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アルデヒドの自動酸化でカルボン酸合成

自動酸化でアルデヒドをカルボン酸に酸化

アルデヒドは非常に反応性に富んだ官能基であり、酸化も受けやすいです。

そのため、空気中の酸素による酸化反応「自動酸化」も起こりやすく、ベンズアルデヒドなどは空気中に放置すると酸化されて安息香酸を生成します。

古いベンズアルデヒドの試薬の蓋や中身をよく見ると固体が析出していることがあります。これは液体のベンズアルデヒドが酸化されて安息香酸に自動酸化したものです。

本記事では自動酸化を受けやすいアルデヒドを触媒的自動酸化によってカルボン酸に変換する方法を紹介します。

自動酸化でアルデヒドを酸化してカルボン酸を得る

空気中にはたくさんの酸素があり、その酸素を使って酸化するのは有機合成の一つの課題です。

特にアルデヒドは自動酸化されやすい官能基であるため、各種金属触媒のもと自動酸化によりカルボン酸を得る方法があります。

ラジカルは不対電子を持つ化学種で、電子を一つ失うとカルボカチオン、電子を一つ得るとカルボアニオンになります。

ラジカルは反応性が高く多くの化合物と反応することがしられています。

ラジカル種の構造

ラジカル種の構造

酸素はビラジカルであり、水素引き抜きやラジカルカップリング反応を起こして過酸化物を作ります。詳細は以下の記事を参考にしてください

自動酸化とは?過酸化脂質の生成機構自動酸化をわかりやすく解説!油脂、脂質が酸敗するメカニズム

酸素を使った自動酸化は制御が難しく収率が低いですが、酸化剤として、クロム酸や過マンガン酸などの重金属を使わず空気中の酸素を使って酸化するため環境に優しい合成法として興味が持たれています。

アルデヒドの自動酸化でカルボン酸に変換

アルデヒドは自動酸化を受けてカルボン酸に変換されます。

アルデヒドの水素は引き抜きを受けて安定性が高いカルボニルラジカルが生成します。

このようにラジカルの反応が起こりやすいのは、安定性の高いラジカルが生成する場合です。

  1. 第三級炭素
  2. ベンジル位
  3. アリル位
  4. カルボニル炭素

等は安定なラジカルです。

ベンズアルデヒドが自動酸化を受けやすいのも、ラジカル反応によって生成するラジカルがベンジル位であり、カルボニル炭素でもあるために安定で生成しやすいことが原因です。

ベンズアルデヒドが自動酸化を起こしやすい理由

ベンズアルデヒドが自動酸化を起こしやすい理由

ベンズアルデヒドからカルボン酸への生成機構

酸素ラジカルの水素引き抜きによって過酸が生成するのが第一段階です。

生成した過酸はアルデヒドの水素を引き抜く等により安息香酸を生成します。

酸素による自動酸化反応

酸素による自動酸化反応

安息香酸生成メカニズムとしてはBayer-Villiger反応型も考えられます。この機構では過酸とアルデヒドから二分子のカルボン酸が生成します。

ベイヤービリガー型の酸化機構

ベイヤービリガー型のアルデヒド酸化機構

自動酸化進行のための触媒

自動酸化を促進させるために塩基性条件下で自動酸化することが多いです。NaOHや水素化ナトリウムなどが塩基触媒として使われます。

Kono, Takenobu et al Jpn. Kokai Tokkyo Koho, 2007261986, 2007

触媒の酸化銀(0.124g)、酸化銅(5.7g)、水5.7gを添加し、毎分2Lの空気をバブリングした溶液にフラン(0.124g)水(5.7 g)、5.2eqの水酸化ナトリウムを30分かけて滴下した。滴下終了後、攪拌を10分間続けた。反応混合物はHPLCにより生成してカルボン酸を100%の収率で得た。

自動酸化では触媒として酸化銅と酸化銀を使った方法があります。自動酸化は収率や選択性の面で難がありますが、条件や基質によっては十分実用に耐える反応なります。

まとめ

クロムなどの有毒な自由金属を使用せずに、空気中の酸素を使った環境にやさしい酸化反応で、より効率的・選択的な自動酸化を行う触媒の発見・開発を目指して盛んに研究されています。

現状自動酸化が可能な基質に対しては他のマイルドな酸化反応を適用かのうなため、合成上は実用性は低めですが、十分使用に耐える条件もあります。

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