化学

野崎・檜山・岸反応: Nozaki-Hiyama-Kishi Reaction

野崎・檜山・岸反応について

Barbier型のアルケニル、アルキニル、アリール、アリル、およびビニル型の有機クロム化合物のアルデヒドやケトンへの付加反応は野崎-檜山-岸(NHK)反応として知られています。NHK反応はその発見以来、温和な条件下での官能基選択的な炭素-炭素結合形成法として強力な方法となり、多くの複雑な天然物合成に応用されてきました。

NHK反応の特徴

CrCl2は市販品を購入、あるいは反応を行う直前にCrCl3を還元して調製しても用いることができます。Cr(II)は一電子供与体で、1モルの有機ハロゲン化物を還元して有機クロム(III)反応剤を得るのに2モルのCr(II)塩が必要です。反応は分子間でも分子内でも進行し、熱力学的な駆動力は強いO-Cr結合の形成によります。

アルデヒドはケトンよりも早く反応し、分子内に両方が存在する場合にはアルデヒドと有機クロム種との反応が完全な官能基選択性で進行します。有機クロム化合物は塩基性が低いので、さまざまな官能基の存在下で反応が可能です。多官能性有機クロム種中にさまざまな求電子性の官能基をそのまま保つことも可能です。クロチルクロム(III)反応剤のアルデヒドへの付加は高い立体選択性で進行し、出発クチルハロゲン化物の立体化学にかかわらず、すべての例でアンチ-ホモアリルアルコールが得られます。

NHK反応の欠点

  • ニッケルとクロム塩が高い毒性を持ちます。
  • Cr(II)の酸化還元電位は反応に用いられる溶媒に大きく左右され、最適の反応結果を得るために混合溶媒を用いる必要があります。
  • 多くの場合に大過剰のCrCl2が必要です。とくに大員環形成反応でその傾向が顕著です。
  • CrCl2調製時に生じるLewis酸性の塩がキレーション制御などにより多官能性化合物の反応の立体選択性を変えてしまうことがあります。

反応の歴史

1977年、野崎、檜山らは、ハロゲン化アリルおよびハロゲン化ビニルを不活性雰囲気下、無水条件でCrCl2と反応させることにより調製した有機クロム(III)反応剤が、アルデヒドやケトンと反応して、対応するアリルアルコールやホモアリルアルコールを、官能基選択的かつ高い立体選択性で与えることを見いだしました。1986年に、岸らと野崎らは、痕跡量のニッケル塩が炭素-クロム結合の形成を触媒的に促進しており、とくに反応性の低いハロゲン化ビニルやハロゲン化アリールの場合にその効果が顕著であることをそれぞれ見いだしました。

反応機構

ニッケル触媒によるNHK反応における第一段階は、Ni(II)からNi(0)への還元で、Ni(0)は酸化的付加反応によって炭素-ハロゲン結合に挿入する生成した有機ニッケル種はトランスメタル化によって有機クロム(III)求核剤を与え、カルボニル化合物と反応します。生じたCr(III)はマグネシウム粉末によりCr(II)へと還元されます。

実験操作

 

 

 

 

参考

1) 野崎一, 有機合成化学協会誌, 2000, 58, 417-473.

 

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専門: 有機化学

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