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フィッツナー・モファット酸化: Pfitzner-Moffatt Oxidation

フィッツナー・モファット酸化について

フィッツナーモファット酸化はDMSO酸化の変法のひとつでDMSOとDCCを原料の第一級アルコールまたは第二級アルコールと反応させてアルデヒドおよびケトンを合成する反応です。

フィッツナーモファット酸化

フィッツナーモファット酸化

Swern酸化と比べて、Pfitzner-Moffatt酸化は室温で反応可能な利点があります。

欠点としては、温度によっては副反応が多く、DCC由来の副生成物の除去が面倒な点が挙げられます。

一方でスワン酸化などでは達成しにくい酸化反応がフィッツナーモファット酸化では進行したという例もあります。swern酸化でうまくいかなかった例ではPfitzner-Moffatt酸化を試す価値がありそうです。

Pfitzner-Moffatt酸化が得意な基質

特にフィッツナーらは初期の報告でヌクレオシドの5’位の第一級アルコールの酸化に利用しているように、糖類やヌクレオシド合成ではフィッツナーモファット酸化が良い結果を与える例がいくつか報告されています。

同じDMSO酸化のSwern酸化やその他の方法ではうまくいかない場合にPfitzner-Moffatt酸化を検討してみてください。
また、DCCがかさ高い分子であるため、立体的な影響により位置選択的に酸化できる可能性もあります。

1) Pfitzner, K. E., and J. G. Moffatt. “The synthesis of nucleoside-5 ″Aldehydes.” Journal of the American Chemical Society 85.19 (1963): 3027-3027.
2) MATSUI, MICHIO, et al. “Studies on L-Gulonic Acid Derivatives. III. Synthesis of Benzyl 2, 4, 5, 6-Tetra-O-benzyl-L-gulonate and Its Oxidation.” Chemical and Pharmaceutical Bulletin 16.7 (1968): 1294-1299.

フィッツナー・モファット酸化の特徴

スワン酸化よりも反応仕込みは楽です。

スワン酸化と同様に悪臭を放つ副生成物であるジメチルスルフィドは生成します。副反応としてメチルチオメチルエーテル化も起こります。

-78℃などの低温条件が必要ないので、スケールを上げやすく大スケールへの適用しやすそうですが、DCCや反応物のウレアの除去が面倒なので余り積極的には使いたくないです(悪臭の問題があるので安易に大スケールに適応しないほうがよいかも?)。

酸化反応の中では温和です。様々な官能基存在下でもそれらを犯すことなくアルコールを酸化可能です。

DCCはアレルギーを起こしやすいので取り扱いに注意です。また副生成物のウレアは溶媒に溶けにくくさらに中途半端な極性で除去に苦労する場合もあります。DCCは3等量くらい過剰に加える必要があります。フィッツナーモファット酸化では酸触媒を加える必要があります。リン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸が用いられます。トリフルオロメタンスルホン酸の酸性度が気になる場合はピリジンを加えて緩衝させる場合もあります。酸などの酸触媒を加えることがあります。

他の類似した酸化方法としては、DMSOの活性化剤として

があります。

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