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野崎・檜山・岸反応: Nozaki-Hiyama-Kishi Reaction NHK反応

野崎・檜山・岸反応とは?

野崎・檜山・岸反応は有機ハロゲン化合物とCrCl2より生成する有機クロム化合物とケトン・アルデヒドとの反応によってあるアルコールを合成する方法です。

 

NHK反応の概要

NHK反応の概要

NHK反応は温和で官能基許容性・選択性の高い反応として天然物合成などに利用されています。

NHK反応の特徴

CrCl2は有機クロム化合物を合成するのに2等量必要です。溶媒はTHFやDMF、DMSOが用いられます。

アルデヒドとケトンが分子内に存在する場合、アルデヒドが選択的に反応します。炭素求核剤としては有機リチウム試薬やグリニャール試薬などがありますが、これらは塩基性が高く副反応を起こしやすいですが、有機クロム化合物は塩基性が低いので副反応が起こりにくいです。また、立体選択性の高さも特徴のひとつです。

天然物合成にも使用されています。1986年に岸義人によるpalytoxinの合成反応にNHK反応が利用されています。

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NHK反応の欠点

  • ニッケルとクロム塩が高い毒性を持ちます。
  • Cr(II)の酸化還元電位は反応に用いられる溶媒に大きく左右され、最適の反応結果を得るために混合溶媒を用いる必要があります。
  • 多くの場合に大過剰のCrCl2が必要です。とくに大員環形成反応でその傾向が顕著です。
  • CrCl2調製時に生じるLewis酸性の塩がキレーション制御などにより多官能性化合物の反応の立体選択性を変えてしまうことがあります。

カルボニル基に対する付加反応によりアルコールを合成する方法は他にも有機亜鉛試薬や有機銅試薬など多くの代替方法が利用できます。

アルデヒド・ケトンに有機金属化合物への付加反応でアルコール合成


反応機構

ニッケル触媒によるNHK反応における第一段階は、Ni(II)からNi(0)への還元で、Ni(0)は酸化的付加反応によって炭素-ハロゲン結合に挿入する生成した有機ニッケル種はトランスメタル化によって有機クロム(III)求核剤を与え、カルボニル化合物と反応します。生じたCr(III)はマグネシウム粉末によりCr(II)へと還元されます

by English Wikipedia PD

参考

1) 野崎一, 有機合成化学協会誌, 2000, 58, 417-473.

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