向山アルドール反応について
Lewis酸を用いたシリルエノラートのカルボニル化合物への付加反応は、向山アルドール反応として知られています。

from wikipedia MaFecht93 [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)]
向山アルドール反応の特徴
通常のアルドール反応はエノール化するカルボニル化合物を使って、塩基性条件下で発生したエノラートとカルボニルが反応してβヒドロキシカルボニル化合物が生じる反応です。

普通のアルドール反応
上の例ではエノラートとケトンはどちらも同じ化合物由来ですが、エノラートとケトン・アルデヒドを別々の化合物で反応させたいこともあります。これを交差アルドール反応といいます。
しかし、交差アルドール反応では上の例と同じようにエノラートを発生させたケトンがエノラートを発生する前のケトンと自分自身で反応する副反応が起こることがあります(自己縮合)。

from wikipedia public domainどちらもエノラート化できる分子だと複雑になる。self condensation(自己縮合:左)と交差反応しても二種類の生成物ができる。
こうした問題を回避するためには塩基と一緒に加えてエノラートを発生させるのではなく、エノラートにしたい化合物をあらかじめ作っておいて加えるという方法が有用です。
向山アルドール反応はあらかじめTiCl4などのルイス酸を使って単離可能な安定なシリルエノールエーテルを作ることによってこの交差アルドール反応の課題を解決しました。

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向山アルドール反応で用いられるルイス酸触媒
一般的に向山アルドール反応で変換を行うためには、TiCl4などのLewis酸を化学量論量用いる必要があります。
よく使われるルイス酸としては
- TiCl4
- SnC4
- AlCl3
- BCl3・OEt2
- ZnCl2
などがよく使われます。
その他にもMg、Li、Bi、In、Ln、Pd、Ze、Ru、Rh、Fe、Cu、Auなどを用いたLewis酸の触媒的な反応が開発されています。
ルイス酸触媒だけでなく、ルイス塩基触媒の反応もいくつか開発されています。
シリルエノラートの生成
シリルエノラートはアルデヒドケトンエステル、チオエステルから合成して用いることができます。
無置換、一置換、二置換のシリルエノラートを使用することが可能です。