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TPAP酸化 (レイグリフィス酸化)

TPAP酸化はルテニウム錯体を使った酸化方法で、主にアルコールからアルデヒド、ケトンを合成するのに使われます。中性、比較的温和な条件で酸化でき、余計な副生成物ができにくく後処理が楽という特徴があります。全合成でもTPAP酸化は利用されています。

[box03 title=”TPAP酸化の特徴”]
アルコール→アルデヒドorケトン
アルデヒドが合成できる
後処理が楽ちん
[/box03]

TPAP酸化とは?

TPAP酸化は過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(tetra-n-propylammonium perruthenate(TPAP)は過ルテニウム酸系の酸化剤です。触媒量のTPAP (5 – 10mol%) と共酸化剤としてNMO (N-モルホリンオキシド) (1.5-2eq)を使って反応を行います。

利点としては、

  • 反応後の後処理が楽(ろ過だけ)
  • 穏和で官能基許容性も高い

などが挙げられます。

欠点は

  • 試薬が高価

です。


条件・操作手順

・反応条件

不活性ガス雰囲気下でアルコール(1 mmol)と粉末MS4Åが入ったジクロロメタン溶液を0℃に冷却し、そこに0.1eq TPAPと2.0eq NMOを加えて、室温で0.5-3h撹拌します。反応後、ろ過して、カラムクロマトグラフィーで生成します。

  • 溶媒

基本はジクロロメタンです。アセトニトリルも利用されます。

反応機構

TPAP酸化の反応機構についてはまだ不明な点が多いようです。2017年 Timothyらは Chemical science誌でTPAPの反応機構についての論文を発表しています。この論文では機構を研究するにあたって、TPAP酸化では二酸化ルテニウムが酸化に関わっていることを発見しています。酸化反応によって生成する二酸化ルテニウム固体が十分に生成すると反応が劇的に加速するようです。反応によって生成する水が二酸化ルテニウムの生成を促進するようなので、無水条件では反応が遅くなるようです。むしろTPAPは純粋ではない方が反応が早いみたいです。

TPAP酸化の推定反応機構

こめやん

反応にMS4Aを加えるから無水にしたほうが良いと思ってたけどむしろ逆効果なの?

反応を加速させるにはTPAPの量を増やすか、アルコール濃度を上げると良いみたいです。


参考・文献・小技

Zerk, Timothy J., et al. “Elucidating the mechanism of the Ley–Griffith (TPAP) alcohol oxidation.” Chemical science 8.12 (2017): 8435-8442.

 

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