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毒性試験の種類まとめ一覧

毒性試験の一覧と調べ方

化学物質の毒性を調べる「毒性試験」にはいくつか種類があります。毒性と一口に言っても「急性毒性」や「変異原性」など毒性にも分類があります。ここでは、どのような毒性を調べる試験があるかを紹介します。

毒性試験の種類

毒性には大きく分けて以下の5種類に分類できます。

  1. 急性毒性
  2. 慢性毒性(反復投与毒性)
  3. 変異原性
  4. 局所刺激性
  5. 感作性

化学物質への接触(飲食、皮膚接触、吸入)からすぐに現れる急性毒性、長期の化学物質への接触により現れる慢性毒性、突然変異を起こす性質である変異原性、皮膚や目に痛みや腫れなどを起こす局所刺激性、アレルギー症状の有無を調べる感作性などがあります。
また、ここでは述べていませんが、生殖・発生毒性、催腫瘍性(発がん性)など多くの毒性に関する試験はたくさんあります。


毒性の調べ方-毒性試験データベース

化合物の毒性は無料調べることができます。いくつか無料で公開されている情報源を紹介します。

SDS を利用する方法

SDSは化学物質安全データシートといって、化合物の物理・化学的性状や化学物質の取扱、廃棄方法などが記載されたデータです。製品として販売されていればSDS情報は入手できるので便利です。SDSには有害性情報として、急性毒性や感作性、局所刺激性、発がん性などが記載されています。検索ワードとして

「塩化ナトリウム SDS」と入力すればファイルが出てきます。

会社によって記載されている情報が違ったりするので、いくつかの会社のSDS情報を見てみるとよいです。

国際化学物質安全性カード(ICSCs)ー国際労働機関

国際連合の機関である国際労働機関が提供する国際化学物質安全性カードというデータベースがあります。取り扱われている化学物質の量は少なめです。ここで提供されている情報は、LD50など毒性試験の具体的な数値などは確認できませんが、吸入、接触、経口摂取した際の具体的な症状や予防法など、労働で化学物質に触れる人にとって役立つ実用的な情報を入手することができます。

CERI有害性評価書 (化学物質評価機構)

化学物質評価機構により提供されているCERI有害性評価書は、人体への影響だけでなく、地球環境に対する有害性などの評価も行っています。産業でよく利用される化学物質について取り扱われています。人の健康への影響としては、急性毒性、刺激性、感作性、反復投与毒性、生殖・発生毒性、遺伝毒性、発がん性などの情報が提供されています。情報量は少なくなりますが、取扱化合物が増えた化合物ハザードデータ集というのも提供されています。有害性に関する要約が確認できます。

既存化学物質毒性データベース(JECDB)

既存化学物質毒性データベースでは、単回経口投与毒性、反復経口投与毒性、慢性毒性試験、生殖毒性、催奇形性、マウスリンフォーマTK試験などの毒性試験結果を調べることができます。国立医薬品食品衛生研究所より提供されています。得られる情報にはばらつきがありますが、様々な毒性試験結果を得ることができます。

毒性の捉え方

ヒトの健康を害する、最悪の場合は死に至らしめる化合物の望まれない作用が毒性です。

毒性試験の結果を見ると、○○g摂取すると半数が死亡するので危険だとか、逆に「毒性が見られなかったとか〇〇よりも低いから安全だ」というような捉えられがちですが、毒性は有るか無いかというよりも、程度で捉えるほうが好ましいです。

なぜなら、どんな化学物質は毒となりえるからです。水の飲み過ぎでも「水中毒」といって死亡する事故が起こります。実際に米国で水飲み大会で死亡した女性は水の飲み過ぎによる電解質バランスの変化によって起こる脳腫脹などによって死亡したと考えられています。

一方で、毒性試験では明らかにされない毒性の部分にも注意を払いましょう。毒性試験では化学物質の毒性全てを評価できません。例えば、反復投与毒性が無いからといって長期の慢性毒性が無いとは限りません。ラットで毒性が無くてもヒト、あるいはペットのネコや犬では毒性があるかもしれません。ヒトでも遺伝的な個体差があるので化学物質に対する感受性も異なります。

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