化学

光延反応: Mitsunobu Reaction

光延反応とは?

アゾジカルボン酸ジアルキルおよびホスフィン存在下、第一級、第二級アルコールに対して求核剤を反応させる置換反応のことを光延反応といいます。

光延反応

この反応は第一級、第二級アルコールが最もよい反応基質で、第二級アルコールでは完全な立体反転を伴います。第三級アルコールの場合は反応が進行しませんが、第三級のプロパルギルアルコールであれば進行する場合があります。

求核剤に関しては比較的強い酸性プロトンを持つ化合物が必要です(pKa15以上)。

光延試薬で使える求核剤

求核剤としてチオール、チオフェノールを用いるとチオエーテルが得られ、酸素求核剤としてカルボン酸を用いるとエステルが、アルコールやフェノールを用いるとエーテルが得られます。窒素求核剤としてはイミド、ヒドロキサム酸塩、窒素を含む環状ヘテロ化合物、アジ化水素酸があります。炭素炭素結合形成にも利用できますが、この場合求核剤としては主にβ-ジケトン、β-ケトエステルなどの活性メチレン化合物です。しかしβ-ジエステルでは反応性が不十分です。分子内反応も容易に進行して、三から七員環をもつエーテル、アミンの調製が可能です。DEAD/PPh3とともにハロゲン化物イオン源(例: ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化亜鉛)を用いるとアルコールから対応する第一級、第二級ハロゲン化アルキルが得られます。反応は主にTHF中で行いますが、ジオキサンやDCMも使うことができます。ホスフィンとしてPPh3やP(n-Bu)3が最もよく使われます。アゾジカルボン酸エステルとしてDEAD、DIADが最もよく用いられ、どちらを用いても良いです。反応は通常0℃から25℃で進行し、特に立体的に混んている基質ではより高い温度が必要です。

反応の歴史

1967年に光延らによってアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)とトリフェニルホスフィン存在下に第二級アルコールをカルボン酸によって効率的にアシル化できることを報告しました。また、その数年後には光学活性な第二級アルコールでこの反応を行うと完全に立体が反転することも明らかとなりました。

反応機構

光延反応の反応機構 光延反応反応機構の続き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・第一段階
光延反応ではまず、トリフェニルホスフィンがアゾ試薬の求電子的窒素に攻撃してベタインが生成する。

・第二段階
生じた窒素アニオンがアルコールのプロトンを奪いアルコキシドが生成する。

・第三段階
アルコキシドがリンに攻撃してホスホニウム塩と窒素アニオンが生じる。

・第四段階
アゾ試薬の窒素アニオンが求核剤の水素を引き抜く

・第五段階
活性化された求核剤がアルコールを攻撃してトリフェニルホスフィンオキシドの生成と立体反転を伴った置換生成物が得られる。

実験操作

一般的な手順はホスフィン、アルコール、求核剤を溶解させ、アゾジカルボン酸エステルの溶液を滴下します。または、まずアゾジカルボン酸エステルとホスフィンとを反応させて、アルコールと求核剤の溶液を滴下します。光延反応を成功させる鍵は少しずつ反応を行うことです。そのためゆっくりと滴下させましょう。アゾ試薬を滴下させる方法もあります。光延反応は反応が早い印象があります。滴下させ終わって30-1h位で反応が終了して、長く反応させても変化がないような気がします。

重要な改良法として向山らが開発した2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノンを用いた反応系内で調整されたアルコキシジフェニルホスフィンを経由する光学活性な第三級アルコールからの立体反転を伴ったカルボン酸第三級アルキルエステルの合成法があります。

 

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えぬてぃー
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専門: 有機化学

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