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乾燥剤における硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの違い

硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの違いは?

分液操作の後にいれることが多い、乾燥剤 (脱水剤)ですが、硫酸ナトリウムと書かれていたり、硫酸マグネシウムと書かれていたりして、調べてみるとどちらも用途は同じで、一体どっちを使ったらいいのか?何が違うのか疑問に思った人も多いのでは無いでしょうか?今回は乾燥剤として両者を比較してそれぞれどのような特徴があるのかをまとめてみました。

硫酸ナトリウム vs 硫酸マグネシウム

さて、硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの用途は、「有機溶媒中の水分の除去」でどちらも同じ用途で使います。よく使用するタイミングとしては、分液操作の後、有機層に含まれた水分を取り除くのに利用します。

こめやん

用途に関しては全く同じということですね

そして基本的に硫酸ナトリウムを使うタイミングで、硫酸マグネシウムを…、硫酸マグネシウムを使うタイミングで、硫酸ナトリウムを使用しても基本的に問題はないそうです。つまりどっちを使っても基本的にOK

こめやん

硫酸マグネシウムじゃなきゃダメ、硫酸ナトリウムじゃなきゃダメ!というようなタイミングは無いのでしょうかね?

両者の性質の違いは?

硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの脱水能力の違いを見てみましょう。

名称 硫酸ナトリウム 硫酸マグネシウム
残留水分量 12 1.0
乾燥能力 1.2 0.2-0.8

硫酸ナトリウムのほうが残留水分量は多いですね。硫酸マグネシウムの12倍も水分が残留しています。一方で、乾燥の力は硫酸ナトリウムの大きいです。これは、硫酸ナトリウムが10水和物になるのに対して硫酸マグネシウムは最大で7水和物になるという違いによって生まれていると考えられます。

硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの水和物の量

硫酸ナトリウムは少ない量でたくさん脱水できるが、残存する水分量は多いということですね。一方硫酸マグネシウムは、乾燥量は硫酸ナトリウムに劣るが、水分を残さずに取り去る力は強いということがわかります。

硫酸マグネシウムは酸性?

硫酸マグネシウムは弱塩基の水酸化マグネシウムと強酸の硫酸からなる塩のためわずかに酸性です。

塩基性の化合物を硫酸マグネシウムでは乾燥させない方が良いといわれています。ただ、硫酸マグネシウムとアミンなどが反応するということはあまりなさそうですね。気になる場合は硫酸ナトリウムや別の乾燥剤を使ったほうがよいでしょう。

極性溶媒では硫酸ナトリウムは脱水力がほとんど無い?

とある論文で1)、アセトンやアセトニトリルなど極性が高くて水と混じり合うような溶媒に対して、硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムを使って脱水能の比較検討を行った結果、硫酸ナトリウムはほとんど水分を除去できていなかったという報告がありました。この論文ではNMRで水分量を評価しています。

これは極性の低いジクロロメタンや酢酸エチルにも当てはまるのでしょうか?そうであれば、考え直す必要がありそうですが、極性の低い溶媒では平気であるなら、分液にアセトンなどは使わないので一安心なのですがどうなのでしょうか?見た目では水を吸っているようにも見えるのですが、見間違いでしょうかね?

1) SCHENCK, Frank J., et al. Comparison of magnesium sulfate and sodium sulfate for removal of water from pesticide extracts of foods. Journal of AOAC International, 2002, 85.5: 1177-1180

硫酸マグネシウムは取り扱いに難有り?

硫酸マグネシウムは硫酸ナトリウムと比べて粒子が細かく粉っぽいため、ろ過が面倒(貫通することがある)

また、エタノールなどの極性の高い溶媒に少量溶けるという問題があります。

Na2SO4とMgSO4のどっちを使うべきか?

どっちもほとんど同じといえば同じですが、違う部分もありました。まとめると、

確実な脱水能力を求めるのならばMgSO4を使用したほうが良いようです。ただし、粉っぽくてろ過が面倒とか、アルコールでは微量溶ける、若干酸性?というのが問題としてあります。

硫酸ナトリウムに関しては、脱水力に疑問が残りますが、良く言えば「可もなく不可もなく」で万能乾燥剤であることは間違いないです。ただし高極性溶媒では脱水力が発揮できない可能性があるので注意です。

といっても完全な脱水力を求めるのならば、この2つの脱水剤は使わないし、分液の後限定で使うと考えるなら、「硫酸ナトリウム」が一番無難なのかもしれませんね。

有機合成の脱水で用いられる乾燥剤の基本とまとめ

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