薬学

プロドラッグ: 医薬品設計の化学

一般的に医薬品の有効成分は、人体の代謝によって変化してしまう場合も多く、細胞やマウスで行っていた実験のようにうまく作用しない場合もあります。その際に、代謝されることを前提として作られた代謝前の不活性の物質をプロドラッグと呼びます。

プロドラッグの歴史

「プロドラッグ」という用語は、Albertによってはじめて導入されました。定義としては「薬理効果を発現する前に生体内変化を受ける化合物」としています。実はプロドラッグの中には、Albertによって定義される前にもたくさんありました。例えばアスピリンやサリチル酸なんかは古くから知られているプロドラッグの例です。アスピリンには二つのプロドラッグが含まれています。一つは水に溶けやすくするためにアスピリンのカルボン酸をナトリウム塩にしてある可溶性アスピリン。もう一つはアスピリンのエステルが加水分解されてアルコールになってようやく活性本体になります。このように医薬品のいくつかはプロドラッグ化がほどこされていて、現在知られている医薬品の5~7%はプロドラッグであると言われています。

プロドラッグの目的

さきほど書いた代謝に対する安定性を高めるというのはプロドラッグの目的の一つでしかありません。実はプロドラッグ化することで医薬品として以下の点を克服できるメリットがあります。

  • 吸収部位で代謝されやすい
  • 極性が高い化合物の場合、消化管、血液脳関門(BBB)、皮膚が通過できない
  • 化学的に元々不安定で、貯蔵寿命が短い
  • 水に不溶、急性が低い、静脈内投与できない。
  • 液体の有効成分で、錠剤にできない
  • 味や匂い、痛みなど投与が難しい
  • 選択性がなく、他の部位にも作用してしまい副作用が多い(抗がん剤など)

代謝に関してはもちろんのこと、吸収や化合物元々の安定性、選択性など幅広いです。味や臭いなんかのQOLに配慮する場合にも使えます。

プロドラッグの分類

プロドラッグは、大きく分けて二種類に分類できます。一つが担体性プロドラッグで、もう一つが生体的前駆体(バイオプレカーサー)です。

担体性プロドラッグ

担体性プロドラッグは活性分子に輸送担体となるような親油性などの部分構造を一時的に結合させたものです。

生体的前駆体(バイオプレカーサー)

生体的前駆体は担体性プロドラッグとは異なって、輸送に関与する部分はもたず、活性を持っている分子自体を修飾したものです。担体性プロドラッグはの方は、担体としていた部分が外れていきますが、生体的前駆体の場合はその部分は反応するものの、何かが生成物ができるということはありません。

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えぬてぃー
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専門: 有機化学

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