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アミドを還元してアルデヒドを合成する方法

アミドを還元してアルデヒドを合成

アミドの還元によりアミンだけでなくアルデヒドを合成することも可能です。アミドの還元により生じるアミナールを加水分解してアルデヒドが得られます。

アミドの還元でアルデヒドを得る方法

アミドは還元により生じるアミナール・イミンを加水分解することによってアルデヒドの合成が可能です。

アルデヒド合成に利用できるアミドは窒素原子上に水素がない第三級アミドです。特にワインレブアミドアシルイミダゾールなどが有用です。これらはカルボン酸や酸塩化物から誘導します。酸塩化物を還元する溶離もワインレブアミドやアシルイミダゾールを還元したほうが良い結果が得られることが多いです。

ワインレブアミドの合成例 ワインレブアミドはケトン合成にも利用されていますが、還元によりアルデヒドを合成するのにも活用されている from wikipedia selfmade by mdlevin [CC0]

アシルイミダゾールを経由したアルデヒド合成

アシルイミダゾールを経由したアルデヒド合成 アシルイミダゾールは単離することなくそのまま還元反応に使える。

還元剤としてはLiAlH4が昔からよく使われていましたが、反応選択性と取り扱いやすさからは、Red-AlDIBALのほうが良いと思います。

他にもシュワルツ試薬を使ってアミドを還元する方法もあるようです。シュワルツ試薬はジルコニウムのメタロセンで多重結合のヒドロジルコニウム化に利用されており、市販もされています(TCI5g 9100円)。

吉藤正明. “クロロビス (η‐シクロペンタジエニル) ヒドリドジルコニウム (IV) ヒドロジルコニウム化試剤.” 有機合成化学協会誌 35.8 (1977): 675-682.

反応例

反応例1 ワインレブアミドのDIBAL還元

Webster, Robert et alFrom Organic Letters, 15(8), 1866-1869; 2013

ワインレブアミド(50 mg、0.107 mmol)をTHF(1 mL)に溶解し、-78°Cに冷却し、DIBAL(0.11mL、0.160mmol、1.5当量、トルエン中1.5M)を滴加し、反応物を30分間撹拌した。反応後MeOH(0.5 mL)次いでロシェル塩の飽和水溶液(1 mL)でクエンチし、激しく撹拌しながら室温に戻し、30分後ジエチルエーテルで希釈し、抽出して濃縮して目的物をquantで得た。

反応例2 ワインレブアミドのLiAlH4還元

Joosten, Antoine et al Organic Letters, 12(22), 5128-5131; 2010

Et2O(25 mL)、ワインレブアミド(640 mg、2.48 mmol)の溶液に、-78℃でLiAlH4(118 mg、3.1 mmol)を加えた。反応混合物を-20℃で3時間撹拌した後、-78℃に冷却し、KHSO4(0.35 M、10 mL)でクエンチし、室温に戻した。有機層を分離し、水層をEt2O(3×10 mL)で抽出し濃縮により目的物を87%で得た。これ以上精製せずに次の反応に使用。

Boc基、tertブチルエステル、ベンジルエーテルなどは反応せずにワインレブアミドのみを還元可能です。

反応例3 ワインレブアミドとシュワルツ試薬

シュワルツ試薬とワインレブアミドでアルデヒド

Spletstoser, Jared T. et alJournal of the American Chemical Society, 129(11), 3408-3419; 2007

アルゴン雰囲気下、室温で火炎乾燥した丸底フラスコにTHF(3 mL)シュワルツ試薬(D置換体)(0.29 mmol)を加えて懸濁し、THF(2mL)と基質(0.24mmol)の溶液を加えて15〜30分透明になるまで攪拌します。濃縮、カラム精製により目的物を91%の収率で得た。

シュワルツ試薬ではー78℃とすることなくアルデヒドが得られます。D置換のシュワルツ試薬を使えば重水素標識が可能です。

反応例4ジエチルアミドとシュワルツ試薬

Zhao, Yigang and Snieckus, Victor Organic Letters, 16(2), 390-393; 2014

General procedure: 室温でTHF中のシュワルツ試薬(1.5~3.0eq)の懸濁液に、THF中のアミドの溶液を加えた。得られた混合物を室温で9分〜2時間撹拌し、反応混合物をH 2 Oでクエンチした。 0.5 N HClの溶液を加えてpH 7を調整し、抽出、濃縮してカラム精製により目的物を72%で得た。

シュワルツ試薬は官能基許容性が高くエステルやニトリル、不飽和アルデヒドなどを侵さずに合成できます。溶媒はTHFをよく使います。

アシルイミダゾールに関しても同様の手順で還元可能です。

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