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ベンゼン環の生物学的等価体まとめ

ベンゼンは医薬品骨格によく使われる構造です。

今回はそんなベンゼン環の生物学的等価体についてまとめてみました。

環同等体

芳香環の-CH=を-N=に、あるいは-CH=CH-を-S-に変換する手法は、よく知られています。このような変換を環同等体あるいは環状等価体といいます。

含窒素ヘテロ環

含窒素ヘテロ環の等価性については、Morinによって調べられています。5-HTの作用増強と下記のヘテロ環を有する誘導体について比較した結果、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,4-チアジアゾール誘導体が同様の高い活性を示すのに対し、ピラジンとピリミジン誘導体の場合は活性が低下しました。

 

 

 

実は沸点は、等価性を測る指標として用いられていて、上記で高活性であった化合物においても沸点が200℃付近と共通しています。逆に活性が低いピラジンやピリミジンは沸点が120℃前後です。


沸点が活性に影響しているという解釈としては、ヘテロ環系での沸点が分子の双極子モーメントと相関するということ、そして同じ芳香環の幾何構造をもつ二つのヘテロ環については双極子モーメントの同等性が重要になる点です。

チオフェン

含窒素ヘテロ環以外にも、チオフェンがベンゼン等価体として機能します。先程のピリダジンの例では1,3,4-チアジアゾールが等価体として機能していましたが、芳香族の-C=C-が-S-と置換できるという訳です。

実際に物理的性質として沸点を比較してみると、ベンゼン環をチオフェンに置換した場合に種々の官能基を導入した場合でも似通った沸点になることが分かります。

シクロプロパン

シクロプロピルアミドがo-置換ピリジンの等価体として用いられている例があります。ピリジンがベンゼンの等価体としても機能するので、こちらも使えるかも知れません。

シクロブタン

p-置換ベンゼンの代替構造としてシクロブタンを用いている例があるようです。

ビシクロ[1.1.1]ペンタン(BCP)

ビシクロ[1.1.1]ペンタンはp-置換ベンゼンの代替構造として用いられています。こちらは脂溶性を上げるなどの効果があるようです。

アルキンおよびベンゼン等価体: ビシクロ[1.1.1]ペンタン誘導体の合成法

キュバン

キュバンも八個の炭素原子が立方体の各頂点に配置された化合物であり、炭素結合同士の結合角が90℃に近いものの比較的安定な化合物です。また、キュバンのC-C結合は1.362Å、ベンゼンが1.397Åと非常に近い値をとっていて、さらに言えばキュバンの立方体の対角線は2.72Åとベンゼン環の直径(2.79Å)とほぼ同等になります。

ベンゼン環と比較してLogP値が上がる傾向があるため、溶解性に関して考慮した分子設計が必要になります。また、医薬品代謝の安定性についてもP450camおよびヒト肝ミクロソームを用いて調べられており、代謝安定性もベンゼン環と同等に高いことが分かっています。

生物活性に関しては、SAHA誘導体、レテプリニム誘導体、ベンゾカイン誘導体、安息香酸ベンジル誘導体、ジフルベンゾロン誘導体の報告があります。

一方で合成法として出発物質としては1,4-Cubanedicarboxylic acidとそのメチルエステル体のみが販売(アルドリッチ)されているため、医薬品への応用としては未だ発展途上ですが、簡単な官能基変換などの条件には耐えられることも分かっています。

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