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爆発物の構造の特徴

爆発物の構造の特徴

爆発物はダイナマイトの原料で有名な「ニトログリセリン」など、熱や衝撃などが加わった際に、熱と大量のガスを発生させて周囲に急激な圧力上昇を引き起こす(爆発)物質のことです。
いろいろな爆発性物質が知られていますが、一体どのような構造の化合物が爆発しやすいのかまとめてみました。

爆発性物質とは?

爆発物はちょっとした衝撃や熱によって急激に化学反応を起こす物質です。爆発性物質の共通点は分子内に不安定な結合を持っているという点です。アセトンパーオキサイド(TATP)を始めとした過酸化物は爆発性を持つことが知られていますが、これらの過酸化物は非常に不安定で切れやすい酸素同士の結合、ペルオキシド構造(-O-O-)を持っています。過酸化アセトンの構造
切れやすい化学結合は反応性が高く、ちょっとした衝撃や熱で解離して爆発します。過酸化アセトンは衝撃に非常に敏感で火薬としては使いにくいです。簡単に作れてしまうのでたまに問題になります。

こめやん

アセトンと酸化力の強い発煙硝酸の組み合わせは過酸化アセトンが生成するので非常に危険です。

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爆発性物質の構造と特徴

爆発性物質は弱い結合を持っていることが知られています。特にヘテロ原子同士の結合(N-OやO-O、N-N)などは注意が必要です。

N-O結合を有する爆発性物質

爆発しやすく威力も強いもの

  1. 硝酸エステル(R-ONO2)
  2. ニトロ化合物(R-NO2)
  3. ニトラミン(R-N-NO2)
  4. 雷酸(-ONC)

爆発性を有するもの

  1. アミン硝酸塩(R3N・HNO3)
  2. ニトロソ(RーNO)
  3. ニトロソアミン(RN-NO)

N-N結合を有する爆発性物質

爆発しやすく威力も高いもの

  1. アジ化水素酸・塩(H-N3)
  2. アジド(R-N3)

爆発性を有するもの

  1. ジアゾ化合物(塩、オキシド、イミン、シアニド等)
  2. ヒドラジン類

N-XまたはN-C結合を有する爆発性物質

  1. 金属アミド
  2. ハロゲン化窒素
  3. シアン化物塩

O-O結合を有する爆発性物質

爆発しやすく威力も高いもの

  1. ヒドロペルオキシド(R-OOH)
  2. パーオキシドケトン(過酸化アセトン等)
  3. オゾニド

爆発しやすい爆発物

  1. パーオキシド構造を持つその他の化合物(過酸、過酸エステル

O-X結合を有する爆発性物質

爆発しやすく威力も高いもの

  1. 過ハロゲン化酸類(XO4)

爆発性を有するもの

  1. 亜・次亜ハロゲン酸塩(XO2・XO)

歪を有する不安定な構造を有する爆発性物質

  1. オキシラン(エポキシ)
  2. アセチレン・ポリアセチレン類
  3. シュウ酸塩類

以上の化合物は主にヘテロ原子同士の結合あるいは歪を有する不安定な結合をもつ化合物です。これらの不安定な結合は爆発を引き起こす原因となります。一方で、不安定な結合を持たなくても可燃性のものは爆発を起こすことがあるので注意します。粉塵爆発で小麦粉が爆発するということもあります。

爆発のしやすさと強弱

爆発物の代表的な指標として「感度」と「威力」の二種類があります。感度は爆発を起こさせるのに必要なエネルギーの量で表され、高感度な爆薬は感度が高い=爆発を起こさせるのに必要なエネルギー量が小さいことを意味します。あまりにも感度が高すぎると製造が難しく、ちょっとした衝撃で爆発するので危険です。製造されているような爆薬は感度は低く、安全なものが多いです。そのため、研究室のような場所でうっかり生成してしまう過酸化物などのほうが感度が高くよっぽど危険なことも多いです。そのため、油断しないようにしましょう。

多くの爆薬は感度が比較的高いものと感度が低いものを組み合わせて爆薬としています。感度が高いものだけで爆発物を作ると誤爆の危険があるからです。比較的爆発しやすい爆発性物質を「起爆剤」として利用します。雷管と呼ばれる爆発に使用する部分にはこの起爆剤が入っています。


爆発を引き起こす原因

爆発を引き起こす原因としては衝撃摩擦などがありますが、混合させることによって爆発を起こすこともあります。酸化しやすい物質と還元しやすい物質を混ぜるのは危険です。禁水性物質と水、強酸と強塩基なども同様です。過酸化水素と無水ヒドラジンは酸化、還元物質の組み合わせで爆発的な反応が起こります。クロロホルムの脱水に金属ナトリウムを使用すると反応性の高いカルベンが生成して爆発します。

化学物質の爆発性について理解しよう

化学物質のなかにはちょっとした熱や衝撃・摩擦などで爆発してしまう物質が多くあります。過酸化物やニトロ化合物などはその代表で、パーオキサイド構造やニトロ基がたくさんあるほど危険です。このような物質を扱う時は注意が必要です。研究などでこのような物質を使う場合や生成物として生じる場合などは十分注意しましょう。

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