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マイケル付加とは?
αβ不飽和カルボニルを求電子剤として、求核剤が1,4-付加反応を起こす反応を一般的にマイケル付加反応といいます。求核剤としてはエノール(エノラート)やグリニャール試薬、アルコキシドなどがあります。
求核剤をマイケル供与体、求電子剤をマイケル受容体、付加してできた生成物をマイケル付加体と呼びます。
カルボニル化合物はカルボニル基も求電子的であるためこちらに求核剤が攻撃するケースもあります。カルボニル基に攻撃する反応を1,2付加といいます。1,2付加と1,4付加反応は競合します。1,2-付加反応が進行しやすい求核剤はグリニャール試薬のような硬い求核剤です。グリニャール試薬を1.4付加反応(マイケル付加反応)させたい場合は銅塩などを添加して軟らかい求核剤であるクプラートを作ります。
1887年にアーサーマイケルがマイケル反応について定義した当初はエノラートとαβ不飽和カルボニルとの付加反応のことでした。のちに新たな定義としては、αβ不飽和カルボニルを求電子剤として求核剤が1,4-付加反応を起こす反応をマイケル付加反応となりました。マイケル付加反応は重要な炭素-炭素結合反応として広く使われています。
マイケル付加反応の条件と機構
マイケル付加反応の求核剤としては炭素求核剤としてα水素を持つカルボニル化合物が使われます。特にα水素を持つアルデヒド、1,3ジカルボニル化合物(マロンジエチル)などを使います。これらの炭素求核剤は塩基条件下で脱プロトン化してカルバニオンが発生し、これが求核種となります。
塩基としては炭酸カリウムのような炭酸塩、DBUなどの有機塩基、NaHなどが使われます。
求電子剤としてはαβ不飽和カルボニル以外にもニトロアルケンなどの電子求引基を持つアルケンも利用されます。
溶媒はプロトン性溶媒も非プロトン性溶媒も用いることができます。
マイケル反応の選択性
マイケル反応はカルボニル基への付加反応,1,2-付加反応と競合します。ハードな求核剤は1,2付加反応が優先し、ソフトな求核剤は1,4-付加反応が進行しやすいです。
付加反応の選択性は添加剤や求核剤の発生方法によって制御可能です。