土は火山灰や風化した岩石、植物や動物の死骸など無機、有機物が混ざり合った複雑な混合物です。土はその場所や気候によって成分が変わるので、植物に合わせた土選びが重要になってきます。
良い土の特性を知ろう
植物を育てるのに良い土とはどんな土だと思いますか?
答えはおそらく直感どおり
「ふかふかの土」です!
植物がよく育つ土の特性・性質を備えた土は「ふかふかした土」になっているのです。植物を育ててみようと思ってホームセンターに行ってみたらたくさんの土があって困るかもしれませんが、基本的にはふかふかした土がよいのです。
では土に求められる性質を分類すると
- 保水性
- 排水性
- 通気性
- 保肥性
この四つが基本の性質です。
この他にもpHなどの性質がありますが基本は上の4つです。
保水性
保水性は土に水を含ませる性質です。保水性が悪いと水が保持できずに土がすぐに乾燥してしまいます。水をたくさんあげればよいのでは?と思うかもしれませんが、水をあげる量が多いと、肥料成分が流出し、塩類が蓄積、労力、コストも無駄に掛かります。
保水性が高すぎると後述する排水性の低下につながるため、適度な保水性を保つような土作りが必要です。
排水性
排水性は水はけの良さです。植物の根も生きていますから、新鮮な水分を欲します。雨が降った時、水をあげた時には土が保持できる以上の水が流れますが、排水性が悪いといつまでも水が流れず、土の水交換が行われません。
粘土のような土が排水性の悪い土です。排水性が良いのは砂ですが、どちらに行き過ぎても保水性や通気性が犠牲になるので、他の土の機能を低下させないくらいのレベルに調整します。
通気性
通気性は文字通り土の風通しの良さです。良い土は土の粒子と粒子の間に適度な空間が存在しています。根も、土も呼吸しているのでガス交換ができるように適度な空間を必要とします。水やりはこの空間の空気の入れ替えも兼ねています。
土の粒子の大きさが大きいと空気を含みやすく、細かく粘土質になると通気性は悪くなります。
通気性は視点を変えると土の比重も関係しています。綿やスナック菓子のように比重が軽いものはそれだけ空気を蓄えてます。ギュッと押しつぶしたら重くなりますが、空気はなくなります。土にも同じことがいえます。
土にも隙間がたくさん空いた多孔質なものがあります。これらは比重が小さく軽い土です。ふかふかした土も比重が軽いので軽いふかふか感があります。
保肥性
保肥性は植物の栄養素の保ちやすさです。植物の栄養はアンモニウムイオン(NH4+)などのイオンの形をとっています。一方で土はマイナスに帯電したケイ酸アルミニウムなどの無機物なので、栄養素のプラスと土のマイナスがくっつくことによって栄養素を逃さないようにします。つまり、土中に含まれるケイ酸アルミニウム等の成分によって変化します。
栄養分にはカチオン(+のイオン)とアニオン(ーのイオン)の二種類が存在しています。そのためマイナスに帯電したリン酸などの栄養素は、土がマイナスになりすぎると反発して保持されにくいです。黒ボク土はマイナス分が多く、リン酸を保持しにくいためにたくさんリン酸肥料を与える必要があります。
土の種類と性質
土もその種類によって様々な名前が付けられています。その中でも農耕に使う土壌で最高と言われている土は「チェルノーゼム」と言われる土です。チェルノーゼムは東ヨーロッパ、ロシア、中国東北部にある土壌帯にある黒土で農作物の生産に適しています。有機質の多い土(栄養分の多い土)は黒色をしていて、基本的には農業ではこの黒土が適しています。痩せた土、砂漠がその逆のイメージです。
販売されている土にもたくさんの種類があります。それぞれの土にはそれぞれの特徴があります。例えば、黒ボク土は保水性や保肥性は高いですが、通気性や排水性が悪いです。そのため通気性や排水性を改善するために赤玉土やパーライト、腐葉土などを加えます。
「培養土」は保水、排水、通気、保肥性が高くなるように土を何種類も混合している植物が育ちやすい土です。
一種類の土だけでは望みの性質を得ることができないので、いくつかの土を混ぜて使うことが多いです。
この他に重要なのは価格です。性能が高くても高すぎれば使えませんよね?
園芸では「植物にあった土をブレンドして作る」というのも楽しみの一つです。
簡単なのは「培養土」を使うことですが、土のブレンドに挑戦してみても面白いですよ!
まずは植物を育ててみたいという場合は、培養土を使うのも全然ありです。
こめやん
基本用土と改良用土とは?
基本的な土に求められる性質と土の種類についてだいたい知って頂いたと思います。
実は土の中でも基本となる土と補助的に利用する土の二種類があります。
用土には「基本用土」と「改良用土」の2種類あります。
基本用土は用土を作る際に基本となる土のことで、これをメインにして利用すれば良いですよ!ということです。
基本用土は土を調合する際に50%以上を占めるようにします。
こめやん
改良用土(補助用土などとも)は基本用土に足りない部分を補うために用いる補助的な土のことです。基本的には補助用土はメインに使いません。
土の調合はメインの基本用土とその土の悪い部分を補うための改良用土を加えて作ります。コストや用途、栽培植物を元に考えます。
こめやん
基本用土は赤玉土、黒ボク土、鹿沼土、田土などがあります。
改良用土はバーミキュライト、パーライト、腐葉土、ピートモスなどです。
用土配合の例
用土を配合するにはまずは育てたい植物を決めるところから始まります。
栽培したい植物が水はけが良い用土を好む場合は、水はけが良い用土をつかうようにします。
配合するといっても、大抵は、育てたい植物に適した用土配合というものは定番が決まっていますのでまずはそれを真似しましょう!
あとは他の植物にも使いたいとか、水はけが悪い庭に植えるとか、植えたい環境によって多少配合を変えていくことになります。プランターなどでは問題ないでしょう。
良い土は、排水性、通気性、保水性、保肥性が高く、pHは5.5-6.5の弱酸性、適度な有機物を含むようにすることが大事です。
基本用土は、黒ボク土、赤玉土、鹿沼土、真砂土などです。
たいていは赤玉土が基本用土として使われることが多いです。通常は小ー中粒を使います。赤玉土7/腐葉土3の割合で使うのが基本です。
腐葉土の代わりにパーライトやバーミキュライトを混合させて作ると室内栽培では病害虫がわきにくくなるでしょう。