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フリーデル-クラフツ アシル化: Fridel-Crafts Acylation

フリーデル-クラフツ アシル化

フリーデルクラフツアシル化反応はフリーデルクラフツ反応のひとつでアルキル化剤としてアシルハライドや酸無水物を用いる条件のフリーデルクラフツ反応のことを言います。反応自体は活性化したアシルハライドに対する芳香族求電子置換反応です。

フリーデルクラフツ・アシル化反応

フリーデルクラフツ・アシル化反応 from wikipedia public domain

フリーデルクラフツ反応がわざわざアルキル化とアシル化に分けられているのは、アシル化が有用であるというからです。

フリーデルクラフツ・アルキル化はポリアルキル化や異性化が起こりやすいという点で合成上制限がありますが、アシル化に関しては反応生成物に電子求引基が入ることにより芳香環が不活性化され、それ以上反応が進行しにくくなるため選択的な反応が実現できます。

それ以外の反応の一般的性質はフリーデルクラフツアルキル化と似ています。特徴を挙げると

  • 電子不足な芳香環は反応が進行しない(ニトロ基やシアノ基など)
  • ルイス酸は等量以上要する(アシル基と錯体を作るから)

があります。

フリーデル-クラフツ アルキル化: Friedel-Crafts Alkylation

塩化アルミニウムをフリーデルクラフツ反応で利用する理由

無水塩化アルミニウムは初期に報告されたルイス酸でありながら現在でもよく使われる触媒のひとつです。塩化アルミニウムをよく使う理由としては

  • 昔から使われており知見が多い
  • 反応性も良好
  • 安価

などがあります。無水塩化アルミニウムは無水の状態を保つために湿気を避ける必要があります。また、結構大きな塊になっていることがあるので乳鉢などですりつぶしてやると均一に反応して副反応が起きにくくなります(特にフリーデルクラフツ・アルキル化)。乳鉢によるすりつぶしは保護メガネをしてドラフトなどで行いましょう。

乳鉢の使い方乳鉢の使い方 固体をすりつぶす方法

フリーデルクラフツ・アシル化反応でニトロベンゼンを溶媒にする理由

フリーデルクラフツアシル化では、溶媒としてニトロベンゼンを使うことが多いです。その理由として、ニトロベンゼンは三塩化アルミニウム(AlCl3)を溶解しやすいからです。ニトロベンゼンはニトロ基を持つためフリーデルクラフツ反応不活性です。塩化アルミニウムをよく溶かすことが反応成功のカギになります。

硫酸などのルイス酸以外の酸も使うの?

基本はAlCl3やBF3などのルイス酸を使いますが、硫酸などのブレンステッド酸も使います。トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)などの超酸、アンバーリストなどの陽イオン交換樹脂、アルミナやシリカゲルなどの固体酸なども使われています。ブレンステッド酸はカルボン酸をアシル化剤として用いる時によく用いられます。

なぜフリーデルクラフツ反応は有用なのか?

アルキル化と比べてアシル化は反応の制御がしやすいからです。位置も制御しやすく、導入されるアシル基の数は基本一つです。

フリーデルクラフツ・アシル化は芳香族ケトンの合成法としても有用で、これを還元することによってベンジルアルコールを得たり、さらに還元してアルキル体を得ることもできます。ジフェニルメタンを得たい場合はベンゾイル化した後にシラン還元などによって得たほうが目的の物質が得やすい場合があります。

水を加えると塩酸がでる?

無水塩化アルミニウムに水が加わると反応して水酸化アルミニウムと塩酸が生成します。発熱的に反応するので反応後の後処理時に過剰量の塩化アルミニウムを加えている場合や大スケールの時は注意しましょう。

加える順番にルールはある?

試薬を加える順番が変わると異性体などが生じやすくなることがある。一般的に芳香族化合物とアシル化剤、溶媒との溶液にルイス酸を加える方法が用いられる。

酸に不安定で異性化が起こりやすい場合はアシル化剤とルイス酸を混合させて錯体を作ってからこの溶液を芳香族化合物の中に加えていく方法もある。


反応機構

フリーデルクラフツ・アシル化の反応機構

フリーデルクラフツ・アシル化の反応機構

反応機構の最初の段階では、1当量のLewis酸がアシル化反応剤のカルボニル酸素に配位します。これがルイス酸が等量以上必要になる理由です(図中では省略)。次に、ルイス酸とアシルハライドとの反応によって生成した求電子剤アシリウムイオンに対して芳香環からの求電子置換反応が起こります。その後水素が脱離して再芳香族化してアシル体が生成します。

実験操作

フリーデルクラフツアシル化反応の実際の条件については以下の記事を確認してください

フリーデルクラフツアシル化 フリーデルクラフツアシル化でケトン合成

フリーデルクラフツ反応でカルボン酸の導入 フリーデルクラフツ反応でカルボン酸を導入!

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