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エビデンスレベルピラミッド 信頼性の高い情報とは?

エビデンスレベルピラミッド

エビデンスレベルは「科学的根拠のレベル」という意味で、その情報がどの程度の科学的根拠に基づいているか?を判断するのに重要な指標です。

情報が溢れてきている昨今の世界ではどの情報が信頼性が高いか?優先すべきか?が非常に重要になってきています。

エビデンスベースの考え方は価値、信頼性の高い情報を選択するための一つの手段です。

こめやん

最近はエビデンスベースドトレーニングやメディスンなど、エビデンスベースド~というのが増えてきていますね

科学者によって発表された論文であってもそのエビデンスのレベルは異なります。査読付きの論文か?有力雑誌か?というところから、研究手法・デザインの信頼性バイアスの存在などが考慮されます。

エビデンスレベルが高いほどその論文で述べられていた結論や考察が確からしく、信頼性が高いとされます。

ここではエビデンスレベルの考え方などを紹介していきます。

エビデンスレベルの評価・重要性

エビデンスは「科学的な根拠」を表す言葉です。自然科学分野ではこのエビデンスを重視します。なぜなら、どんな素晴らしい実験結果が出ていてもそれが捏造であったり、結論づけるのに適した実験手法でなかったりすればそれは科学的な根拠が無い、あるいは乏しいとされます。つまり、エビデンスが無い・乏しいというのは情報の信頼性が低いことを意味します。

論文ではこのようなことが起きないように査読(ピアレビュー)といってその分野の専門家によって出版前に評価する制度があります。査読付きの論文とはこの査読制度が導入されている論文で、査読が無い論文もあります。

こめやん

エビデンス・信頼性が特に求められるのは医療ですね

医療ではきちんとしたエビデンスに基づいた医療行為を行わなければヒトの命に関わるため、エビデンスを重視することは非常に重要です。

こめやん

医師の感覚や勘で処置されては困りますからね

そのため医療の分野では1991年にGuyattが提唱した科学的な根拠に基づく医療 (Evidence-based medicine : EBM)がいち早く浸透しています。

最近では科学的な根拠に基づく訓練 EBTなどエビデンスを求める動きが活発化しています。

エビデンスレベルの低さは情報の信頼性の低さを直接意味しません。動物レベルの試験だからといって、その情報の信頼性が低いわけではなく、臨床への応用という意味では求めるエビデンスのレベルが異なる(臨床研究>動物研究)ということです。

エビデンスレベルピラミッド

エビデンスレベルが高い研究とは何でしょうか?反対にエビデンスレベルが低い研究とは何でしょうか?

例えば、とある抗がん剤を患者に投与する際に参考にする研究として

  1. ハムスターの卵巣癌細胞に対して有効性が高かった抗がん剤
  2. 動物、臨床で有効だった抗がん剤を使用した患者たちの5年生存割合が良好な結果を示した

こめやん

ハムスターの細胞で有効な1よりもヒトで研究した2の方が信頼性が高い気がする

上の例では、がん治療目的で人間に投与する場合2のほうがエビデンスレベルが高いといえるでしょう。

医療においてはエビデンスレベルピラミッドというものがあります。エビデンスピラミッド

エビデンスレベルが高いものがピラミッドの頂点にあります。医療においては一般化された診療ガイドラインが信頼性の点で頂点となり、エビデンスレベルが高い順にシステマティックレビュー、メタアナリシス、ランダム化比較試験 (RCT)、非ランダム化比較試験*1、コホート研究、症例対照研究、単なる症例の報告や経験に基づく専門家の意見、動物実験(in vivo)、細胞実験(in vitro)などが続きます。

*1 比較試験は研究をコントロールした研究(介入研究)です。

観察研究とはコホート研究や症例対照研究のように試験環境をコントロールしない研究を指します。

システマティックレビューやメタアナリシスといった研究は二次研究と呼ばれ、既存の研究から得られた情報を吟味し、それらを統合・集約して結論を導き出すような研究であり、複数の一次研究を根拠としているため、エビデンスレベルが高いです。

エビデンスピラミッドの注意点

エビデンスレベルが高いから信頼性が高く、正しいと盲目的に考えるのは危険です。

エビデンスピラミッドはあくまで医学分野における研究方法に関してのエビデンスレベルを示したものです。医学では、人に対して医療行為を行うという点に主眼をおいているため、動物実験のデータがいかに信頼性の高く正しい内容であっても、人での有効性を示す証拠にはなりえないためエビデンスレベルが低いとされます。逆にエビデンスレベルが高いからと必ずしも信頼性が高いものだというわけではありません。

例えば研究者による捏造あるいはバイアスによって結論が捻じ曲げられている可能性があります。特に一次研究以下(ランダム化比較試験)では注意が必要です。

Murad MH, et al, 2016 Aug;21(4):125-7

パラシュートのシステマティックレビュー RCT の話

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)でパラシュートの有効性に関するシステマティックレビューというパロディ企画として有名な論文があります。これは空中から降下するときのケガ、死傷予防のためにパラシュートの有効性をシステマティックレビューで検討したが、パラシュートの有効性を検討したランダム化比較試験結果が無いので有効性が検討できない=有効でない。というような皮肉を書いています。(エビデンスレベルの高いものが無いのでパラシュートは信頼性が低いから空中から降りる時はパラシュートつけなくても良いというようなことを言いたいのでしょうか?)

エビデンスレベルを盲目的に信仰すると、エビデンスレベル低いものしかない手法は有効ではないというような考え陥ってしまいます。ランダム化比較試験はたしかに信頼性は高いとされていますが、エビデンスベースの考えに固執すると思わぬ読み間違いをするかもしれません。

EBMがもたらすメリット

科学的な根拠に基づくことによって、すでに科学的に有効ではないあるいは、かえって有害なことがわかっている治療法を実践・推奨したり、科学的に有効であることが証明されているにも関わらず利用されない治療法などを放置することがなくなります。

患者にとっては治療の質が向上することに繋がります。

エビデンスレベルを意識することは、研究者自身のエビデンスに対する意識を改めることにも繋がります。これによってこれから蓄積していく研究結果もより洗練されていくかもしれません。

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