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レドックス活性エステル (Redox active ester: RAE)

レドックス活性エステル

レドックス活性エステル(RAE)とは、その名の通り酸化還元に対して反応性を示すエステルです。このRAEを酸化還元条件に用いると、電子移動により脱炭酸を伴ってラジカルを生成し、種々の置換基と変換することが可能です。元来はバートン脱炭酸反応としてピリジンチイルエステル(バートンエステル)を用いていましたが、近年ではフタルイミジルエステルなども有用であることが分かっています。

バートンエステル

バートンエステルは、ピリジンチイルエステルのことであり、Bartonによって脱炭酸を含む種々の反応が発見されたことから名付けられました。Bartonはカルボン酸とチオヒドロキサム酸を反応させ、Bartonエステルに変換した後、熱・光照射・ラジカル開始剤を用いることでエステルが開裂し、カルボキシラジカルが生成した後、脱炭酸反応(バートン脱炭酸反応)が起きることを明らかとしました。その後この脱炭酸反応の中間体としてアルキルラジカル中間体が発生していることが分かり、ギース反応を含むいくつもの反応および変換が可能でることが明らかとなっています。

フタルイミジルエステル

N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)はバートンエステルと同様にラジカル的な開裂を伴って種々の反応に応用できることが明らかとなっています。このフタルイミジルエステルの反応性は可視光レドックス触媒を用いた場合に酸化還元が起きることが岡田らによって明らかにされました。近年ではBaranらによってフタルイミジルエステルとNi触媒を用いたカップリング反応が種々報告されています。

テトラクロロフタルイミジルエステル

フタルイミジルエステルのベンゼン環に対してクロロ基を導入したものがテトラクロロフタルイミジルエステルです。このエステルは上記のフタルイミジルエステルをカップリング反応に用いる際に、Baranらによって最適化されたものです。NiやFeを用いたいくつかのカップリング反応では上記のBartonエステルやフタルイミジルエステルよりも反応性が高く有用であることが報告されています。


RAEを用いた反応

これら活性なエステルを用いることでカルボン酸からラジカル中間体を生成し、種々のラジカル補足剤との反応を進行させることができます。従来はギース反応などに応用されていましたが、近年ではNiやFeを用いたカップリングがSET機構によるものであることが明らかになり、種々のカップリング反応がBaranらを中心に報告されています。

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