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Collins酸化

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[box03 title=”コリンズ酸化の特徴”] アルデヒド・ケトンの合成法
中性条件で進行するので酸に弱い基質に使用可能
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Collins酸化とは?

Collins酸化(コリンズ酸化)はクロムを用いた酸化方法の一つです。コリンズ酸化では「第二級、第一級アルコール」を「ケトン・アルデヒド」に酸化させる方法です。コリンズ酸化で使われる試薬は、「サレット試薬」または「コリンズ試薬」(ジクロロメタン中のCrO3・2Py)と呼ばれるもので、ピリジンと三酸化クロム[無水クロム酸 or 酸化クロム(VI)とも呼ばれる]の錯体が反応試薬です。サレット試薬とコリンズ試薬の違いはジクロロメタンを使用するかどうかです。サレット試薬はピリジンを溶媒として使用するため、塩基性条件で吸湿しやすく、反応後の除去も大変で、特にアルデヒドの合成はあまりよく進行しませんでした。コリンズ試薬は化学量論量のピリジンとジクロロメタンを溶媒として使用することで、使いやすさとアルデヒド合成の収率向上を狙っています。

クロム酸酸化で有名なJones酸化などと比べた特徴は、コリンズ酸化では反応系中に水が含まれないため(サレット酸化では吸湿により水が混入する可能性がある)第一級アルコールをアルデヒドに変換できる点です。クロム酸酸化において系内に水が存在するとアルデヒドはカルボン酸まで酸化反応が進行してしまうため、Jones酸化はアルデヒド合成には使えませんでした。また強酸を使用するJones酸化とは異なり、中性条件下で反応を進行できるため、酸に弱い基質にも適応可能です。

サレット酸化と比較してコリンズ酸化の利点は、除去しにくいピリジンが最小量で済むため、精製が楽(アルデヒドの合成のときは重要)で塩基性条件にならず中性条件であるところです。

欠点: 過剰に酸化剤を入れる必要があること(原料の6eq以上)。試薬が不安定で作り置きが出来ないことです。

条件・操作手順

・コリンズ試薬の作り方

ピリジン (2 mmol)を含むジクロロメタン溶液 (5 mL)に無水クロム酸 (1 mmol)を少しずつ加えてアルゴン下で30-60分間撹拌する。クロム酸が残った場合は溶液のみを使って反応をかけます。(溶媒はすべて脱水)

注意点

  1. Collins酸化は、湿気に弱いので、ジクロロメタン中で調整する
  2. 発火する危険がある。大量調整時は注意する。ピリジンにクロム酸を少しずつ加えるようにする。
  3. 酸化クロム(VI)、六価クロムは毒性が強く、環境汚染も引き起こす物質で取扱に注意する。誤飲や接触はもちろん、水道に流すなどもせず、適切な廃棄をする。

参考・文献・小技

溶媒はハロゲン系溶媒を使用可能で、ジクロロメタンが最もよく使われる。極性の高いハロゲン系溶媒のほうが錯体が溶けやすい。

  1. ジクロロメタン: 12.5 g/100 mL
  2. cis-1,2-ジクロロエタン: 7.1 g/100 mL
  3. ピリジン: 6.1 g/100 mL
  4. クロロホルム: 4.5 g/100 mL
  5. 1,2-ジクロロエタン: 3.2 g/ 100 mL
  6. 四塩化炭素: 1.4 g/ 100 mL

参考)Collins, J. C., W. W. Hess, and F. J. Frank. “Dipyridine-chromium (VI) oxide oxidation of alcohols in dichloromethane.” Tetrahedron Letters 9.30 (1968): 3363-3366.

・反応系中にセライトを共存させておくと、生じる残渣に目的物が取り込まれて収率が落ちることを防げます。

・2-4eqの無水酢酸を加えるとより温和に酸化が行なえます。特に糖(ヌクレオシド)に用いらることが多いです。 Hansske, F.; Robins, M. J.; Tetrahedron Lett. 1983, 24, 1589

・アリルアルコールの酸化はエポキシドの生成が起こることがある。

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