化学

鉄による還元(べジャンプ還元(Bechamp)| ニトロ→アミン

鉄で還元(べシャンプ還元)ニトロ基をアミンに

鉄による還元は経済的かつ温和な条件であることから主にニトロ基の還元に利用されています。鉄と酸でニトロ基を還元させる反応はべジャンプ還元と呼ばれています。鉄を使った還元についてその反応条件などを紹介します。

鉄でニトロ基の還元(べシャンプ還元)

ニトロ基を金属で還元する方法はたくさん知られていますが、中でも鉄を使った方法は最も良い結果が得られる方法の一つです。スズ亜鉛なども同様の還元ができます。

鉄を使った還元では鉄粉末や硫酸鉄(II)などが使われますが、ニトロ基の還元では鉄粉末を用いるのが良いです。鉄と酸条件でニトロ基を還元する方法はべシャンプ還元とも呼ばれており、非常に信頼性の高いニトロ基の還元方法の一つです。鉄と酢酸、塩化アンモニウムの組み合わせは温和で選択的なニトロ基の還元が可能であることからよく利用されています。塩化アンモニウムを用いる還元は亜鉛でも進行しますが、一段階目のヒドロキシルアミンで停止することも多く、アミンを得たい場合は鉄を用いたほうがよいです。

鉄を用いた還元では、芳香族ニトロ、脂肪族ニトロともに還元できます。

べシャンプ還元の反応条件

鉄と塩酸を用いた還元条件

鉄と塩酸を用いた条件は良く利用される方法で酢酸よりも経済的で、酸に強い基質であれば利用できます。水を入れなくても良い酢酸を用いた方法が有用なので、無理に選ぶ必要もないかもしれません。塩酸塩として析出することもあり、きれいに目的物が得られることもあります。

鉄と塩酸で還元
鉄粉(129mg,2.30mmol)、2N HCl(0.07mL)を0度でエタノール(3mL)と原料(113mg,0.33mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた混合物を2時間加熱還流し、反応後ろ過した。固体をエタノールで数回洗浄し、得られたろ液を濃縮し、残渣を酢酸エチル(15mL)に溶解し、1.5Nの炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。後処理を行いアミン体(205mg,約100%)を得た。(Ref. WO2009154769)

鉄と酢酸を用いた還元条件

鉄と酢酸は良好な結果を与える組み合わせとして知られています。塩酸よりも酢酸のほうがおすすめです。酸に弱い場合は後述する塩化アンモニウムで反応させると良いです。ハロゲンは影響を受けないです。

鉄と酢酸で還元

酢酸(200mL)中にニトロ体(12g,43.6mmol)を溶解し、鉄粉(24g,0.436mol)を加えて50℃で1時間撹拌する。反応後水及びEtOAcを加え、濾過して固体を除去し、ろ液をEtOAc(2×)で抽出して後処理を行い、アミン体(10.2g,94%)を得た。(ref: patent WO2013134252)

アセチルやトリフルオロアセトアミド、メチルエステル、プロパルギルエーテル、ニトリル、ベンゾイルは影響を受けません。

鉄と塩化アンモニウムを用いた還元条件

塩化アンモニウムを使った条件は非常に温和で酸性に弱い官能基でも還元させることができるのでよく使います。他の金属還元(スズ、亜鉛等)の中でも反応性や選択性において優れています。

鉄と塩化アンモニウムでニトロを還元

25mLのエタノールに原料(5.97g,15.6mmol)、水(50mL)、塩化アンモニウム(3.367g,62.94mmol),鉄粉末(4.367g,78.2 mol)を加えて、75度で1.5時間撹拌した。反応後室温に冷却し、DCMで希釈、セライトろ過し、ジクロロメタンで洗った。ろ液をあわせて150mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を処理して、アミンを得た(5.50g)。(ref: Hanan, Emily J. et al Journal of Medicinal Chemistry, 55(22), 10090-10107, 2012)

NH4Clを使った条件ではBoc基やTBS基などが存在しても反応させることができます。

鉄粉の活性化

鉄粉は亜鉛と同様に酸によって表面皮膜を剥がすことによって活性化できます。方法は鉄粉に固まらないようにかき混ぜながら濃塩酸を滴下していき(5gに対して1mL)、数分間撹拌した後、ろ過、水で洗浄後、アルコールで置換して得ます。

ABOUT ME
こめやん
こめやん
こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております