコをとって食べないようにしましょう。
プロが見間違うことがあるので、あまり販売されていないようなキノコは大量に食べないほうが良いです!
キノコを見分けるのは非常に難しいのです。
キレイなきのこは毒がある?!ベニテングタケは美味いが毒!
毒キノコの中でも有名なのが鮮やかで毒々しい見た目をしているテングタケの仲間でしょう。
毒がありますが意外にとても美味しいようです。
図1.ベニテングタケ
ベニテングタケは深紅色と白色のいぼが傘にある特徴的なカタチをしている毒キノコ
ベニテングタケの中毒症状は複雑で、食後3時間くらいで始まります。
ベニテングタケの中毒症状
軽症状
- 嘔吐、下痢等の胃腸症状
- 多汗
- 流涙
- 視力障害(縮瞳や散瞳)
重症状
- 神経興奮作用(狂騒や痙攣)
- 昏睡
死亡率は数%程度
ベニテングタケの毒は主に3種類あります。
イボテン酸、ムッシモール、ムスカリンです。
イボテン酸はとても強い旨味を持っている化学物質で、比較的弱い毒なのでこの旨味を目当てにベニテングタケを食べる人もいるそうです。(真似しないでください)
イボテン酸は興奮性の化学物質ですが、マジックマッシュルームのような強い幻覚作用などはないので、幻覚作用目当で食べないように! (多動、興奮、せん妄作用がある)
イボテン酸は不安定で脱炭酸反応を起こしてムッシモールという物質に変化します。
ムッシモールはイボテン酸とは正反対に抑制性の神経に作用します。(痙攣、嘔吐、めまい等)
ムスカリンはムスカリン性アセチルコリン受容体の作動薬(アゴニスト)として働き、発汗、腹痛、下痢、縮瞳などがおこり、重度の場合呼吸困難などを起します。
イソオキサゾール環は窒素と酸素を含む5員環の複素環です。ムッシモールやイボテン酸はイソオキサゾールを含む珍しいアルカロイドです。
イソオキサゾール環の合成・医薬品構造としての有用性レビュー・イッポンシメジ
図2.イッポンシメジ
最も誤食の多い毒キノコの一つ
イッポンジメジに含まれる毒はムスカリンやコリン、分子量4万程度の水溶性溶血タンパク質で、摂取すると下痢や嘔吐などを起こす。ひどい場合は死亡する。
きのこには毒のあるモノがたくさんあります。もしも、きのこをたくさん食べたあとに具合が悪くなるようなことがあれば、すぐに医療機関で診てもらうようにしましょう。
そして決して自分できのこをとって食べてはいけません!危険ですよ!
参考2:新藤哲也,牛山博文,観公子:キノコ中のシアン含有量及び調理による消長.食衛誌1999;40:29-35.