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芳香族ブロモ基を直接アミノ基に変換する便利な反応: ゴールドバーグアミノ化(Goldberg amination)

皆さんは芳香族ブロモ基をアミンに変換しようと考えた時、どういった反応を使いますか?

自分はあまり良い方法が思いつかなったので、Scifinderで調べてみることにしました。そうした所、こちらのゴールドバーグアミノ化反応 (Goldberg amination)にたどり着きました!

ゴールドバーグアミノ化反応 (Goldberg amination)

いわゆるウルマンエーテル合成の基質(求核剤)をアミンorアミドにして反応させるものをゴールドバーグ反応 (Goldberg reaction)、あるいはゴールドバーグアミノ化 (Goldberg amination)というみたいです。

このタイプの反応は求核剤ならある程度反応が可能らしいのですが、、、面白いですね。アミン以外にアミドも求核剤として使えることが知られていますが、Wikipediaによるとジカルボニル化合物ですら求核剤として使用可能らしいです!色々くっつけられてすごい!

ゴールドバーグアミノ化ゴールドバーグアミノ化ーアリールハライドからアリールアミンを合成する方法!



アンモニアを用いた芳香族ブロモ基からアミンへの変換

そして今回紹介するのが、基質に一級アミンや二級アミンではなく、アンモニアを用いることでBr基を直接アミンに変換できる手法です。

CuI/4-Hydro-l-proline as a More Effective Catalytic System for Coupling of Aryl Bromides with N-Boc Hydrazine and Aqueous Ammonia

Liqin Jiang†, Xu Lu‡, Hui Zhang‡, Yongwen Jiang† and Dawei Ma*†

J. Org. Chem., 2009, 74 (12), pp 4542–4546 DOI: 10.1021/jo9006738

今回の論文の反応では、触媒としてCuIおよびtrans-4-Hydroxy-L-prolineを用い、基質として芳香族ブロミドとアンモニア水、溶媒をDMSOとした反応です。2009年の論文と以外と古いです。

実際に自分もちょっと特殊な基質を用いて同じ条件で反応を行ってみたのですが、収率60%以上と中々良い結果でした。

メリットとしては、入れて混ぜるだけで簡単、比較的高収率、アルゴン置換しなくても問題ない、安い (Pdと比較して)などですね。

逆にデメリットとしては、アンモニア水を使うので、アンモニアが出ていかないように封管をしなくてはいけない点です。ただそこまで温度を上げなくても進行するので、厳密な封管を用いなくても代用品でできると思います。実際に、自分はMicrowave用のバイオタージの反応容器と蓋で行いました。こちらは自分が試したところ80-100℃までは今回の反応でも許容したのですが、120℃超えると白い部分がぽんっと外れてしまったので、100℃以上は厳しいかもしれません。その場合は厳密に封かんをした方が良いと思います。

また、筆者らも述べていますが、ヒドロキシプロリン(Hyp)じゃなくてもプロリン(Pro)でも反応は進行します(下図参照:論文より抜粋)。若干収率が下がるみたいですが、自分もHypがなかった時にProでやってみたところ収率にほとんど問題がなかったので、そこまで差はない気がします。塩基は炭酸カリウムを炭酸セシウムにすると結構落ちてますね (81%→48%)。こちらは自分は試したことないです。

同反応を利用した別の論文紹介

ちなみに2011年には同様のゴールドバーグアミノ化でPEGを溶媒に用いた芳香族ハロゲン→アミノ基の変換も報告されています。

Simple and efficient CuI/PEG-400 system for amination of aryl halides
with aqueous ammonia

Junmin Chen ⁎, Tangjun Yuan, Wenyan Hao, Mingzhong Cai

Tetrahedron Letters 52 (2011) 3710–3713 DOI:10.1016/j.tetlet.2011.02.096

こちらの反応では触媒としてCuI、溶媒としてPEG400、塩基としてリン酸三ナトリウム、基質として芳香族ブロミドおよびアンモニア水を用いています。論文ではこちらも種々の基質に適応しており、良さそうな反応です。

自分がやってみたところ、自分の基質では反応が進行しませんでした。確か160℃ぐらいまで試したと思うのですが、結局うまくいきませんでした。おそらくプロリン系の触媒が入っていないことでより強い条件が必要だったのだと思われます。詳しくは言えませんが、ちょっと基質が特殊だったのもあると思います。

芳香族Br基を直接アミンに変換するのは意外とめんどうかと思いますので、ゴールドバーグアミノ化反応を使うのは、有用だと思います。

まとめ

芳香族Br基を直接アミンに変換するのは意外とめんどうだと思いますので、ゴールドバーグアミノ化反応を使うのは、有用だと思います。

他にはバックワルドアミノ化もアンモニア水でできる例もあるかと思いますが、自分は試したことないですね。どうしてもPd触媒の方がCu触媒より高価になると思いますので、きちんといくのであればゴールドバーグアミノ化の方が向いているかもしれません。

ぜひお試しください。

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