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スライムの原理とは?

スライムの原理

スライムは小学生の時などに一度はつくったことが有るのではないでしょうか?最近ではYouTuberが巨大なスライムを作ったり、変わったスライムを作った動画をあげていて話題になりました。「転生したらスライムだった件」など昨年からスライムが話題になっています。自由研究にもってこいのスライムですが、液体を混ぜ合わせただけであの奇妙な感触の物体ができる原理を化学的に考えていきます。

スライムの材料とは?

一般的なスライムは「ポリビニルアルコール」と「四ホウ素酸ナトリウム」または「ほう酸」を室温でかき混ぜることによって合成できます。
市販品では「ポリビニルアルコール」はPVAと略されており、「洗濯のり」という名称で販売されています。

でんぷんのりなどではできません。
四ホウ素酸ナトリウムは「ホウ砂」として薬局やamazonなどで簡単に入手できます。



毒性について

ポリビニルアルコールも四ホウ素酸ナトリウムも身体に良いものではないので食べられません。特に四ホウ素酸ナトリウムは毒性があるので決して飲まないようにしましょう。ホウ砂は昆虫類に毒性のある「ほう酸」とは別の化学物質であるため安全とされることがありますが、正しくありません。殺虫効果のあるホウ酸は危険と思われがちですが、哺乳類に対してホウ酸は強毒性を示しません。以下に急性経口毒性の比較を載せます。

物質名経口急性毒性LD50(ラット)
ホウ酸2660-5140 mg/ kg
四ホウ素酸ナトリウム3493-4980 mg/ kg
塩化ナトリウム3000 mg / kg

LD50は半数致死量と言われる急性毒性の指標で値が少ないほど毒性が高いことを示します(少ない量で死亡することを意味する)。

表から見ると、最も毒性が高いのはホウ酸で次に塩化ナトリウム、四ホウ素酸ナトリウムが続きます。塩化ナトリウムはご存知の通りNaCl(食塩)で数値の上では塩化ナトリウムと同等か、塩化ナトリウムの方が毒性が高いという結果になっています。
だから四ホウ素酸ナトリウムが安全ということではないですが、危険視するほどのものでは無いことがわかります。しかし、ホウ酸は上の表にもありますが、毒性のばらつきが大きく、乳幼児ではホウ酸の毒性の影響を受けやすいことが知られています。またこちらの記事にも記載しましたがホウ酸は無味無臭であることから誤飲食しやすく、過去には死亡例も多くその多くは乳幼児です。そのため誤飲には注意が必要です。

スライムができる原理

スライムは一種のポリマーですポリマーとは分子がたくさんつながった巨大な分子のことを指します。ポリマーの仲間にはゴムや紙(セルロース)、デンプンなどがあります。

もともとポリビニルアルコール(PVA)も直鎖上のポリマーですが、さらに四ホウ素酸ナトリウムが加わることによって、PVA同士が互いに結合してより大きな分子を形成することでスライムの性質が生まれます。詳細な原理を追っていきます。

まずはポリビニルアルコールについてみていきましょう。ポリビニルアルコールはビニルアルコールモノマーが重合してできたポリマーです。このポリマーはビニルアルコール(アセトアルデヒド)が重合して生成します

モノマーのビニルアルコールは異性化してアセトアルデヒドになります。これらは異性体と呼ばれてどちらにもなれますが、通常はアセトアルデヒドの形に偏っています。これらが互いに反応を繰り返すとだんだんつながってポリビニルアルコールが生成します。スライムができるメカニズム

四ホウ素酸ナトリウムはホウ素同士がつながった少し複雑な形をしています。この四ホウ素酸ナトリウムは左のような四ホウ素酸イオンが構成単位です。

スライムができるメカニズム2

ホウ素は酸素と結合を形成しやすい性質を持っているので四ホウ素酸イオン同士が結合して複雑な形をしていますが、ここにポリビニルアルコールが加わると、四ホウ素酸イオンがポリビニルアルコールの酸素と反応して結合を形成します。これによってポリビニルアルコール同士が結合していき、巨大な網目状のポリマーができます。これがスライムです。網目状の構造になると水が網目構造中に保水され独特の湿り気を生みます。また弾性が生まれて伸び縮しやすいです。ホウ素と酸素の結合は可逆的(つながったりきれたりする)ため、引っ張るときれます。

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