化学

ウォール・チーグラー反応: Wohl-Ziegler Reaction

ウォール・チーグラー反応について

オレフィンのアリル位あるいはアルキル化された芳香族、またはヘテロ環芳香族化合物のベンジル位への臭素置換基の導入はWohl-Ziegler臭素化として知られています。

ウォール・チーグラー反応の特徴

NBS(N-ブロモスクシンイミド)は市販されている反応剤であり、暗いところで湿気を避けて保存すれば安定です。他の各種のN-ブロモアミドやN-プロモイミドも臭素化に利用できますが、NBSはこれらのなかで最も効果的であり、副生成物を最少量に抑えられます。オレフィンが二つのアリル位をもつ場合、臭素化は位置選択的であり、よりアルキル置換された位置(より安定なアリルラジカル)での臭素化が優先します。アルキル化された芳香族およびヘテロ環芳香族化合物はそれぞれベンジル位(芳香環に直接結合した炭素上)で選択的に臭素化され、芳香環の臭素化はまったく起こりません。最も優れた溶媒は四塩化炭素とベンゼンですが、反応媒体としてイオン性液体を用いる環境に優しい改良法や無溶媒の条件なども開発されています。反応は通常、5-20 mol%のラジカル開始剤(2、2′-アゾビスイソブチロニトリルまたは過酸化ベンゾイル)の存在下、溶媒の沸点で行われます。あるいは低温で反応混合物にUV光を照射しながら臭素化を行うこともできます。多置換の臭化物が副生するときは、少過剰のオレフィン基質を使用することが好ましいです。

反応の歴史

1919年、A. Wohlは2,3-ジメチル-2-ブテンとN-ブロモアセトアミドを用いて、冷却したジエチルエーテル中で反応させた際に基質の二重結合はそのまま残り、メチル基の1個が単一の臭素原子で置換されることを発見しました。1942年、K. Zieglerは、新しい安定な臭素化剤としてN-ブロモスクシンイミド(NBS)を用いるオレフィンのアリル位臭素化について詳しい研究を行い、ハロゲン化反応の合成的価値を実証しました。2、3年後PKarrerは反応混合物に5-10 mol%の過酸化ジベンゾイルを加えると反応速度が著しく増大し、本来の反応条件では反応しなかった基質の臭素化が可能であることを見いだしました。

反応機構

Wohl-Ziegler臭素化の機構は臭素ラジカル(イミドイルラジカルではない)を含んでいます。ラジカル開始剤は熱または光の照射により均一に開裂し、それが臭素(常にNBS内に少量存在)と反応して臭素ラジカルを発生します。そして、アリル(またはベンジル)位から水素原子を引き抜きます。反応の成功の鍵は臭素の濃度を低く保つことでありそれにより炭素-炭素二重結合への付加を避けることができます。臭素はNBSと副生するHBrのイオン反応により再生されます。

実験手順

 

 

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えぬてぃー
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専門: 有機化学