健康や美容に対する興味関心が増加しているなかで、簡単なアミノ酸、グリシンがひそかに注目されています。グリシンは単純なアミノ酸ですが、睡眠改善効果や抗菌効果などさまざまな効果が発見されています。そんなグリシンがさらに肌にも良いという話がはいってきています。
グリシンが肌に良いのは「コラーゲン」を構成している主要なアミノ酸という理由のようですが真偽はどうなのでしょうか?
グリシンの機能
グリシンは生物の体内に豊富に含まれるアミノ酸の一種で、体内の総アミノ酸のおよそ1割を占めると言われています(人体を構成する基本のアミノ酸は約20種類以上)。
グリシンはコラーゲンやクレアチン、セリン、ヘムなどの生態に必須の多くの物質の原料であるため非常に重要です。そのため他のアミノ酸から合成することができるので必須アミノ酸ではありません。
グリシンはスレオニン、セリン、コリンを原料に作り出すことができます。
コラーゲンとグリシンの関係
グリシンが肌に良い理由の一つがグリシンがコラーゲンの原料であることらしいです。
確かにコラーゲンの原材料として、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどがあります。グリシンはコラーゲンの主要な構成要素(33%)です。しかし、だからといってグリシンをたくさん摂取することで、コラーゲンが作られやすくなるということがあるのでしょうか?
こめやん
グリシンの摂取がコラーゲン含有量に影響を及ぼす?
肌ではなく関節にもコラーゲンが存在します。とくに軟骨にはコラーゲンが豊富にふくまれていることはよく知られています。
変形性関節症という病気ではコラーゲンが分解されることによって関節が変形してしまう病気です。この病気の治療法として、コラーゲン産生を分解よりも上回らせるという方法が考えられます。
グリシンは必須ではアリませんが、コラーゲンなどたくさん使われるので、外から摂取したほうが良いのでは?
ということで同じくコラーゲンの材料であるリジン、プロリン、グリシンの投与濃度とコラーゲン産生量(二型)を軟骨細胞を用いて調べた研究があります。
その結果、グリシンは低濃度ではプロリンやリジンよりも効果が小さいですが、1 mMを超えた状態ではグリシンのほうが大きく、濃度依存的に持続的にコラーゲン産生が増加しました。
同じような結果はコラーゲンの加水分解物の摂取をおこなった研究でも確認されていますが、上記の研究結果は、コラーゲンの中でグリシンの摂取が重要であることを示唆しています。
1) de Paz-Lugo, Patricia, José Antonio Lupiáñez, and Enrique Meléndez-Hevia. Amino acids 50.10 (2018): 1357-1365.
結局グリシンはどうなの?
グリシンなどコラーゲン材料が不足しているような場合では、コラーゲン産生が抑制される可能性は大いにあるかもしれません。ただし研究は細胞レベルであり、人の体でも当てはまるのかどうかは疑問です。さらなる研究が必要ですね。グリシンの摂取のし過ぎは危険ですが、睡眠改善効果などプラスの効果も多いので摂取してみても良いと思います。一日10g程度(食事も含む)のグリシンが必要のようです。(血しょうグリシン濃度は0.25-0.5mMで10g一日に摂取すると1~2 mMまで血しょう濃度が上昇し理論値で200%コラーゲン合成が増加するようです)
こめやん
この手の商品は無駄に高いものも多いので注意が必要ですね。