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酸化銀でアルデヒドをカルボン酸に変換!

酸化銀(I)はアルデヒドをカルボン酸に酸化するのに使われる試薬です。

酸化剤としてはメジャーではないかもしれませんが、非常に穏やかで特に芳香族アルデヒドの酸化に適しており、二重結合をはじめ多くの官能基を侵すことなく酸化できるメリットがあります。

本記事では酸化銀(I)のアルデヒド→カルボン酸への変換反応に着目して紹介していきます。

酸化剤の酸化の特徴

酸化銀(I)はアルデヒドをカルボン酸に変換するためのマイルドな酸化剤として知られています。

酸化銀による酸化では二重結合に影響を与えることなくカルボン酸に変換可能です。酸化銀によるアルデヒドの酸化は最も穏やかな酸化方法の一つです。

と言われていますが、酸化銀による酸化では水酸化ナトリウムを加えて熱するために異性化が起こる危険性があります。

酸化銀は酸化銀(I)でも酸化銀(II)でも使えますが、酸化銀(I)のほうが良く使われてます。

  1. シンプル
  2. 官能基許容性が高い
  3. ろ過で目的物が得られる

などのメリットがあげられます。αβ不飽和カルボニルの酸化に適しているようです。

欠点

  1. 水酸化ナトリウム水溶液を使う(塩基性条件で不安定な官能基は使えない)
  2. 脂肪族アルデヒドの酸化はモノによって低収率

基本的な反応条件

酸化銀によるアルデヒドの酸化反応

酸化銀によるアルデヒドの酸化反応 Thomason, Sandra C.et al. Journal of Chemical Education 45.8 (1968): 546.

1gのアルデヒドを1.1-1.4gの酸化銀(I)、3.0 mLの10%NaOH水溶液+5mLの水溶液に加えて暗所で撹拌した。反応が進行すると茶色に変色し始める。反応後、濾過、ろ液をHClで酸性にして遊離型にして、沈殿したカルボン酸をろ過、水洗浄後回収する。(水に溶けやすい場合は酸を加えて遊離型とした後、分液で抽出する。

脂肪族のアルデヒドの収率はあまり高くないようです。酸化反応としてはマイルドでも水酸化ナトリウムを加えることから、塩基に弱い化合物は使いにくいです。

酸化銀例1 Fukawa, Hidemichi and Takada, Akiko Jpn. Kokai Tokkyo Koho, 2008247827, 16 Oct 2008

酸化銀例1 Fukawa, Hidemichi and Takada, Akiko Jpn. Kokai Tokkyo Koho, 2008247827, 16 Oct 2008

酸化銀による酸化反応

Astles, Peter C. et al patent.2001090101, 29 Nov 2001

4-フェニルエチニルベンズアルデヒド(1.01 g、4.85 mmol)を、水(15 ml)および水酸化ナトリウム(0.97 g、24.3 mmol)中の酸化銀(0.56 g、2.43 mmol)の懸濁液に室温で加えて90℃、1.5時間加熱した。冷却して抽出して目的物を52%で得た。

この例では酸化銀によって三重結合が還元されています。

塩基に弱い化合物の場合は、アルデヒドに対して4eqの酸化銀を加えてTHF/水(9:1)、室温で撹拌してもカルボン酸を比較的高収率で得られます。

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