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分取TLC (分取薄層クロマトグラフィー)のチャージのやり方とコツ

分取TLCのやり方

分取TLC(分取薄層クロマトグラフィー)とは?

分取TLC(分取薄層クロマトグラフィー)は分離した物質を取り出すために通常の薄層クロマトグラフィーよりも厚くシリカゲルが盛られているプレートのことです。展開後に化合物が含まれるシリカ部分を削ってろ過抽出すれば分離した化合物が得られます。

通常の薄層クロマトグラフィーはごく少量のサンプル中に含まれる化合物の数や性質などを知ることができるので分析手法として利用されますが、分取TLCでは精製手法として薄層クロマトグラフィーを利用します。

分取薄層クロマトグラフィーはF254の蛍光標識されたものを使えば、展開の様子を目で観察することができるので、視覚的に物質の分離を確認しながら分離精製操作ができます。通常のカラムクロマトグラフィーよりも時間はかかることが多いですが、展開中は好きな操作ができたり、プレートの枚数を増やせば、並行して同時にいくつものサンプルの精製を行ったり、スケールの大きい分離精製も可能となります。


分取TLC(分取薄層クロマトグラフィー)の利点や特徴は?

分取TLC(分取薄層クロマトグラフィー)の利点は、

  • 展開中ずっと見張っていなくて良い
  • ミクロスケールの分離もやりやすい
  • F254のシリカならUVで展開の様子を観察できる
  • 満足に分離できない場合は乾かして複数回展開できる
  • 同時並行できる
  • カラムでは分離が難しいものも分離できる可能性がある

逆に欠点は

  • 自作しないと高額
  • 展開中に化合物が分解する場合がある
  • 十分にRf値が離れている場合はカラムのほうが簡単で早い
  • 一回の展開で分離できれば30分程度と早いが複数回展開すると遅い(数時間かかる)
  • 大スケールには向かない
  • スポットに技術・コツがいる

などがあります。分取TLCは資金力があればカラムよりも便利な精製法であるとも言えますが、大スケールには向かず、カラムで分けられそうだなと言うものに関してはカラムで分けたほうが早く確実な場合も多いです。そのため、カラムでうまくいかない時に試す、奥の手に使っている人も多いと思います。そのせいか、あまりうまくいかないというような印象をお持ちの方も多いようです。

分取TLC(分取薄層クロマトグラフィー)のやり方、方法

分取TLC(プレパラティブTLC)の厚みは0.5mm, 1.0, 1.5, 2.0 mmが一般的です。シリカゲルの厚みが大きくなるほど分離能が落ちるので、おすすめは0.5~1.0mmです
サンプルのチャージ量は、0.5mmの厚さに対して50mgまで可能で、2mmの場合は分離能の低下を考えると100mgくらいが良いです。サンプルチャージ量は少ないほうがキレイに展開・分離できる。また、プレパラティブTLCに使われているシリカゲルの粒子径はTLCよりも大きいことが多く、分離能の低下はこの影響もあります。
濃縮ゾーン付きのものは多少スポットがうまく行かなくてもキレイに展開してくれるのでおすすめです。

濃縮ゾーン付きTLCとは何?使い方は?

分取TLC(プレパラティブTLC)の準備からやり方まで

  1. サンプルの量を元に任意の厚みのPTLCを用意する(50mg→0.5mm)量によっては半分に切って使います。
  2. サンプルをできるだけ少量の溶媒に溶かす(エーテルやジクロロメタンはスポットしにくい)。
  3. パスツールの先に脱脂綿を詰めたもの(先をライターで炙って細くしても良い)をつかって下端から2~3cm上に線状にスポットする。左右端からは2~3cm程離します。一箇所に打ちすぎないようにできるだけ均一に、細くスポットします。一度に全部スポットしようとせずに何度も乾かしてスポットします。パスツールで削らなにように気をつけます。初めての場合は練習を強く勧めます。
  4. 十分に乾かす
  5. 5-10分置いて溶媒蒸気を飽和させた展開層に入れて展開します。展開層に大きなろ紙を貼り付けたりすると早く展開されるみたいです。展開溶媒の量はスポットした位置にかからないくらいの量を入れます(1-2cm)。展開溶媒の極性はRf値が0.3になるくらいですが、掻き取るのでカラムほど低極性にしなくても良いです。分離が難しいものは2~3回ほど展開を繰り返すのでRf値は下げる。
  6. 展開後乾かす。UV等で観察して不十分であればもう一度展開する。展開したスポットを鉛筆でなぞって印をつける。
  7. ほしい化合物がいる部分をカッターやスパチュラで書き取って、粉砕した後、極性溶媒ろ過抽出する。

展開は上まで行くのに時間がかかるので8割くらいあがったら乾かしてもう一度展開しても良いと思いかもしれません。




分取TLCのトラブル、Q&A

・チャージは慎重に
初めてPTLCをやる場合は練習をしたほうが良いです!特に低沸点溶媒(ジエチルエーテル、ジクロロメタン)ではドボドボ落ちて、きれいにチャージするのが難しいです。チャージの良し悪しで分離の良し悪しが決まるので慎重に確実にできるように練習をおすすめします。チャージの仕方は複数あるので、練習しながら自分がやりやすいやり方を見つけましょう。

・比重が大きい重い溶媒は展開が遅い?
塩素が多いハロゲン系溶媒(クロロホルム)などは比重が大きく、重いため展開に時間がかかります。大体20cm位までいくとほとんど溶媒が上昇しなくなります。
通常のヘキサン系の溶媒なら、展開スピードは5時間位で、ハロゲン系なら8-10時間くらいみたほうが良いです。あまり長時間かけるとスポットの拡散や分解がおきてしまうので、一度乾かして再度展開(二度上げ)したほうが良い場合も多いです。

・分取TLCは化合物が分解しやすい?
分取TLCは展開に時間がかかり、複数回展開する場合はシリカゲルに吸着したまま乾燥させたりするので、化合物が分解しやすいです。シリカゲルが酸性か中性かも確認したほうが良いです。個人的にもカラムでは平気でもPTLCは化合物の分解がみられるケースがありました。2次元TLCを実施して化合物の分解性を確認するようにしましょう。

・回収率が悪い
分取TLCは回収率があまり良くないことが多いかもしれません。分解している場合もあります。2次元TLCで確認しましょう。また、かきとったシリカゲルを極性溶媒で浸して超音波をかけて溶かすようにした後、ろ過するともう少し回収率があがるかもしれません。

・UV以外で化合物を確認する方法はないの?

蛍光灯の光を透かして見ると化合物の載っかている部分がほかと比べて暗くなる場合があります。結構化合物を載せている量が多くないと見えないかもしれません。

分取TLCをヨウ素で染める方法

ヨウ素で染める方法もあります。硝子板で挟んで端を少しだけだして輪ゴムや紐で固定します。その後ヨウ素蒸気に晒して着色させると一部分だけ染められます。バンドを確認後、ドライヤーの温風を当てるなどしてヨウ素を飛ばしたあと再展開あるいはかき取って抽出しても良いです。

水をかけるとか、ちょっとだけ切り取って発色試薬で焼く方法もあります。

TLCの展開溶媒や原理など記事のまとめ TLC(薄層クロマトグラフィー)の化学まとめ!原理と展開、やり方

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