フィッツパトリックのスキンタイプは簡単に言えば肌の明るさ別の分類です。
スキンタイプは6つに分類され、美容や皮膚疾患の治療など様々なシーンで利用されています。
本記事では以下の内容を説明していきます
- Who? → フィッツパトリック医師
- Why? → 日焼けと黒色腫の関係調査のため開発
- How? → メラニンの量(色黒さ)と日焼けに対する反応で分類
- Use? → 日焼け耐性、がん発症リスク評価、化粧品テスト
フィッツパトリックのスキンタイプとは?
フィッツパトリックのスキンタイプはハーバード大学医学部皮膚科医のThomas B. Fitzpatrickによって作られた日焼けの具合に基づいて作られた主観的な分類(見た目)です。
フィッツパトリックは皮膚科医として権威のある人物で「悪性黒色腫:メラノーマ・皮膚がんの一種」を研究していました。フィッツパトリック氏は日焼けと黒色腫発症の関連性を調べる研究を行う過程でスキンタイプを開発しました。
参考 Thomas B. Fitzpatrick - Wikipedia取得できませんでした初期のスキンタイプは1972年に白人を対象に肌のタイプを3種類(1~3)に分類しました。
- タイプ1:日射で容易に赤くなり(火傷)、黒くならない人
- タイプ2:日射で簡単に赤くなり、黒くなりにくい人(そばかす、赤毛)
- タイプ3:日射で適度に赤くなり、黒くなる人
3タイプではざっくりとしすぎていているため、現在は更に3タイプを加えた6つのタイプ分類が使われています。
肌のタイプの違いは遺伝や日焼け習慣で変化します。
- 遺伝子的要因(人種など)
- 日焼けする習慣
外で活動することが多く良く日焼けする人はひどいやけどになりにくいです。
スキンタイプ | やけどと色素沈着 | 素早い色素沈着 | 時間経過後の色素沈着 | 地肌の色 |
1 | 容易に日焼けし、決して黒くならない | みられない | みられない | Ivory white |
2 | 容易に日焼けし、黒くなりにくい | 弱い | 最小限 | 白 |
3 | 適度に日焼けし、適度に均一に黒くなる | 適度 | 弱い | 白 |
4 | 最小限の日焼け、容易に適度に黒くなる | 中程度 | 中程度 | 軽く日焼けしたBeige-Olive |
5 | めったに日焼けしない | すぐに | 強い | 適度に茶色あるいは日焼けで黒くなっている |
6 | 日焼けしない | すぐに | 強い | 濃い茶色あるいは日焼けで黒くなっている |
また、遺伝の影響は大きく、日焼けによるメラニン沈着がほとんど起こらない人もいます。
スキンタイプの診断法
最も正確な診断方法は機械を使った方法です(Dermatone Skin Analyzer)。これを使えばスキンタイプを客観的かつ正確に診断が可能です。
スキンタイプは質問項目を点数化されていてそれを集計することによってスキンタイプを診断します。目の色、髪の色、皮膚の色、そばかすの数、日光にあたった際の皮膚の変化の仕方などがあります。白人人種の人たちに共通する特徴のある人は日光に弱く、スキンタイプは1に近くなります。
細かく点数化しなくても上の表のどれに当てはまるか?でスキンタイプを割り出すことができます。
- 地肌が白い→スキンタイプ1~3
- 日焼けしても赤くなるだけで全く黒くならない→1
- 日焼けしてもほとんど黒くならない→2
- 日焼けして多少黒くなる→3
- 地肌は色白ではない、日焼けはしやすい→4
- 地肌が黒い→スキンタイプ5~6
- 日焼けしなければ6
個人的に日本人のスキンタイプは2~4のいずれかに当てはまることが多いようなきがします。
スキンタイプで何がわかる?
スキンタイプが1よりであるほど、日光(紫外線)に対する抵抗力が小さいということがわかります。
例えば、スキンタイプ1~2の人は皮膚がんになりやすいです。
スキンタイプが小さい番号の人は皮膚にダメージを負いやすいので日光にさらされるときは日焼け止めを利用しましょう。
皮膚へのレーザ照射の耐性も分かる
皮膚に対するレーザー脱毛やUV照射療法の副作用・リスクも分かります。
皮膚への照射はスキンタイプが大きい4~6の人の方が副作用リスクが大きいことがわかっています。一般的に皮膚の色が暗い人のほうが色素沈着や色調変化の副作用が起こりやすいことが知られています。ケミカルピーリングなども皮膚タイプが1~3の人は向きますが、4~6の人は炎症性色素沈着などが起こりやすいです。
メラニンと日光
日光に当たりすぎると体に良くない、やけどを負ってしまうのは日光に含まれる紫外線によるものです。
紫外線は光の一種で目に見える光よりもエネルギーが高い光です。高エネルギーであるため紫外線を吸収しやすい物質は特に化学反応を起こすきっかけになってしまいます。
そこで体は日光が細胞に当たらないようにメラニンという黒色の物質を作りだします。メラニンは有害な紫外線を吸収するため、皮膚を守ることができます。
このメラニンを作りだしにくい人は日焼けしにくく、日光をあびると赤くなりダメージを受けやすいです。
参考文献
1) Sachdeva, Silonie. “Fitzpatrick skin typing: Applications in dermatology.” Indian Journal of Dermatology, Venereology, and Leprology 75.1 (2009): 93.