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Red-Alを使った還元反応 LAHに代わるエステル、アミド、アルキンの還元!

Red-Alによる還元

Red-Alは強力な還元剤であるLiAlH4と類似した反応性を有するにも関わらず、安全性が高く扱いやすいため、有用な還元剤として知られています。

本記事ではRed-Alの還元反応について紹介します。

Red-Alとは?

RedAlの構造

RedAlの構造

Red-Alは水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのメルクシグマアルドリッチの商標です。別名Vitride, Synhydrid、SMEAHとも呼ばれます。

こめやん

略称的にはSMEAHが良さそうですが、認知度の理由からRed-Alの呼称を使います。
Red-Alは3.6 Mトルエン溶媒として入手できます。Red-Alは粘調で透明な液体です。
アミドやエステルをアミン、アルコールに還元可能です。同じヒドリド還元剤のLiAlH4と反応性が類似しているためLiAlH4の代替としてRed-Alは有用です。

LiAlH4と比べた利点は、

  1. トルエンなどの芳香族溶媒に対して可溶(ベンゼン系、エーテル、THF,DME)ヘキサンには不溶
  2. 自然発火性は無くLiAlH4よりも安全(水との接触で発火しない)
  3. 熱安定性が高く(200℃)トルエン還流条件も可能
  4. 溶液のため計量が容易

などがあります。LiAlH4は大量スケール(g, kg)の合成では危険性があるので避けたいところです。Red-Alはより安全であり、さらに比較的安価 25g, 2300円のため使いやすいです。

Red-Alが還元できる官能基 アルキン アミド エステル アルデヒド エポキシ

Red-Alは反応性が高く、アミドやエステルを還元可能です。また、選択性が高いという点でアルキンの(E)-アルケンへ還元、エポキシドの立体選択的な還元に利用されています。

1)アルキンとアルケンの還元
2)アミドのアミンへの還元
3)エステルのアルコールへの還元
4)アルデヒドまたはケトンのアルコールへの還元
5)エポキシの還元
6)カルボン酸のアルコールへの還元
7)エステルのアルデヒドへの部分還元

他にもニトリル、アジド、イミン、イソシアナート、イソチオシアネート、カルバメート、スルホンアミド、オキシム、ラクタムなどの還元によってアミンが得られます。

部分還元・選択性

Red-Alは当量調節や低温条件により、部分還元が可能です。

例えば、エステルやニトリル、アミドは低温条件ではアルデヒドに部分還元可能です。特にアミンを添加するとアルデヒド生成を促進させます。

ニトロ基の還元はアゾ化合物を生じます。アミンに還元するには過剰量加えます。

エステルの還元はー78℃では進行しにくいです。傘高いエステルも低温条件ではより還元を受けにくいです。

アルキルハライドは還元的水素化されます。アリールハライドは還元されにくいです。

ベンジルーテルなどは基本的には安定で還元的に開裂しないですが、100℃以上長時間加熱すると外れる可能性があるので注意します。

αβ不飽和カルボニルの還元の選択性は、Red-Alは硬い還元剤として機能するため、1,2-還元が選択的に進行します。

Red-Alの立体選択性については、LiAlH4等他のヒドリド還元剤と立体選択性が逆になることが多いので検討する価値があるかもしれません。

また、他の立体選択的反応でも見られるようにベンゼンなどの炭化水素系溶媒とTHFなどのエーテル系溶媒では立体選択性が大きく変化します。

Red-Alの反応条件は?

Red-Al 溶媒は?

Red-Alの溶媒はトルエン、THFが多いですが、エーテルやジクロロメタンも使用できます。ヘキサン系は溶けないので使えません。

Red-Al アルキンの還元

アルキンの還元は通常アルケンで停止します。(E)-アルケンが選択的に得られます

Shi, Ce and Aldrich, Courtney C. Journal of Organic Chemistry, 77(14), 6051-6058; 201

0°Cで基質(1.95 g、7.2 mmol、1当量)のEt2O(40 mL)溶液に、Red-Al(トルエン中65重量%、6.5 mL、19.5 mmol、3当量)を滴下して加えた後に0℃で6時間撹拌し、反応後MeOH(0.5 mL)1 N酒石酸カリウムナトリウム水溶液(25 mL)を滴下してクエンチした。
混合物を徐々に室温に温め、30分撹拌した。水層をエーテルで抽出し、カラム精製、目的物を収量1.83 g、93%で得た。

γヒドロキシプロパギルエステルの還元もE-アルケン選択的得られ、さらにメチルエステルは還元されません。

Meta, C. T.; Koide, K. Org. Lett. 2004, 6, 1785.

