DMAP(N,N-ジメチル-4-アミノピリジン)とは?
DMAPはN,N-dimethyl-4-aminopyridineでピリジンの4位にジメチルアミノ基があるピリジン誘導体です。ジメチルアミノ基による電子供与の影響で、普通のピリジンと比べて窒素の求核性が高くなっています。
DMAPの基本情報 pKaや融点など
- 化合物名 :DMAP
- モル質量:122.19
- 融点 :108-110℃
- 性状 :白色固体
- pKa : 9.7
- 精製:酢酸エチルで再結晶可能
- 溶解度:アルコール ハロゲン化炭化水素、THF 酢酸エチルには可溶、ヘキサンや水に溶けにくい。
DMAPの触媒としての利用
DMAPは求核性が高く、外れやすいので求核アシル置換反応の触媒としてよく使われます。
例えば酸無水物の無水酢酸とアルコールとの反応では、求核性の高いDMAPがまず無水酢酸と反応してアシルピリジニウム中間体を作ります。アシルピリジニウム中間体は無水酢酸よりも反応性が高くアルコールと容易に反応してエステルを生成し、同時にDMAPが再生します。この反応ではDMAPはエステル化の触媒として働いています。
DMAPの反応機構についての詳細
DMAPの除去方法
反応生成物の性質によって異なりますがDMAPを反応溶液から除去する方法はいくつか考えられます。
- 酸性溶液で洗浄する(0.5M HCl、硫酸水素カリウム水溶液、硫酸銅水溶液)
- 再結晶する
- カラムクロマトグラフィーを行う
- DMAP担持レジンを使用する(Biotage)
最も簡単なDMAPの除去方法は酸性水溶液で抽出除去する方法です。薄い塩酸や硫酸水素カリウムの水溶液のほか、ピリジンと錯体を作りやすい硫酸銅なども使えます。酸による抽出除去は自分の化合物がアミンなど塩基性の化合物の場合は使えません。
再結晶やカラムクロマトグラフィーによる精製操作によっても除去できます。DMAPは触媒量で済むことも多いので再結晶をすれば取り除かれると思います。
裏技的な方法ではDMAP担持レジンPS-DMAPがあります。これはろ過操作だけで簡単に除去できますが、購入するコストがかかります。どうしてもDMAPの除去に苦労して、、という場合は選択肢に入るかもしれません。
DMAPを使った反応
- エステル化(酸無水物+アルコール+DMAP。カルボン酸+アルコール+DCC+DMAP)
- アミド化(EDC+DMAP)