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ウィッティヒ反応: Wittig Reaction

ウィッティヒ反応について

ウィティヒ反応はアルケンを合成する反応です。

原料はカルボニル化合物(ケトン・アルデヒド)とホスホニウムイリド(Wittig試薬)です。

ウィティヒ反応の概要

ウィティヒ反応の概要(炭素はアニオン)

ホスホニウムイリドはハロゲン化アルキルに対してホスフィン(PPh3)を塩基性条件下(R-Li, NaH, t-BuOK)で反応させて得ることができます。

Wittig反応はリンの研究をしていたG. Wittigにより1954年に発見されました。オレフィンの合成方法として実用性が高くよく利用されています。

1979年に彼はこの功績によりノーベル化学賞を受賞しています。

Wittig反応の特徴や条件

Z、Eアルケンの選択性

生成するアルケンはEZ、二種類のアルケンがあるのでその選択的な合成法を考えることが重要になります。

この選択性はホスフィンイリドの種類によって変化します。

リンの隣にある炭素上の負電荷を安定化する「電子求引基:カルボニル基、シアノ基」等を持っている安定イリドE-アルケンが生成しやすいです。安定なため単離可能で反応性が低く、ケトンとは反応しにくいです。

一方で、炭素上の負電荷を不安定化させる「電子供与基:アルキル基」を含む不安定イリドはZアルケンが選択的に得られます。不安定なため、反応系中で発生させます。

準安定イリドはフェニル基やアルコキシ基を持つイリドで選択性はまちまちです。

イリドの調製

安定イリドの調製はアルコキシドなどのあまり強くない塩基で調製可能ですが、不安定イリドなどはもっと強力な塩基が必要です。ブチルリチウムやKHMDS、LDA、NaHなども利用できます。

不安定イリドは反応性が高く酸素や湿気で容易に加水分解されるので不活性ガス下、乾燥溶媒中で扱わなければなりません。

反応溶媒

溶媒はジクロロメタン、THF、アセトニトリル、DMF、トルエンなどがよく使われます。安定イリドの場合は還流することが多いので沸点が高めの溶媒を利用します。


反応機構

ウィッティヒ反応の反応機構は、求核剤のカルボニル基への攻撃によって反応が開始します。求核剤となるのはリンイリドのカルボアニオン部位です。この付加反応によって負に帯電した酸素原子が生成し、これが正に荷電したリン原子を攻撃した後に、オキサホスフェタン中間体と呼ばれる4員環化合物が生成します。この四員環化合物は多くの四員環化合物と同様に不安定で、二重結合が二つ生じるように分解し、ホスフィンオキシドとアルケンが生成します。この反応の駆動力はP=O結合の強い親和性であり、実際にP=O結合の結合エネルギーは575kJmol-1であり、最も強い二重結合の一つです。そのため、このウィッティヒ反応は不可逆的な反応となっています。

Wittg反応の変法 HWE反応

ウィティヒ反応の変法としては、ホーナーワズワースエモンズ反応(HWE反応)があります。ホスフィンイリドではなくホスホン酸エステルを利用する反応です。トリフェニルホスフィンのようなかさ高い置換基がないため反応性の低いケトンや立体障害の大きいカルボニルとの反応に向いています。

HWE反応ではE-アルケンが選択的に得られます

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