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溶媒から過酸化物を除去する方法

溶媒から過酸化物を除去する方法

溶媒を取り扱う上で問題となるものとして、過酸化物の存在があります。エーテル系溶媒は過酸化物を作りやすく注意が必要です。パーオキサイド構造(O-O-)は不安定で壊れやすいので、爆発性を有します。今回は溶媒から過酸化物を除去する方法を紹介します。

過酸化物が生成しやすい溶媒とは?

エーテル系溶媒や炭化水素類が空気中の酸素などと反応して過酸化物を生じます。特にジエチルエーテルやTHFなどのエーテル系溶媒は過酸化物を作りやすく注意が必要です。過酸化物が危険なのは、不安定なパーオキサイド構造を含むため、ちょっとした熱や衝撃で爆発する恐れがあるからです。過酸化物の生成は気づきにくく、溶媒を濃縮していたら突然爆発したという事故が実際に起っています。

特に古い溶媒は過酸化物が多く生成している可能性があるので、過酸化物ができていないかをチェックする必要があります。過酸化物の存在を調べる方法は、ヨウ化カリウムを利用した方法があります。

過酸化物の存在を調べる方法

ヨウ化カリウムデンプン紙などもありますが、これを購入しなくてもKIがあれば調べられます。方法は、
スリ付き試験管などに10%ヨウ化カリウム水溶液1mLを加えて、1M硫酸水溶液を数滴加えて酸性溶液とした後、過酸化物の存在を調べたい溶媒を1~2mLほど加えて、栓をしてよく振り混ぜます。過酸化物が存在している場合は酸化によりヨウ素が発生して、褐色に変化します。過酸化物の溶媒中に白い固体などが生成している場合はそれが過酸化物の場合があります。その場合は衝撃や濃縮を避けて過酸化物を処理します。


過酸化物の除去方法

過酸化物がある場合は以下の方法で除去することができます。

水と混和しない溶媒(直鎖エーテル類)

  • 硫酸酸性飽和FeSO4水溶液で分液する
  • 飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、NaOH水溶液、水で分液する

水と混和してしまう溶媒類、および溶媒精製のための方法

  • 固体のCuClを加えて加熱還流後に蒸留する
  • LIAlH4存在下で加熱還流後蒸留する (LAHが危険なためおすすめしない)
  • 活性アルミナカラムを通す

活性アルミナカラムを通す方法が最も簡便で多くの溶媒類に適応可能な方法です。

過酸化物が生成しやすい溶媒の例

過酸化物が生成しやすいのはエーテル類や嵩高い炭化水素類などです。
例として、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、MTBE、
THF、メチルTHF、ジオキサン、ジオキソラン
2-プロパノール、イソプロピルベンゼン(クメン)
があります。
これらの溶媒や試薬類を利用する時は過酸化物の存在に十分に気をつけて実験するようにしましょう。
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