ウルツカップリングについて
有機ハロゲン化合物と金属ナトリウムの反応によって起こるホモカップリング反応をウルツカップリング反応と呼びます。
ナトリウム以外の金属が用いられる場合もあります。ハロゲン化アルキルとハロゲン化アリールを組み合わせて芳香族化合物をアルキル化する反応はWurtz-Fittig反応と呼ばれます。ウルツカップリングはグリニャール試薬合成時に起こる副反応としても知られています。
ウルツ反応は1855年にA. Wurtzが発見しました。
ウルツカップリングの特徴
ウルツカップリング反応は制御が難しいです。反応時は均一に反応が起こるように金属ナトリウムを細かく分散させるとよいです。
ハロゲン化合物はヨウ素が最も反応性が高く、塩素が最も反応性が低いです。また、異なる種類のハロゲン化合物を用いた場合はヘテロカップリングとホモカップリングの制御が難しいです。
一方で分子内カップリングでは、シクロブタンやシクロペンタンといった歪の大きい環状化合物の合成が可能で有用性があります。
ウルツカップリングの改良法
ウルツカップリング反応は副反応が起こりやすいので改良法が提案されています。副反応の原因のひとつはナトリウムが溶媒に溶解しないことから不均一に反応が進行してしまうことであると考えられています。そのため、THF溶媒中テトラフェニルエチレンを加えることによってナトリウムを溶解して均一系としてー78℃反応させるMiller改良法が汎用性が高いものとして利用されています。
反応機構
Wurtzカップリングの反応機構は完全には理解されていません。推定の機構はナトリウムとのハロゲン交換により生じた有機ナトリウム化合物が関与していると考えられています。