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死亡推定時刻の推定 死体に起こる化学変化4~乾燥と角膜の混濁~

前回は死体温変化について紹介しました。

今回は死後の早期変化の最後、乾燥です。

体の70%は水分と言われる人間。死亡によって徐々にこの水分が失われていきます。これが死後変化として観測できます。

乾燥の時間変化

体表面は時間変化により乾燥していきます。これは気温が高かったり、湿度が低かったり、風通しが良い場合には早く起こります。乾燥は環境によって大きくかわるので時間の経時変化を追うのには適していません。

乾燥を確認する部位としては、

唇・陰嚢(茶褐色色変化が起きる)

角膜(目を開いている場合)褐色変化

擦り傷ややけど部位など:褐色変化、硬化が起こる


角膜の混濁

角膜の混濁は目の乾燥に伴うタンパク質の変性として観察することができます。角膜など目のタンパク質は皮膚と同じなのに光を透過する透明なタンパク質です。これは規則正しくタンパク質が並んでいるためです。角膜や水晶体などの透明なタンパク質には多くの水分を含んでいてその規則的な構造を維持しています。これから水分が蒸発して失われると規則正しい構造が崩れて光が散乱、反射するようになるので白濁してしまいます。

角膜乾燥による時間変化

・約12時間:角膜がわずかに混濁

・約24時間:瞳孔をなんとか確認できる

・約48時間:白濁して瞳孔を確認できない

この角膜の混濁は、白内障を罹患している場合もあるので注意が必要です。

早期死体現象

早期死体現象として

1.死斑、2.死後硬直、3.死体温、4.乾燥・角膜混濁

の4つを取り上げました。

それぞれの変化を観察することによって死後30分から数日程度まで見積もることができます。また、その死体現象を注意深く観察することによって、死因も特定できます。警察による死亡推定時刻はこれらの現象を総合的に評価して算出しています。ただしこれらはあくまで推定なので、多少づれることはあります。一方で、状況がしっかりしていれば意外と正確な推定時刻を割り出すことができそうだというのも感じていただけたと思います。

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