有機化学

tert-ブチルエステルによるカルボン酸の保護

tertブチルエステルとは

tert-ブチルエステルとは?

tert-ブチルエステルはカルボン酸の保護基で、tert-ブチル基による立体遮蔽のため、求核剤の攻撃を防ぐことから、塩基性条件では加水分解されにくいです。一方で、酸によるカルボニル酸素のプロトン化に伴うtertブチル基の脱離あh酸性条件で脱保護可能です。同じエステル系の保護基であるアセチル基などと比べて、酸・塩基加水分解条件に強く、脱保護にはより過激な条件が必要になります。そのため、脱保護はLAHやDIBAL等を用いた還元的な方法で行われることが多いです。

Pv基

特徴・利点

tertブチル基の利点や特徴は

  1. 塩基性条件でも比較的耐え、酸性条件で脱保護可能なエステル

です。

反応機構

反応機構ー保護

tertブチルエステル保護反応機構イソブテンガスを使用した場合は酸によって生じたtertブチルカチオンにカルボン酸が攻撃してtertブチルエステルが生成します。

反応機構ー脱保護

tertブチルエステル脱保護反応機構

塩基性条件下ではtert-ブチル基の立体障害のため、求核剤が攻撃しにくくなるため、加水分解が進みにくいですが、酸性条件下では、tert-ブチルカチオンが生成するため、脱保護が可能となります。

反応条件-保護

保護条件例1

tert-ブチルエステルの導入はイソブテンを酸性下吹き込む方法、t-BuOHを脱水剤化反応させる方法、カルボン酸を活性化(酸無水物や塩化物)を経てt-BuOHと反応させる方法がある。

tertブチルエステル保護反応例1

無水MgSO4 (3.4 g, 28 mmol, 4eq)をDCM(28.1mL)に懸濁し、激しく撹拌しながら濃硫酸(0.7g, 7 mmol, 1eq)を滴下して加えて室温で30分間撹拌した。カルボン酸体(1.0g,7.0mmol, 1eq)を加え、続いてt-BuOH(2.6 g,35 mmol, 5 eq)を加えた。得られた混合物を24時間撹拌した後、濾過し、得られたろ液を水で洗浄し、有機層を再度水、食塩水で洗浄し、無水MgSO 4で乾燥、ろ過、濃縮して保護体を得た(quant)。Brubaker, Jason et al. Pat.WO 2013043964より引用。

保護条件例2

tertブチルエステル保護反応例2カルボン酸体(1.27 g, 4.11 mmol, 1.0 eq),tert-BuOH(40 mL)の溶液に4-DMAP(0.151 g, 1.23 mmol, 0.3 eq)および(Boc)2O (5.38 g, 24.64 mmol, 6 eq)を加え、室温で16時間撹拌、後に70℃に4時間加熱し、さらに(Boc)2O(5.38 g,24.64 っもl, 6 eq)を加え、室温でさらに16時間撹拌した。飽和NaHCO 3(10 mL)を加え、室温で30分間撹拌した後、EtOAc(20mL)で抽出し、有機層を水(10mL),飽和食塩水(10mL)で洗浄し、濃縮により得られた粗生成物をフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製し目的物を得た(92%)。Barlrind, Jonas G., et al. J. Med. Chem., 2012, 55, 10629.

脱保護反応例

脱保護は酸性条件で行います。

tertブチルエステル脱保護反応例1DCM(3.0mL)に保護カルボン酸体(0.10g,0.35mmol)を溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.70mL)を滴下して加えて室温で1h撹拌した。濃縮し、DCM(10mL)に溶解させ、飽和NaHCO 3(10mL),及び飽和食塩水(10mL)で順次洗浄した。粗生成物をフラッシュシリカクロマトグラフィー精製した(60.0mg,75%)。Wlochal, Joanna et al. 2014, 16, 4097.より引用。

参考まとめ

Wuts, Peter G. M.. Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis fifth edition (p.750). Wiley.

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こめやん
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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております