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グリシンの睡眠改善効果

グリシンの睡眠改善

グリシンは最も単純なアミノ酸の一つです。必須アミノ酸ではありませんが、体内のタンパク質を構成している重要なアミノ酸の一つです。

近年その睡眠改善効果がうわさになっていますが本当なのでしょうか?そしてその原理は一体何なのか?紹介してきます。

グリシンとは?

グリシンはアミン(NH2)とカルボン酸(COOH)の両方を含む化合物「アミノ酸」の一種で、ヒトのタンパク質を構成しているアミノ酸20種類(コドンに暗号化されている)の一つです。
グリシンの構造

グリシンは様々なところで活躍するアミノ酸の一つです。例えば、

  1. コラーゲンを構成するアミノ酸 (グリシン-ヒドロキシプロリン-プロリン..)
  2. ヘムの材料 (酸素の運搬)
  3. グルタチオン (グリシン、システイン、グルタミン酸からなるトリペプチド)
  4. 神経伝達物質 (抑制性の神経伝達物質)
  5. 静菌作用

などが知られています。

高グリシン血症

高グリシン血症は遺伝子の異常が原因で体内に大量のグリシンが溜まってしまう難病です。グリシンは抑制性の神経伝達物質として作用するので、脳に深刻なダメージを与えてしまいます。症状は筋弛緩や昏睡などです。



睡眠改善効果は神経への作用によるもの

グリシンの脳への作用としては

  1. グリシン受容体 (抑制性)
  2. NMDA型グルタミン酸受容体 (興奮性)

の2つのターゲットがあります。睡眠抑制効果は抑制性のグリシン受容体に対するものかと思いきや、NMDA型グルタミン酸受容体に対する作用によるものであることが、実験から分かっています。なぜ神経興奮させるのに安眠できるのでしょうか?

グリシン受容体にグリシンが結合すると神経を抑制する作用を示します。グリシンの抑制神経を遮断してしまうと運動ニューロンが異常興奮して筋肉が痙攣をおこしたりします。

NMDA型グルタミン酸受容体って何?

NMDA型グルタミン酸受容体

NMDA受容体のイメージ図(実際とは異なります)

1.NMDA型グルタミン酸受容体(茶色のY)はグルタミン酸(青)が結合すると興奮性のシグナルを伝達します。

2.NMDA受容体(茶)には実は、グリシン(橙)が結合できる部位もあります(アロステリック部位)。ここにグリシンが結合するとグルタミン酸の結合が強められることでシグナルが増強されます。

3.NMDA受容体(茶)にアンタゴニスト(ブロッカー)が結合するとグルタミン酸(青)が結合しにくくなるのでシグナルが観察されません。

4.アンタゴニストはグリシンがNMDA受容体に結合していると結合できなくなるので、グルタミン酸が結合できるようになり、シグナルが観察されます。

NMDA型グルタミン酸受容体が興奮性なのに睡眠改善効果を示す理由は、NMDA受容体への作用によって皮膚表面血流量が増加する作用によるものと考えられています。皮膚表面の血流が増加すると、熱が逃げやすくなり、深部体温(臓器とか体内の体温)が低下します。深部体温の低下は深い睡眠には必要なものです。

グリシンに睡眠改善効果があるのか?

グリシンによる睡眠効果を発見したのは味の素株式会社です。簡単なアミノ酸だし、人体への効果は何も無いだろうとプラセボ(偽薬)として入れていたグリシンを飲ませていたら、偽薬を飲んでいたグループの人たちがぐっすり眠れたという声が多かったことから発見に至ったようです。現在「グリナ」という品名で販売されています。

睡眠改善効果があるという裏付けとして

  1. グリシンは血液脳関門を突破して脳に移行する
  2. グリシンによる睡眠改善効果は深部体温の低下によるもの
  3. 作用はNMDA受容体へのグリシンの結合によるものであることをアンタゴニスト試験で証明した

などが実験結果として提示されています。

1.血液脳関門の突破はグリシンが脳で作用を発揮している証拠の一つになります。

2.グリシンを摂取後に深部体温の低下が統計的に有意に観察されています。これは深部体温がより低下したことがグリシン摂取による可能性を示しています。

3.作用の原理を調べるために、グリシンが結合する受容体として知られているNMDA受容体に対して強力に結合してグリシンの受容体に対する結合を阻害するアンタゴニストを使って試験したところ、グリシンを与えた群とグリシンとアンタゴニストを与えた群では、アンタゴニストを与えた群ではグリシンの効果が打ち消せられていました。これはグリシンがNMDA受容体に結合して作用を発揮していることを示しています。

ラットでの効果

ラットでの試験からは、睡眠障害に陥っている状態ではグリシンの効果が期待できるという結果が得られました。つまり、睡眠障害を患っているヒトのほうがグリシンによる睡眠改善効果が得られやすい可能性を示しています

ヒトでの効果

軽度の睡眠障害をもっている人たちに対してグリシンを投与して睡眠障害が改善されたかを調べた結果、睡眠の安定化、主観的な睡眠評価(ぐっすり眠れたか?など)では睡眠の満足度が上昇していました。したがってグリシン投与により有意に睡眠障害を改善できそうだということが示されています。


グリナの利用者の口コミは?

どうやらグリシンの効能については、きちんと調べられているようです。一応の効果は期待できそうですが、実際の利用者の口コミはどうなのでしょうか?

不眠に関する記事を投稿しているねるラボさんでもレビューがされています。

[blogcard url=”https://neru-labo.com/sleep-supplement-glyna-review/”]

睡眠薬の効果が無いようなヒトには効かない可能性もあるようですね。

逆に睡眠薬が効かないという人もグリナがきくという人もいるみたいです。

こめやん

試してみないとわからないですね。例え気のせいでも改善されれば良いですからね

コスパ最強?グリシンを飲むなら

グリシンは3gを摂取する必要があるようです。ただ、グリナは非常に高いです(30日分で7000円)。睡眠は毎日するものですから、コスパは悪いです。

そこで、グリシンをそのまま摂取するという方法をとれば節約になります。グリシンはキラルではない(光学異性体が無い)のでその点も安心ですね。

グリシンは食品添加物として認定されているので、添加物扱いで購入できます。1kgで1200円程度なので非常にお買い得です。食品として利用されているものなので口にいれても大丈夫です。

3g量り取るのが面倒な場合はカプセルのものもおすすめです。

グリシンはタンパク質中にも豊富に含まれているアミノ酸であることから、基本的には安全ですが、摂取のし過ぎは毒性があることに注意が必要です。

ラットや鶏の試験では腎臓の萎縮などが見られているので腎臓に持病がある人は避けたほうが良いかもしれません。

ラットに対するLD50は3340 mg/kgです。睡眠改善効果が得たいからといって大量に摂取すると体に不調が現れる可能性があります。量は守って摂取しましょう。中毒症状としては脱力感や昏睡などが見られるようです。高グリシン血症と似た症状ですね。

参考文献

睡眠改善食品 ファルマシア

https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/52/6/52_530/_pdf

グリシンに対する毒性

https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc7_hishiryo4_glycine_240223.pdf

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