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化学物質過敏症とは

化学物質過敏症とは

化学物質過敏症とは

化学物質過敏症とは、に揮発性の化学物質の微量な暴露によって起こる健康被害のことです。化学物質過敏症は極微量の化学物質が存在するだけで症状が出る場合があるため、本当に化学物質過敏症というものが存在するのか確かめるのが難しく、研究者間で議論されています

症状としてはおもに1.アレルギー様の症状と2.自律神経系に対する症状が確認されています。

症状の一覧

頭痛、吐き気、目眩、アレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支炎、喘息、皮膚炎、咽頭炎、消化器症状(下痢、便秘)、精神症状、自律神経系症状等

最も頻繁な症状は頭痛吐き気喉の痛みなどです。

化学物質過敏症の定義
1.慢性疾患である
2.再現性を持って現れる症状を有する
3.関連性の無い他種類の化学物質に反応を示す。
4.微量な物質暴露に反応を示す
5.原因物質の除去で改善または治癒する
6.症状が多くの器官・臓器にわたる

化学物質過敏症は神経系、感覚器系、呼吸器系に症状が出やすく、一つの症状からやがて拡大して様々な化学物質に対する症状も増加する傾向がある。また、40-50代女性に多いという特徴があります。

化学物質過敏症の実態

化学物質過敏症の原因、メカニズムに関する研究は少しずつ進んでいます。アメリカの調査によるとIgE抗体と微量化学物質が関わるアレルギー症状が原因である患者は全体の1割程度だと予想されています。身体に有害な症状を呈さない低い濃度の化学物質に長期間暴露された経験がある場合あるいは短期間に特定の化学物質に大量に暴露した経験がある場合にアレルギー様症状、神経系症状が発症することが知られています。このような経験が化学物質過敏症の引き金となっている可能性があります。

化学物質過敏症の原因となる化学物質

化学物質過敏症を発症の原因となる化学物質はたくさんあります。これがメカニズムの究明を難しくする原因の一つになっています。これまでに知られている原因物質には

  • ホルムアルデヒド
  • パラジクロロベンゼン
  • トルエン
  • キシレン
  • スチレン
  • 防虫・殺虫剤(有機リン系:クロルピリホス)
  • 難燃剤
  • 可塑剤

などがあります。これらの特徴は揮発性の化合物であるという点です。

化学物質過敏症の社会的な問題・課題

化学物質過敏症はその原因やメカニズムなどがまだ明確にわかっていません。そのため、別の原因で症状が出ている人との区別ができません。そうなると問題となるのが、実際に健康障害が出ている人に対する被害です。

  1. 健康障害が出ているにもかかわらず病気として明確に認定されないため、社会の理解を得にくい。(原因物質は大抵の人にとっては無害)
  2. 過度な主張による風評被害

などがあります。原因やメカニズムがどうであれ、健康障害が出ていれば当人にとっては辛いと思います。しかし、病気として認定されなければ社会的な理解は得にくいでしょう。平気な人にとっては、「本当にそれが原因なの?」「私は平気だしあなただけしか症状が出てないよ?」と思われてしまえば、まともに取り合ってもらえないでしょう。さらにごく低濃度の化学物質で症状がでてしまうのなら現実的に対応が難しい場合もあります。

2つ目に挙げた、一部の人の過度な主張とは、気分が悪くなる嫌いな香りに対して、「その物質は有毒だ」とか「そうした有毒な化学物質をまき散らすのは悪だ!」というような主張が当てはまります。このような主張は化学物質過敏症でない人から反感を買いやすく、「気のせいだ」とか「心の問題だ」というように受け取られやすいです。このような主張が一般的な化学物質過敏症の主張であると認識されてしまうと本当に健康被害が出ている人に対して被害が及びます。

心因性の症状は化学物質の有毒性と切り離して考えるべきか?

糞臭や腐敗臭で気分が悪くなったり、食欲が低下したり吐き気を催したりするのは必ずしもその化学物質の有毒性によるものではないと考えられませんか?でも実際に体は反応しますよね?むしろ、有毒ではない化学物質であっても体に症状を引き起こすものがあるというように考えられます。症状がでる=有害な化学物質だ!有害なものをまき散らすな!というのではなく、無害でも症状が出る場合を理解してもらったほうがよいかもしれません

改善法・治療法

多くの場合はその原因となる化学物質を特定し、それを避けるようにして生活を送ることができれば症状は軽快します。問題は、化学物質過敏症に罹患した経験のあるひとは他の化学物質に対しても過敏症を発症する可能性が高いということです。天然のもののほうが安全だといわれますが、むしろ天然物で作られたもののほうが様々な化学物質が含まれているので危険性が高いことも多いです。天然物には危険な物質もたくさんあり、人工物よりもよっぽど複雑です。

天然物=安全 と考えていると危険!

含まれている化学物質の数でみれば天然物と人工物で比較すれば圧倒的に天然物のほうが多いです。例えば海水から作る食塩(天然)と水酸化ナトリウムと塩化水素から作る食塩(人工)では、製法にもよりますが、圧倒的に人工のほうが塩化ナトリウム(食塩の成分)の純度が高く、他成分は少ないです。一方で天然の塩には塩化ナトリウム以外の成分(カリウムや銅、鉄、カルシム、マグネシウム、臭素、ヨウ素、また鉛やウラン等、あるいは糖類やアミノ酸、脂質等)など多量の成分が含まれています。天然物は安全であるという保障はありません。むしろ天然物は未知の作用を示す物質の宝庫であると考えられているのです(天然物化学など)多種の化学物質の暴露によって症状が現れる化学物質過敏症の場合天然物ではどの化学物質が症状を引き起こしているのか特定するのが困難です。もしかしたら使用している天然物が危険なものかもしれないので注意が必要です。

まとめ

化学物質過敏症はその症状自体が多岐にわたるため、その原因究明が大変難しいです。だからといって、化学物質を不必要に怖がる必要もありません。身の回りにはたくさんの化学物質にあふれていますし、通常の場合は身体に有害な症状を呈するほどの濃度で暴露する場合は少ないです(仕事などで暴露している場合以外)。一方で実験で毒性がないと確認されている濃度の暴露も身体に有害な症状を呈する場合もあると思います。私は乗り物酔いをするのですが、バスの臭いが苦手で、あの臭いをかぐだけで気持ち悪くなって吐き気がするこがあります。あれも、臭いの原因となる化学物質が存在していると思いますが、それ自体に有毒な毒性は無さそうですよね?しかし、臭いがするという時点で人間に作用していることは間違いありませんし、そういう症状になってしまう人がいるということを周りが理解して対策していきたいところです。有害じゃない、私は平気だから、あなたは神経質だからといって、無視することが無いようにしてほしいですね。

参考文献

1)Rossi, Sabrina, and Alessio Pitidis. “Multiple chemical sensitivity: review of the state of the art in epidemiology, diagnosis, and future perspectives.” Journal of occupational and environmental medicine 60.2 (2018): 138.

2)石川哲, and 宮田幹夫. “化学物質過敏症.” 医学のあゆみ 188 (1999): 785-788.

3)紀杉, et al. “天然塩製塩過程における海水から塩への元素の分配.” 分析化学 49.2 (2000): 111-119.

4)長谷川眞紀, et al. “化学物質過敏症可能性例の検討: アレルギーの観点から.” アレルギー 54.5 (2005): 478-484.

 

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こめやん
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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております