「ゾンビは果たして実在するのか?」
「現在の科学ならゾンビを作り出すことが可能なのか?」
ゾンビ好きの方なら、一度はそう考えたことがあると思います!
現代の進歩した科学なら、実はゾンビって作れてしまうのではないかと。
それにしてもゾンビは世界的に見ても大人気!
ゾンビ映画やゲームは定期的に登場してそれなりにヒットしていることを考えるとゾンビファンがいかに多いのかがわかると思います。
こめやん
もしも本当にゾンビが実在するとしたら?作れるとしたら?ワクワクしてしまうのは私だけでしょうか?
私の好きな言葉に「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」というものがあります。これは、SF作家のジュール・ヴェルヌが残したとされる言葉です。全く科学的ではありませんが、想像しうることならそこに至る道筋を組み立てることは不可能ではないというような意味にとらえています。この言葉に従えば実現できることになりそうですが…
こめやん
ゾンビは実在するか?
ゾンビなんているわけない。
普通に考えたら皆そう考えると思います。
しかし、
- 果たしてゾンビって何?
- 現実世界には本当にゾンビ化は起きていない?
- ゾンビを生み出すのに必要な要素は?
などと考えていくと
「ゾンビはいない、ありえない」
とはなりません。むしろ「実在する、実在しうる」とも言えてしまうのです。
こめやん
ゾンビってそもそも何?
ゾンビを作り出すことができるかを考える前に、ゾンビとは何かを考えてみましょう。
物事を考えるときにはその対象についてきっちりと定義するのが重要です。
ここでは「ゾンビ」とは何か?について認識を合わせましょう。私が思うゾンビのままでは話がかみ合わなくなりますから。
少しゾンビを頭に思い浮かべてみてください。
ゾンビファンであれば、ゾンビにもいくつかタイプがあることにすぐに気づくと思います。
- 墓から出てくるゾンビ
- 噛まれるとゾンビになるゾンビ
- 走るゾンビ
- ゾンビ犬
などなどゾンビといってもたくさんいますね
こめやん
ゾンビは化石の無い恐竜、ドラゴンみたいな存在なので姿や出自がバラバラなのは当たり前といえば当たり前ですね。とりあえず
映画やゲームに登場するゾンビの特徴をまとめてみます
- 一度死んでいる
- 自我をほとんど失っている
- 人間を襲う
- 食べることしか脳がない
- 腐ってる
- 動きが鈍い (最近は走る)
- 話せない
- 増える (伝染する)
だいたいこんなところでしょうか?皆さんの中のゾンビはだいたい上記の特徴に当てはまっているのでは?と思います。
まとめると、一般的なゾンビは、ほぼ死んだ状態で自我を失い、人を襲って食べるような状態ということですね。そして意外に重要な要素が「伝染して増えること」です。
こめやん
大事な人がその姿を保ったまま異形となり、人間を襲い、喰らう。そして殺そうとしても死なない、いつのまに自らも同じ姿に成り果てる。
映画やゲームにゾンビがたくさん登場するのはうなずけます。
大体のゾンビの存在イメージがかたまったところで、次にゾンビ化のパターンについて見ていきましょう。
ゾンビ化のパターン
ゾンビになる原因がわかっているものもあれば、不明なものもあります。大きく分けると2つあるのではないでしょうか?
- 呪術・魔術
- 病原体・未知生命体に感染
つまり、呪い or 感染 ですね。
①の呪術や魔術によってゾンビになるようなパターンは一度死んでいる状態が多いです。「死者蘇生したが狂ってしまった状態」というような感じです。一度死んでいるので体が腐敗していることが多いのも呪い型ゾンビの特徴かもしれません。
一方で、②の病原体や未知生命体に感染するパターンは、適切な処置をするともとの人間に戻ることができる場合があり、完全に死んでいない可能性が高いです。見た目でゾンビかどうか判断しにくいのが感染型ゾンビの特徴ですね。
感染パターンでは、エボラや天然痘などの感染力が強く致死性の高いウイルスを組み替えて作られた組み換えウイルスや変異ウイルスが利用されることが多いようです。
呪術や魔術は科学的に解明するのが困難であり、科学の力を使って効果を強化することも難しいのでここでは感染型ゾンビを取り上げることとします。科学的にウイルスや細菌あるいは未知の化学物質を改良していくのは可能だからです。もちろん呪いも精神的な影響ならば与えることができるためこちらは別で考える必要があるでしょう。
感染ゾンビの特徴
既存の感染によるゾンビ化は科学的にみて現実的かどうか考えてみます。
報告されているもので、潜伏期間は早いものでは感染後数秒でゾンビ化するものもあれば、数時間、数日後にゾンビ化する場合もあります。
ゾンビ化後の性質はどうでしょうか?
性格はもとの人間の性質を引き継ぐことが多いです。攻撃性の高い人間はゾンビ化しても攻撃性が高いということがあります。
ゾンビ化の症状としては、
- 動きが緩慢になる
- うめき声をあげる
- 自我の喪失
- 肉食の傾向(ヒトを中心に襲って食べる)
があります。
感染原因はウイルスが中心のため、動物からの咬傷、蚊やノミなどの吸血昆虫からの感染、空気感染、接触感染などの経路があります。
明らかなゾンビ病原菌を含むものに噛まれた場合は、すぐに感染箇所を切り落とすことによって感染予防に有効であるという報告が多いです。特に感染後に数字程度の潜伏期間を要するゾンビウイルスには有効です。
というような特徴が感染ゾンビパターンにはあります。
こめやん
ここまでをまとめると、
ゾンビに必要な要素は「自我をほとんど失い、人を襲って食べて、さらに感染すること」だとします。
一度死んだ人間は腐敗しているためもう一度筋肉を動ける状態に回復させるのは難しいので、生きている人間を利用します。
つまり「人間の脳をおかしくする感染する物体」を科学の力で作り出すことができればゾンビを作ることが可能になります。
実は存在する。自然界のゾンビ化現象
ゾンビは全く不可能かというとそうでも無いような気がしてきました。
もともと自然界に生き物をゾンビ化させるものは存在しないのでしょうか?
実は生き物がまるでゾンビのように変化する現象が知られています。
人間ではないゾンビは存在する?
自然界の中でも昆虫類には意外とたくさんゾンビ化する現象が知られています。ヒトを襲うような凶暴化させるようなものでは無いようですが、感染(寄生)して生き物を乗っ取るという点ではゾンビのようなものです。
カリバチはゴキブリの脳を乗っ取る
カリバチは、ゴキブリの脳に毒を注射し、脳機能の一部を阻害し、ゴキブリを乗っとり巣に持ち帰ります。ゴキブリは自分の意志では歩けず、カリバチによって歩かされてしまいます。このような昆虫のゾンビ化はいくつか見られます。
カリバチ pic.twitter.com/m1e2ONJLok
— もっしー (@yack84357) September 24, 2015
カリバチはゴキブリだけでなく、クモや甲虫類にも寄生することが知られています。卵を産み付けられた宿主は体の中で卵からかえって、宿主の栄養を吸い取りながら成長します。そして最期に宿主を殺して、蛹からフカします。人間で考えると「寄生系ゾンビ」で結構ホラーですね。
クモに寄生するカリバチは自分に必要な蜘蛛の巣を作らせるというのですごいですね。どのような仕組みなのでしょうか?
Takasuka, Keizo, et al. “Host manipulation by an ichneumonid spider ectoparasitoid that takes advantage of preprogrammed web-building behaviour for its cocoon protection.” Journal of Experimental Biology 218.15 (2015): 2326-2332.
カマキリを入水自殺させる寄生虫ハリガネムシ
カリバチを同じようなものとしては、ハリガネムシがあります。
ハリガネムシはカマドウマやカマキリなどに寄生して成熟すると、宿主を入水自殺させます。
自殺させると、ハリガネムシは腹の中から出てきて、水中で繁殖生活を送ります。
成熟したハリガネムシが寄生した昆虫の脳内を観察したところ、脳内ドーパミンの上昇が見られ、これが行動に関わっていると考えられています。また、寄生昆虫をモデル条件で観察したところ、水面の反射光に反応する、光応答性があることが示唆されました。いまだになぜそのような行動をとるのかはわかっていないようです。
ハリガネムシは結構おぞましいです。下の絵のような感じでカマキリのお尻からでてきます。
#フォロワーさんの推しが描きたい
いただいたハリガネムシ×カマキリです!!! pic.twitter.com/y13Iqnofp2— 蒸し焼きいろ (@taku_siiro3) July 30, 2019
ハリガネムシは脳内の神経伝達物質であるドーパミンの分泌を変化させるということは、自分が全く興味がないものに対してものすごく興奮させたりすることができるのかもしれません。ハリガネムシが利用している方法を応用すれば、人間に感染して「人間たべたい」というような強烈な感情を呼び起こさせることも可能かもしれません。
アリをゾンビ化させる寄生菌タイワンアリタケ
タイワンアリタケはアリに寄生する寄生性の菌類です。
アリの体内に侵入するとウロウロゾンビのようにうろつかせて最後には死んだアリの頭部からきのこを伸ばします。アリがなぜゾンビのようになるのかはわかっていません。バーゼル大学の研究者がアリの脳を調べたところ、脳内には寄生菌は存在しませんでした。脳ではないところから脳を操っている可能性があるとのことです。
アリに寄生しゾンビ化させる昆虫寄生菌『タイワンアリタケ』は、これまで宿主の脳に寄生すると考えられていたが、最新研究の結果、菌は脳には感染せず、全身の筋肉に感染することで行動を制御していることが判明https://t.co/cReGyxxowI pic.twitter.com/5h5UgKWa9K
— さいたま改2 (@saitamakita) November 12, 2017
カタツムリをゾンビ化する寄生虫!ロイコクロリディウム
ロイコクロリディウムはカタツムリに寄生する寄生虫で、触覚に寄生して、触覚内でチカチカと動くことで、鳥類による捕食を促し、食べられることによって、鳥の体内で繁殖します。
寄生されたカタツムリは本来好まない明るい葉の上など、目立つところに移動するようになります。
このロイコクロリディウムはその見た目がとてもおぞましいので結構有名です。見た目を変化させる系なので、ゾンビ化させる方法としては候補の一つですね。
気持ち悪いので閲覧注意です。
人間をゾンビ化する方法
人間をゾンビにするにはどのような方法があるでしょうか?
ヒトを襲わせて食べさせることは洗脳・教育でできるかもしれませんね
こめやん
さらに人間性、自我を失わせるには薬物などを使って錯乱状態にしたり、脳を部分的に切除するという方法もあるかもしれません。
しかしこのような方法ではただの狂気的な人間をつくることはできますが、ゾンビとは少し違いますよね。
脳の操作によるゾンビ化
ヒトの自我を失わせたり、ヒトを襲わせたりするためには、脳をうまく変化、支配する必要があります。
こめやん
人間の脳を操作するという研究ではワイルダー・ペンフィールドの研究が有名です。
彼はカナダの脳神経外科医でペンフィールドのホムンクルスなどで有名です。
彼は脳に電極を刺して電気刺激を与えることにより、無意識で手を動かさせたり、記憶を蘇らせたりすることを発見しています。つまり、人間の脳の操作はレベルの違いはありますが操作可能であるということですね。
脳を動かす神経は電気刺激を信号としているので、外部からの電気刺激でも操作が可能であるということなのでしょうか?
寄生虫原虫トキソプラズマは人の脳を支配している?