Red-Al エステルの還元

Red-Alによるエステルの還元はLiAlH4の代替として有用です。

脂肪族、芳香族エステル及びラクトンの還元も可能です。ラクトンは開裂せずにラクトールになります。

Red-Alによるエステルの還元は通常好収率で進行します。

Ravi Ganesh, K. et al Synthetic Communications, 45(23), 2676-2682; 2015

Red-Al(70%トルエン溶液)(134 g、460 mmol, 5eq)をエステル(16 g、93 mmol)のTHF(160 mL)溶液に、窒素雰囲気下で0〜5℃で加えました。反応混合物を5時間還流し、混合物を0〜5℃に冷却した後、20%NaOH水溶液(320 mL)を加えた。反応温度を室温まで温め、反応物を1時間撹拌した。

それをトルエンで抽出し、有機層を減圧下で濃縮乾固させた。残渣を0〜5℃に冷却した。 DCM(2.4 mL)およびn-ヘキサン(40 mL)を残渣に加え、0〜5℃で30分間攪拌し固化させて目的物を収率:85.2%で得た。

脂肪族のジエステルの還元も立体保持で進行する。

Yan, Ribai et al Journal of Medicinal Chemistry, 58(5), 2290-2298; 2015

窒素下アイスバスで冷却したフラスコに、撹拌しながら10分間かけてRed-Al(2.75 mL、65%wt, 9 mmol)をエステル(6 mmol)と乾燥THF(20 mL)溶液に加えた。反応物を室温まで温め、さらに2〜3時間撹拌した。反応後 5 mLの水でクエンチしました。濾過により沈殿物を除去した後、濾液を濃縮して残渣を少量の酢酸エチルに溶解し、まぶしカラムで精製して目的物を収率88%で得た。

アリールの臭素は還元されない。傘高めなエステルも還元できます。

Hapke, Marko et al Journal of Organic Chemistry, 75(12), 3993-4003; 2010

250 mLシュレンクフラスコに基質(2.0 g、6.89 mmol)をトルエンに溶解し、混合物を0℃に冷却した。 Red-Al(2.70 mL、9.65 mmol、70%溶液)をゆっくりと添加したのち、室温で19時間攪拌しました。追加のRed-Al(0.97 mL、3.42 mmol、70%溶液)を加え、混合物をさらに4時間撹拌した。Na2SO4溶液によりクエンチし、セライトろ過、水相を酢酸エチルで分液抽出して残渣をカラム精製により目的物(1.25 g、69%)を得た。

αβ不飽和エステルも二重結合を侵すことなくアルコールに還元できる。ただし異性化が起こることがあるので気を付けましょう。

Red-Alによる還元はより低温(-78℃)でモルホリンやN-メチルピペラジン存在下で還元することによってアルデヒドを得ることも可能です。

エステルをアルデヒドに還元エステルの還元でカルボン酸を合成 DIBAL LAH

Red-Alによるエポキシの還元

エポキシの還元

RedAlによるエポキシの還元Vanga, Devendar G. and Kaliappan, Krishna P. Synlett, 23(20), 2931-2934; 2012

THF(80mL)中のエポキシ体 (2g、14.2 mmol)の溶液に0℃でTH​​F(20mL)のRed-Al(10.2mL、トルエン中3.5M溶液、35.7mmol)溶液で処理した。0℃で10分間撹拌した後、反応混合物を室温まで温め、5時間撹拌した。 L-酒石酸カリウムナトリウム四水和物の飽和溶液を反応混合物に0℃で加えた後室温まで温めた。 2層が分離するまで撹拌を1時間続け、次に酢酸エチルで抽出し残渣をカラムで精製して目的物を収率94%で得た。

エポキシドの還元はDIBALやLiAlH4と選択性が異なり、選択性も高いので有用です。

RedAl還元エポキシ

アルコールとアルミニウムが結合してアルコール側のほうが還元されます。

エステルの還元はN-メチルピペラジン存在下でアルデヒドを選択的に得られます(アミン添加なしだとアルコールが得られる)。

Red-Alによるアミドの還元

Sorto, Nohemy A. et al Organic Letters, 15(11), 2700-2703; 2013

Red-Alによるケトン、アルデヒドの還元

脂肪族α,β不飽和アルデヒドのアルデヒドのみを還元することが可能です(Journal of Agricultural and Food Chemistry, 58(3), 1823-1827; 2010)。

キラルケトンの還元も選択的に進行します。

RedAlを用いたケトンの還元, Agrawal, Santosh et al
Organic Letters, 16(8), 2256-2259; 2014

参考文献

  1. EROS,  “Sodium Bis(2-methoxyethoxy)aluminum Hydride”
  2. Wikipedia, “水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム

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