驚くべきことに、身近な寄生原虫であるトキソプラズマが人間の脳を操作しているということが最近話題になっています。トキソプラズマは世界中30-60%の人が感染していると言われている感染性原虫です。トキソプラズマの最終宿主はネコですが、ほとんどすべての哺乳類が感染している可能性があります。
多くのひとは感染しても軽い風邪のような症状か、無症状で気づくことは殆どありません。
トキソプラズマは筋肉及び脳に長期間潜伏し、感染者の精神運動テストのスコアが悪化するなど脳神経に悪影響を及ぼしていることがわかっています。
トキソプラズマに感染したネズミは恐怖心がなくなり、ネコに捕獲されやすくなるという報告がありましたが、人間に関してこのような性格的な変化に関する報告はありませんでした。(ネコにつかまりやすくなるというのはトキソプラズマにとっては最終宿主に戻り繁殖するためのステップ)
ネズミが恐怖心を失うメカニズムに関しては、plos oneの論文で報告があり、トキソプラズマが感染したマウスでは脳内のドーパミン濃度が感染細胞数に相関して増加することがわかりました。
世界はこの報告で盛り上がっています。猫好きが増えるのはトキソプラズマに感染したからだ!とか言われています。
Flegr, Jaroslav, et al. Biological psychology 63.3 (2003): 253-268.
トキソプラズマ感染によって脳内の状態が変化するというのは、人間をゾンビ化させる方法としては有用ですね。
こめやん
感染初期は神経細胞中に潜ませておいて、少しづつ増やしたら、あるトリガーをもとに神経伝達物質の代謝をコントロールして、人間の正常な脳機能を奪えば、ゾンビができるかもしれませんね。
ゾンビ化に関する論文
更に近年発展が止まない情報技術、マイクロコンピューティング技術を使えば、電子機器によって、遠隔で脳内代謝や電気刺激を与えて操作できるかもしれませんね。
結論
人間が科学を使ってゾンビを作ることは、現状はまだ難しいですが、今後はできるかもしれません。
米粒よりも小さい大きさの機械を脳に埋め込んで情報収集するニューラルダストなどのスマートダストと呼ばれる機械などの技術はすでに開発されています。
こうしたナノマシン、人工ウイルスなどを作ることが可能になれば、次世代ゾンビは情報・電子技術で作られた電子ゾンビかもしれませんね。
こめやん
ゾンビの歴史
ゾンビを作る事件!?ブードゥー教が始まりか?
ゾンビ歴史の中で最も最初に登場したゾンビ「始祖ゾンビ」は何でしょうか?
メディア作品の中では、1932年 ホワイト・ゾンビー恐怖城ーが最初と言われているそうです。
この作品にも元ネタがあります。それがカリブ海のハイチなどで信仰されているヴードゥー教で、死体を思いのまま動かす呪術から来ているらしいです。
実際はフグ毒のテトロドトキシンと呼ばれる神経毒を利用して仮死状態にして操るというような方法で作られています。
人を食う恐ろしい存在にした人物
人を食らうゾンビに進化させたのはジョージ・A・ロメロ監督で「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」という映画だったそうです。それ以降ゾンビといえば生者を食らうアンデットっていう感じのイメージになっています。たくさんの映画や小説、ゲームにゾンビが登場し始めます。
恐怖の拡大、感染の概念を取り込む
ゾンビは人を襲うだけにとどまらず仲間を増やす、感染という概念を取り込みました。バイオハザードというゲームでは科学者が作り出したウイルスによって、死者が蘇り、それが生者を殺害するとまたゾンビになります。
感染症とゾンビという2つの恐怖をかけ合わせたナイスな組み合わせですね。
ゾンビ、走る。
ゾンビといえば、のろいイメージですが最近はよく走りますね。しかも速い。死んでる?ので体力も無限です。これがたくさん襲ってくるわけですから怖いですよね。知能も高くなっているようで、ゾンビをまとめ挙げるリーダーも登場してきました。さらに人の言葉を理解するものもいるようです。もはやゾンビがだんだん人に近づいてきています。